◇もっとも印象に残った球児
45.福岡
森尾 和貴 投手 西日本短大付属 1992年 夏
甲子園での戦績
92年 夏 2回戦 〇 2-0 高岡商(富山)
3回戦 〇 3-0 三重(三重)
準々決勝 〇 6-1 北陸(福井)
準決勝 〇 4-0 東邦(愛知)
決勝 〇 1-0 拓大紅陵(千葉)
1965年、炭鉱の町の代表、三池工が原貢監督、上田卓投手を擁して感激の優勝をしてからというもの、
福岡県の高校野球は、
いつも大型チームを送り込むものの、
ここぞという時に敗れ、甲子園の戦績に反映されることはありませんでした。
その間、
小倉勢に代わって力を伸ばしてきた柳川では、
江川に果敢に挑んでいった73年や、
エース久保、打線に立花や末次などを擁した超大型チームだった76年、
中島輝がエースで4番、九州では敵なしだった80年のチームなど、
常に大型チームで甲子園に挑み続けましたが、
全国の厚い壁にその都度跳ね返されていました。
そんな福岡勢の転機は88年。
この年、エースに左腕の前田、4番に強打の山之内を据えた福岡第一が、
2度目の出場で快進撃。準優勝に輝きました。
そこからの5年間が福岡勢の黄金時代。
89年の福岡大大濠の8強。
90年は西日本短大付属が4強。
91年は柳川が8強入りしました。
いずれも甲子園で3勝以上を挙げた福岡勢は、
今の毎大会好成績を残す九州勢の先駆けとなる存在でした。
そして92年の西日本短大付属がとどめを刺します。
この年の西日本短大付属。
力はあるといわれながらも甲子園にやってきたのは久しぶり。
エースの森尾も、
初めての甲子園見参でした。
森尾は180センチの長身から、
コントロールされた速球とスライダーを投げ分け、
県大会を確か1失点か2失点ぐらいで切り抜けての甲子園登場だったと記憶しています。
さほど打てないチームだったので、
チームは”森尾頼み”の様相が濃かったと思いますが、
この年の西日本短大付属は、組み合わせにも恵まれてスイスイと勝ち上がりました。
森尾も噂に違わぬ好投を続け、
130キロ台後半の速球は打者の手元でよく伸び、
スライダーのキレは抜群でした。
ワタシはこの森尾を見て、
その4年前の88年に甲子園で好投し4強入りを果たした、
東亜学園の川島投手を思い出していました。
両投手、よく似たタイプのピッチャーでした。
森尾にとって惜しまれるのは、
準々決勝の北陸戦。
9回まで0で抑えていたのに、
9回にタイムリーを打たれ初失点。
戦況に影響を与えることのない、
「なんてことのない」失点だったのですが、
後から考えるとこの1点さえなければ全試合完封という偉業を成し遂げるところだったので、
返す返すも惜しまれる失点でした。
西日本短大付属は、
トータルとしては2年前4強入りしたチームの方が力はあったと思われるのですが、
この夏の森尾投手の出来は素晴らしく、
『彼さえ立てておけば、まず失点はしない』
といった中での、安定して楽な勝ち上がりでした。
なんとなく、
『スイスイ』といった表現がピッタリと来る、
淡々とした優勝でした。
心に残っているという意味では、
この後2000年の春夏に出場して連続ベスト8、
いずれも智弁和歌山と対戦して激戦の末敗れ去った、
柳川の香月良太選手が真っ先に思い浮かぶのですが、
『素晴らしい記録を残し優勝した』
ということで、
森尾投手をあげました。
しかしこんな素晴らしい成績で優勝したにもかかわらず、
森尾投手の勇姿というのは、
実はワタシの中にはほとんど残ってはいません。
その後の野球人生において表舞台に登場することがなかったからかもしれませんが、
彼の野球人生は、この年の甲子園がすべてだったといえるかもしれませんね。
その後の彼の歩みを追ったドキュメントも読むことは読みましたが、
さほど心に響いてくることはありませんでしたね。
この大会で心に残っているのは、
星稜-明徳のあの”とんでもない”試合と、
拓大紅陵が主砲・立川の最終回の一振りで池田に逆転勝ちしたゲームですね。
森尾はこの”わさわさした”大会を、
力で締めくくってくれた、という存在として記憶されています。
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1 コメント
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- 西日本短大付属ー柳川 (バース山之内)
- 2017-07-16 20:51:56
- 森尾投手も前年の91年の福岡大会準決勝で柳川に5ー13で負けました。でも次の年の準決勝で柳川に完封勝ちしたのは、さすがです。この頃の西短ー柳川の試合は見応えがありました。KBCテレビにかじりついて見てました。
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