グルメ界のブームだの流行ものの出現率、まさに怒涛のごとし。
やれパンケーキだ、キノアだ、チアシード、ココナッツオイル…次々出てきて
小うるさいことこの上ない。
そんな中、近年WAGYUなるものをちらほら聞くようになり、何かと思ったら和牛。
アンガスビーフと並んで、やたらとこの国のメディアに出現するようになった。
ここサラマンカでも、「和牛フェアー!」なるものをやってるレストランも見かけた↓
「こないだ食べたよ、ワギュー。旨いなあれ、フフ…」 などと、
ど-考えても“グルメに敏感なオレ”自慢にしか聞こえないコメントを仲間のおっさんにされ、
なんか憮然としてしまった自分だ。
(以前、シイタケがこっちの市場でも気軽に買えるようになった頃、八百屋のおっさんに
「このきのこはね、シイタキというんですよ!シ・イ・タ・キ!」とレクチャー受けた時の
ムカ感と似ていた)
…まあいい。
しかしここサラマンカには地元の人はもちろんのこと、その品質の高さから、
全国的にその名を知られる地元原産牛種がある。それがモルーチャ(Morucha)牛だ。
1.モルーチャ種とは
ヨーロッパ、ここスペイン産野牛を原牛とする牛種。
サラマンカから南はカセレス付近、北はサモーラあたりにおいて、
のびのびと放牧されている。
がっしりとした肉付き、その灰色褐色肌から、モルーチャ
(=ムーア人/北西アフリカのイスラム教徒)と呼ばれるとのこと。
スペイン産の牛肉において、アビラ産、ガリシア産に並び、
原産地呼称保護指定(DOP)を受けている。
なんだか闘牛を思わせるりっぱな角といい、猛々しい感じ…
しかし現在は主に食用として飼育されている。さてお味の方は?
2.モルーチャ・デビューはここにて
さてこのビーフをちょいとお試ししてみたいと思うものの、いざ自分でステーキを焼く自信もなし、
レストランで頼んでみたら広辞苑サイズでてきました、というサプライズも欲しくない…
という方にお勧め、中心街にあるとあるレストラン「Aldabaアルダバ」。
お店の名前の「アルダバ」とは扉のノッカーのこと。
店内にコレクションとしていくつも飾ってある。
1996年創業の非常にクラッシックな店内は割と小ぶり。
お客は常連っぽいミドルエイジの方多数のせいか、落ち着いた雰囲気。
それでも夜営業スタートの8時となるとサワサワとお客が増え、気がつくと満員。
お、モルーチャ・カレンダーまで掛けてあるww
これはやっぱり「試してみる?」的なこといわれてるのかね?w
…いうことでワインのお供として、「モルーチャの串焼きを注文」。
赤味、あっさり、味付け塩のみ。
…噛みしだく程にこぼれる肉汁!うまい具合にレアなので、柔らかい!
そしてうっすらとふくよかな肉の香り…
たちまち一本食べてしまって呆然とする。
「柔らかい、臭みがない=上等肉」という思い込みが自分から抜けていくのがわかる。
食感、香り共に適度に元気で、でもいやみがない。美味しい!
猛烈にお代わりしたくなるのを押さえ、他のタパスも注文
おばけマッシュルームの鉄板焼!
ほっくほくで歯ざわり最高、白ワインにぴったり~
小イカのフリッター。カリッカリ。口中のシャワシャワ感をうっとり楽しむ。
そしてこのレストラン、カウンターでタパスを楽しむ分には随分と
お財布に優しい。上等ワインにタパス1つがついて2.50ユーロ(2017年2月現在)。
お店の方もかなーり親切、てきぱき対応。
学生相手のカフェとは違うので、最初の一歩がちょっと勇気がいるけど、価値あり。
3.ガッツリからあっさりまで
で、話はモルーチャ牛に戻って。
1度「サーロインステーキ」で食べてみる。
筋ばってない上等肉を切ると、ここでは「バターのようにさくっと切れる」というが、まさにそれ。
生部分もまさに刺身の如し。なんで美味しいものはするする入っちゃうんだ…
あともう一つの食べ方はこれ↓カルパッチョ。
上に黒胡椒、粉チーズ、オリーブオイルをかけてくれる。これこそあっさり、
さっぱり、まさに日本人向けの食べ方かな~
あとがっつりというか、どどーんという方にはこれ↓
モルーチャ牛、フォアグラとポルチーニ茸のミルフィーユ、
きのこクリームソース。店の看板。
同じ素材ながらあれこれ試してみるのもいいかも。
和牛もよし。
モルーチャ牛もよし。
お店でワインを傾けながら、お国自慢、文化比較論を現地の方
と広げるのもまた楽しいし。
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