最も印象に残った球児
21.富山
酒井 盛政 投手 新湊 1986年 春夏
甲子園での戦績
86年春 1回戦 〇 1-0 享栄(愛知)
2回戦 〇 7-4 拓大紅陵(千葉)
準々決勝 〇 2-1 京都西(京都)
準決勝 ● 3-8 宇都宮南(栃木)
夏 2回戦 ● 4-8 天理(奈良)
富山における輝かしい試合と言えば、
坂東-村椿の投げ合いで延長18回引き分け再試合を戦った徳島商-魚津の一戦。
しかし残念ながら、
昭和30年代とワタシの生まれるずっと前の話。
記録を見ると、
昭和40年代まで、
富山のチームは結構甲子園でいい戦績を残していました。
しかし昭和50年代に入り、
1県1代表を送り込めるようになったのと反比例し、
県勢の戦績は振るわなくなります。
選手権で見ると、
必ず代表を送り込めるようになった78年(第60回)大会からすでに34年が経過していますが、
この間の34代表の戦績は8勝34敗。
3回戦に進出したのすら4回(しかもすべては2回戦から登場のチーム)という、
厳しい状況が続いています。
県内の高校野球は、
富山商と高岡商という両巨頭が君臨するという図式なのですが、
そんな中で甲子園に出てくると必ず『何かを起こしてくれる』チームがあります。
それが新湊高校です。
新湊の初陣は80年夏。
初戦で沖縄の興南に敗れますが、
あまりのものすごい数の応援団に、
甲子園でも話題になりました。
漁師町の高校で、
いかに地元に愛されているかが分かろうというものです。
全盛期の銚子商を彷彿とさせるような熱狂ぶりでしたね。
何しろ、
確か1塁側だったと思いますが、
アルプスはもとより内野席はびっしりと新湊ファンに埋め尽くされ、
外野にも回っていたと思います。
あれに匹敵する応援って、
慶応義塾や立教などの大学付属が数十年ぶりに出場した時ぐらいしか、
記憶に思い浮かびませんね。
今でも新湊が出場すると、
尋常でないぐらい多くのファンが甲子園に詰めかけます。
その新湊が最も輝いたのが86年のセンバツでした。
初戦で剛腕と言われた近藤率いる享栄と対戦した新湊は、
大雨の降りしきる中1点を守って、
この難敵を最少得点差で振り切り、
念願の甲子園初勝利をあげます。
この時のエース酒井の冷静なピッチングとバックの守り。
「これぞ高校野球」
でした。
2回戦はこの大会の優勝候補筆頭に挙げられていた、
千葉の拓大紅陵。
木村投手-飯田捕手(元ヤクルト)のバッテリーを中心に、
大型で崩れにくい好チームでした。
試合は序盤から拓大紅陵が得点を重ね6回表を終わって4-0。
誰もが拓大紅陵の完勝を疑いませんでした。
しかし6回裏。
奇跡のチーム新湊が、
怒涛の反撃を見せます。
ヒット、ヒット、またヒット・・・・・・・
バットを短く持ってのつなぎのバッティングは、
見事としか言いようがありませんでした。
動じることのないと思っていた拓大紅陵バッテリーの狼狽した姿、
記憶に深く刻まれています。
優勝候補も倒したこの一丸野球は、
次の準々決勝でもその力をいかんなく発揮します。
相手は力のある京都西。
この試合、
酒井は京都西打線に打たれても打たれても、
しぶとく粘りの投球を続け、
決してタイムリーを許しません。
何度も訪れたサヨナラのピンチをしのいだ先の延長14回、
ついに新湊は相手ピッチャーのボークで決勝点。
酒井は14回を投げ切って、
ついに京都西をも倒して準決勝に進出しました。
『新湊旋風』
ぐ吹き荒れた大会でした。
準決勝は惜しくも敗れましたが、
高校野球ファンにはこの大会、
一番記憶に残ったのは新湊の活躍だと、
誰もが口にした大活躍でした。
夏も出場した新湊は、
初戦で優勝する天理と激突して敗れましたが、
9回の魂の大反撃でまたまたファンの記憶に残る戦いを繰り広げてくれました。
その後も新湊は、
甲子園に来るたびに『何かをしでかす』ビックリ箱のようなチームとして、
ファンの期待を集め続けています。
99年には小松(石川)との対戦で、
9回に5点差を取り返して大逆転勝ち。
02年センバツや昨年11年選手権でも、
事前の予想を覆す勝利を挙げています。
現在甲子園の初戦は3連勝中。
荒海で育った球児たちが、
周りの熱烈サポートを受けて活躍する姿、
まぶしいものがあります。
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