タイに来てひどく驚いたことの一つに、甘すぎる飲み物がある。屋台のアイスコーヒーのように、コンデンスミルクをたっぷり加えるところを予め見ていれば、少しの驚きで済むが(それでも甘い!)、日本では砂糖を入れるなんて絶対に有り得ないものに、たっぷり入っていると、これはもう驚愕と言うしかない。それが緑茶である。商品名を出して恐縮だが、もし「伊右衛門」や「お〜いお茶」を激甘にしたら、消費者から苦情が殺到し、全く売れなくなることだろう。ペットボトルの緑茶が甘いなんて、いったいタイ初心者の誰が想像できようか?その昔、ゴルフで渇いた喉に不用意に流し込んでしまった時の感覚は、筆舌に尽くし難い。これがトラウマになった訳ではないのだが、私がバンコクで日常的に購入する飲み物は、ビールと水とバナナ牛乳だけである。タイをよく知る友人に言わせると、甘くない飲み物が欲しい時には、ペットボトルのキャップが白の物を買えばいいのだそうだが、未だ身をもって検証するまでには至っていない。
疲れた時に甘い飲み物を口にすると、ほっと癒されるのは事実だが、モノには限度がある。どうしてタイでは飲み物や菓子がこんなに甘いのだろうか?余談だが、近年タイでも肥満が問題になっており、その主原因は、砂糖たっぷりの飲物や菓子、それに油を大量に使うタイ料理(もちろんそうでないタイ料理もある)にあると、私は睨んでいる。
私は甘いものを摂取する習慣があまりないのだが、今週はタイ語の授業で疲弊してしまい、珍しく身体が「どうしても甘くて冷たい飲み物を!」と主張してきた。流石に生理的な欲求には抗う術もなく、過去の記憶を振り払って、コンゴウインコがトレードマークの庶民カフェAmazonに入り、メニュー表と向き合った。アイスコーヒーでは芸がないので、タイではまだ飲んだことのないアイスミルクティーにすることは、すんなり決まったのだが、甘さを選ぶところで躓いた。甘さには、100%、50%、30%等、段階があったのだ。怖いもの見たさもあったが、味覚には保守的な、いえ弱気な私は、取り返しがつかなくなることを恐れて、指定したのは50%。それが写真の一品。見るからにエキゾチックな色である。恐る恐る口に含むと、己の判断が間違いでなかったことがわかった。ミルクと相まって、ややねっとりとした甘さは、ガムシロップ3〜4個相当か。普段なら受け付けないが、今日だけは心地よい。55バーツ(約230円)で癒されるとは、私はなんと安上がりな人間なのだろう。
無事最後まで飲み切ったところで、疑問が一つ。甘さ100%とはどんな味なのだろうか?ガムシロップを8個も入れた経験はないから、想像がつかない。また、敢えて挑戦する勇気も、今のところ無い。