アメコミとラーメン

これからの話への伏線祭り、X-MEN 22号、23号



SPIDER-MANのレビューが続いたので今回はX-MEN。Brood篇が何かもの足りないものに終わったのだが、22号からは新展開。これからの話への伏線が紹介された22号とそれに続く23号を読み終えたので、レビュー。

添付画像はMark BrooksによるCorner Box Variant。Brooksの画も凄いけど、昔からのアメコミファンにとってCorner Boxは特別な存在。1960年代から少なくとも1980年代のMarvelのコミックブックの表紙の左端には必ずこれがあって、X-MENであれば登場するX-MENのメンバーが描かれていた。表紙も嘘をつくけど、Corner Boxもそれと同じで、描かれてあっても実際には出てこないメンバーもいてがっかりさせられることもあったけど。

筋書をGerry Dugan 、X-MEN 21号の画をStefan Caselliが、22号の画をJoshua Cassaraそれぞれ担当。

粗筋。ミュータントが人類に送った薬に、ミュータントを憎む秘密結社Orchisは混ぜ物をいれ市場に流通させた。また彼らのロボット、Sentinelの最新型には死んだWOLVERINEの金属(Adamantium)の骨格が使われていたことがわかった。23号ではIRON MANが巨大化したようなSentinelが登場。

次に気に入ったシーン、台詞を紹介していく。Sentinelの一体Karimの情報提供者に対する台詞。”The mutants put a Trojan horse into their medicines.”前述の通り、薬に混ぜ物を入れているのは彼ら自身。この嘘を含めOrchisのミュータントを貶める作戦のだが、ムカつく。コロナワクチンに政府だか何だかが何かを入れているという半ワクチン派の陰謀説を逆手に取った設定なのが面白い。

Orchisの一員になり下がっているM.O.D.O.K.(映画ANT MAN and WASPにも登場した殺戮マシーン)の台詞。混ぜ物の効果を語っている。”His fight or flight response is kicked into overdrive.” fight or flightって戦うか逃げるかの選択に使われるのだが、ここではflightをビルから飛び降りると掛けているのがミソ。こういうシャレは大好物。

2019年からのHickmanの設定の内でも最悪なものの一つ、ミュータントは何度でも生き返ることをここでは面白く使っている。WOLVERINEは何度となく死んでいてその度にその亡骸は回収されることはない。だからAdamantiumの骨格はあふれている。冷静に考えると生き返る度に再度Adamantiumの骨格を移植していることになる。大変だろうそれ。

23号ではMr. SinisterのクローンDr. Stasisと共に彼の妻のクローンも登場。それが夫に負けず劣らず邪悪。この設定は面白い。やればできるじゃん。悪の秘密結社の一員になることを企てているのも良し。

前述のIRON MANのようなSentinelが何故出来上がったかの種明かしも楽しい。いつの間にかOrchisのメンバーFeilongがStark社に敵対的買収を仕掛けていて成功していたから。こういう面白い設定はもっと長くかけて徐々に実現して欲しい。設定の無駄使いだ。と書いた後に他誌の広告にて、同時並行でIRON MANでもこのSentinelが敵として登場していることが判明。面白いじゃないか。

その他楽しみな伏線が多数ある。

暗黒街の帝王でミュータントの島に亡命している(何か悪巧みを考えているのだろうが)KingpinがEmma Frostと歩いているのを見かけたCYCLOPSの台詞がちょっと気が利いているかな。”Please tell me that was Mystique.”変身能力のあるMystiqueがKingpinに化けていれば問題ないということ。

22号にしろ、23号にしろ、伏線紹介祭りでBrood篇への不満は解消された。一方、一話一話の話の作りが淡泊で、ワクワク、ドキドキ感までは得られなかった。
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