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Marvelの再出発(”Reboot”)までもうすぐってところで、各誌とも巻きに入ってる感たっぷりだな。その一つThe Amazing SPIDER-MAN (”ASM”)16号、16.1号を読み終えたので早速レビュー。
筋書きをDan Slott、Christos Gage(16号)とGerry Conway(16.1号)、画をHumberto Ramos(16号)とCarlo Barberi(16.1号)、が担当。表紙はArthur Adams (16.1号)の手によるもの。Adamsの画は良い時と悪い時があるが、今回のは大当たり。流石ベテランの作品と唸らされる。
粗筋を手短に紹介。16号は2話収録。Peter Parkerの経営するParker Industryが超人的な力を持つ悪人の刑務所建設の競争入札に参加。高校時代の友達Liz Allenが経営するAlchemaxがライバル会社。彼女の兄と雇われ人Tiberius StoneがPeterの会社を妨害するため悪人を雇う。一方悪のSPIDER-MANにコテンパンにやられ、全財産を失ったBlack Cat。彼女は失った財産を再度盗み返そうと企む。続いて16.1号。悪のSPIDER-MANによってマフィアのボスKingpinはニューヨークを追われたが、その縄張りを狙うTombstoneとMr. Negative。マフィア同士の抗争に巻き込まれるニューヨーク市警の渡辺警部とSPIDER-MAN。
さて、恒例の気に入ったシーンや台詞について。実は16号の2話は密接に繋がっていて、敢えて分けなくても良い気もするな。例えば、May伯母さんとその旦那さんが競売に参加しているが、そこに出品されている品物はかつてBlack Catが所有していたものとかね。結構何気ないシーンが伏線だったりするのは読んでいて楽しい。
前半に出てくる悪人Iguana。Newsramaっていうアメコミ専門サイトでは、SPIDER-MANの悪役ワースト10に入っている。こいつが、SPIDER-MANに対しマナーがなってないって嘆くシーンは好きだな。だから人類は滅ぼさなければならないとかね。その通り。
Ramosの描くBlack Catの外見は悪(わる)可愛く結構好み。ただし性格が崩れてるな~。なんでここまで歪んじゃうかな。
Liz Allenも何か信用ならないけど、(またその腹黒さが面白い)彼女の兄、元Molten Man、Raxtonは、こんなに悪だっけな。彼の悪人としての動機は身体が高熱を発して融けちゃうのを何とか防ぐことだけだったはずなのに。心から悪人になり下がってるのは腑に落ちない。
気に食わないのは、2話に別れ、内容が薄くなっちゃった点だな。前半のIguanaのシーンはもっと短くても良い。
つづいて、16.1号の好きなところ。ConwayはGwenの死を書いた有名な作家。今回のマフィア抗争面白い。基本的に警察組織の中に、SPIDER-MANの理解者がいるって設定は昔から好き。最近ではこの渡辺警部。しかし、組織の中でうまくいかないからって、vigilante(自警野郎)になるって単純な設定はどうだろう。彼女は本当に単純過ぎるのか、Mr. Negativeの罠にまんまと引っかかってる。ただの巡査じゃないから、昇進試験とかも受かっているし、頭は切れるはずだけど。師と仰ぐ同僚の死に冷静さを失っているってことなのかね。
Mr. Negativeはある意味だれよりも正直。渡辺警部にTombstoneや彼を釈放した判事を陥れる写真を提供した時の台詞。渡辺警部の抗争の道具に使うんでしょうという問いに対し、”Do you care?”とNegativeが返す。迫力十分。
彼女の上司の台詞も好きだな。警察はルールに従って行動するって言葉の後の台詞、”We’re cops. Not vigilantes.”渡辺警部が彼女の別の姿Wraithに変身して(つまりvigilanteになる)Tombstoneと判事の不正を暴こうとする前振りなんだよねこの台詞が。
画を担当しているBarberiはJim Lee信奉者かな。そんな画を描く。彼の渡辺警部の表情は好きではないのだが、Wraithのリボンがすごく上手い、常に彼女の入っているコマは見応えがある。