精密。
贅美。
サラマンカ大学の正面玄関、大聖堂玄関などを中心として、
この街の観光のメインスポット、旧市街のモニュメントの多くが
「銀細工様式」といわれるレリーフ彫刻による装飾が施されている。
スペイン・ルネッサンス期の誇る、実に繊細なる技法・デザインの装飾様式であり、
しばし見惚れる程の豪華絢爛さ。。
…なのだが…
時々飽きる。
隙間が怖いの?と尋ねたくなるギッチリ感。
ロココ調高級家具に溢れた、社長の屋敷に通された居心地の悪さ感というか、
ものすごく完璧にできたキャラ弁を毎日渡される感じというか…
そのわけわからん渦巻いた唐草だの、ハダカの小太り天使だの、
顔半分の人物像だの、いっそ断捨離してぇぇぇ!
という気分になるのはシンプル=美なる哲学が身に染みてる国から
来てるからだろうか。
…そんな時に訪問をお勧めしたいのが、通称「丸い教会」として親しまれている
サン・マルコス教会への訪問である。↓
11世紀後半~12世紀に建てられたとされる、ロマネスク建築スタイル。
円径22メートル程、アッサリボディーの完全丸型。
装飾は2つの玄関上にある古い紋章のみで、屋根部分に朽ちかけた小さな装飾がわずかに残る。
そう、ゴテ装飾に飽きたらもっと古いもの見ればいい。
別に昔の人がミニマリズム礼賛だったからじゃなくて、そこまで技術なかったし(窓さえない)、
長い年月を経て、朽ち落ち、かえってさっぱりしちゃった感が私は好きだ。
サラマンカ自体、ロマネスク様式の建築物は割と少なく(10程)、それもわずかに壁一部とか、
復元建て直しのものが多いんだけど、その中でも割と完成度が高いのはここじゃないかな、。
以下、次のお散歩の時に行ってみようと思う方に、ちょっとだけ豆知識を書いておきます~
1.外は丸なのに、中はバシリカ型長方形の礼拝堂
窓の無い内部中央には4本の太い柱。聖壇のある部分後陣3つ。
天井の低さも手伝って、ちょっと秘密の場所っぽい雰囲気。
内部のバシリカ型デザイン、場所が旧城壁近く、円形デザイン…ということから
「テンプル騎士団の活動基地だったのでは?!」という噂があるが、今まで根拠のある資料なし。
「薔薇の名前」とか好きな人は気に入るかも。
2.修復時に発見された聖人壁画4つ
60年代の修復時に発見された大天使や聖母マリアの壁画があり、どれも14世紀頃のものといわれる。
その中には東洋風タペストリー柄もあり、これかがもしかして全壁面覆っていたら…と想像するのも楽しい。
3.教会=建増し建築
時の流れに沿って生じるニーズに対応し、それぞれの時代の建築様式で建増し、修復を
するため、教会なり聖堂には「いろんな時代建築方法の、ごちゃまぜの切り貼り」感がどうしてもぬぐえない。
このサンマルコス教会の円形屋根には18世紀にドカッと鐘楼がのせられ、その不恰好さは結構残念~
しかし同教会の100年位前の写真を探してみたらもっとひどかった。↓
建増ししすぎだし!!
4.実はめちゃめちゃ権力もってた時代があった
こじんまりした印象の教会だが、ここを中心に活動していた高位の聖職者集団は、
なんと長年大聖堂、大学に並ぶ、三巨頭的権力だったとのこと。
数多くのパトロンを持ち、街中数多くの土地物件を所有していたこのサンマルコス聖職者集団(クレレシア)。
後にポンティフィシア大学の聖堂に場所を移したため、あそこが現在クレレシアと呼ばれる所以。
ここらへんの話がすごーくマフィアっぽいのでそっとしておくww
5.(ちょっと関係ないけど)サンマルコというお菓子はこの国では全国的にこれです。↓
上が黄身餡みたいなクリーム。あっまーいです…
装飾過多のコメントも面白く。また楽しみにしています。