第104回全国高校野球選手権大会が、
各地方大会で開幕を迎えます。
すでに沖縄では決戦の火ぶたが切られていて、
これから7月の末までにかけて、
今年も熱き戦いが全国で行われて行きます。
コロナは落ち着いたのか?
と問われると「まだまだ」と答えざるを得ませんが、
徐々に日常を取り戻してきている光景がそこかしこに見られ、
『あの頃のようにまた・・・・』
という事が人々の活力になっているのかもしれません。
思えば今年の3年生は、
コロナに見舞われたと同時に高校に入学してきた年代。
そう、
思い切って練習することができなかった年代という事も言えるのではないでしょうか。
しかしながら、
今年は春のセンバツも、また夏の選手権も、
従前の形に戻ったように行われています。
そしてその大会をもって、
彼らの高校野球生活も、
終わりを迎えられるのです。
これが本当に幸せなことというのを、
今年の3年生ほど実感している年代はないのではないでしょうか。
仲間と過ごす大切な3年間。
そして何よりも小さなころから心血を注いでやってきた”野球”というものに、
ひとつの区切りをつける夏です。
さあ、
すべてを出し切り思い切ってプレーして、
胸の中に思い出を刻み込んでください。
この夏の地方大会というのは、
ある意味甲子園よりもずっと濃密に、
そして輝いている場所になるはずです。
そんな彼らのプレーを、
たくさんの人たちが見て、
勇気をもらっているはず。
今年のセンバツでは、
直前での代替え出場となった近江が快進撃。
初の決勝進出となり気を吐きました。
そしてその近江を決勝戦で完膚なきまでにたたき優勝を飾ったのが、
ご存じの「絶対王者」大阪桐蔭。
投攻守、そして采配、スタミナ、気迫。。。。。
どこを切っても「高校No1」の彼らが、
4年ぶりに春夏連覇を狙って大会に出場してきます。
焦点は「どこが大阪桐蔭を倒すのか?それともまた圧倒的な力の差を見せつけるのか?」
そんなことにフォーカスして、
地方予選を眺めていければと思っています。
いったいどこが勝ち上がってくるのか?
たくさんのアップセットが待っているであろう今年の地方大会。
さあ、はじまります。
今年も地方大会の展望を。
≪第104回全国高校野球選手権大会≫
- 予選展望1 北海道・東北地区 -
【北北海道】(参加校70チーム)
クラーク国際が圧倒か。ライバルの白樺学園が追撃できるか。
◎ クラーク国際
〇 白樺学園
△ 旭川実 旭川大 帯広農 旭川明成
▲ 稚内大谷 滝川西 帯広大谷 旭川竜谷
選抜出場のクラーク国際は、山中・辻田の2本のエースを擁して圧倒する態勢だ。打線も上位・下位ともにこの地区では一つ抜けた実力を持ち、死角はない。狙いは甲子園での勝利のみ。追っていくのはライバルの白樺学園か。今年の目玉はなんといっても打線。どこからでも長打が飛び出す打線でクラーク国際に打ち勝つ腹積もりだ。投手陣のそうはクラークほどは厚くないが、石上・曽我の左腕二本柱は計算が経つ。いずれにしても、直接対決で雌雄を決しそうな気配が濃厚だ。旭川勢が並ぶダークホース陣の中では、やはり昨秋決勝まで進んだ旭川実が有力。しっかりと甲子園を見据えたチーム作りができていて、2強を脅かす一番手。旭川明成は監督の息子で2年生エース千葉が投打の中心だ。昨夏連続の甲子園出場を決めた帯広農は、甲子園で躍動したエースと4番がチームの中心。もちろん連続での甲子園出場を狙っている。かつて”ゴリラ打線”で甲子園を席巻した滝川西が復活の気配。注目される。
【南北海道】(参加100チーム)
春を制した札幌一か、ドラ1候補擁する東海大札幌か。好投手擁する北照、苫小牧中央、知内にもチャンス。
◎ 札幌一 東海大札幌
〇 北照 苫小牧中央 北海
△ 知内 札幌日大 札幌国際情報
▲ 駒大苫小牧 北海道栄 札幌大谷
群雄割拠という言葉がぴったりの昨今の南北海道大会。昨夏は木村を擁した北海が制したが、今年は昨年以上に混とんとした展開が予想される。まずは直近の春季大会で優勝を飾った札幌一。一躍本命の座に躍り出たが、戦いぶりはやや不安定だった。田中、渥美、近江などが豪華に控える投手陣だが、完全に相手を抑えきる投手はおらず、試合運びは打線頼み。春のように打線が機能すればいいが、そうならなかったときの心配が常に付きまとう。その札幌一を押しのけて本命の座に座らんとしているのが東海大札幌。道内No1と言われるエース門別に阿部も控える投手力で勝ち上がりたい。秋春ともに4強の壁に行く手を阻まれたが、そこを突破して甲子園までたどり着けるか。この2校が一応の2強を形成するが、追っていく各校にほとんど差はない。中でもドラ1と噂されるエース斉藤を擁する苫小牧中央は不気味な存在だ。斉藤は春の大会では北海に対して無四球で3安打完投、11三振を奪った。そして4強まで進出して、優勝した札幌一とは延長タイブレークまでもつれ込む接戦を展開。上位行に全く引けを取らない戦い方を示している。春準優勝の北照は、エース上川の制球力が出色。5試合24イニングでわずか1四球という制球の良さで、久しぶりの甲子園に照準を絞る。昨夏の出場校である北海は、春は苫小牧中央に屈したものの、夏はリベンジを果たし甲子園を狙うに十分な戦力を整える。甲子園経験者を複数揃え、夏の戦い方を知っている点は他校にはない強みだ。そのほかでは知内が面白い。エース左腕坂本はプロも注目する好投手。そこに馬体も絡み投手力は他校に一歩先んじる。札幌日大や札幌国際情報は、もともと力のあるチームだが今季まだその真価を発揮していない。駒大苫小牧も、そろそろ覇権争いに絡んできたいところだ。
【青森】(参加50チーム)
青森山田、弘前学院聖愛、八戸学院光星が3すくみ。果たしてどこが抜けだすのか。
◎ 青森山田
〇 八戸学院光星 弘前学院聖愛
△ 八戸工大一
▲ 東奥義塾 弘前工 八戸工大二
地域の誇りと名誉をかけて、今年も3校がつばぜり合いを繰り広げる。秋に続いて春に県を制して、トップを快走するのが青森山田。2017年以来の聖地を目指す。投手力は一定の水準以上のレベルを維持しており、安定した戦いができるのが特徴のチームだ。堀内、木村の左の2枚看板はゲームメーク能力にたけ、簡単に相手に得点を許さない。打線はまずまずだが爆発力にはやや欠け、そのあたり夏の暑い戦いの中でどう出るか。一方昨夏久々の甲子園をつかみ取った弘前学院聖愛は、今年もなかなかのチームを作ってきた。春の東北大会では学法石川、仙台育英という強豪を破り、敗れた聖光学院戦でも粘りに粘って延長12回の戦い。しぶとさは折り紙付きのチームだ。さて、去年、そして今年と音沙汰がないように感じる八戸学院光星。今年はどのような感じで大会に臨んでくるのか。これが今年の青森大会の焦点。エースは洗平。この名前を聞くとグッと郷愁に誘われるのはワタシだけではないはず。父の洗平投手(元中日)が挑み続けてかなえられなかった甲子園に、息子が挑戦。一冬超えて打線はグッと力を付けてきており、2強に挑む態勢は整っている。夏に強い光星の真価を見せる夏がすぐそこまで迫ってきている。まずはこの3校で覇権が争われるだろうというのが濃厚だが、そのほかで上げるとするならば秋準優勝、春4強の八戸工大一か。打線がいい状態をずっと保っており、ひょっとするとがあるチームではある。名門の東奥義塾は、秋に東北大会に出場して気を吐いた。同じく伝統校の弘前工も虎視眈々と狙う。
【秋田】(参加39チーム)
秋田商と明桜がマッチレース?!8強入れ替わりの秋・春を経て、夏は果たしてどうなるか。
◎ 明桜 秋田商
〇 能代松陽 本荘
△ 大館桂桜 横手
▲ 大館鳳鳴 金足農 秋田 大曲工
昨夏は風間が無双で甲子園を手繰り寄せた明桜。その風間卒業後、新たなチームを模索し続けて、この春また県決勝まで進出。新たなチームで連続出場を狙う。明桜といえば昔から好投手の宝庫。かつて連覇を果たした81・82年は松本が、89・90年は中川ががっちりとマウンドを守り、少ない点を守って勝ち上がったチームだった。今回も昨年の風間ががっちりと守ったマウンドに、野中・相庭が立つ。さほど援護は期待できないだけに、きっちりと試合を組み立てるピッチングがしたい。一方の雄、秋田商は強打が自慢。県大会で優勝し、東北大会は初戦を勝利し聖光学院にも大接戦を展開。今年のチームの力を見せつけた。打線は春の大会で下位打者までしっかりと結果を残し、夏に楽しみを倍増させた。昨秋を制した能代松陽は、春は秋田商に完敗を喫したが、持っている能力からすればこんなものではない。打線はやや線が細いものの、得意の接戦を勝ち上がるチーム力は素晴らしく、夏の一発勝負で力を発揮するチームだ。春に4強入りした本荘には、エースの阿部がいる。阿部は夏には150キロを超える速球を見せてくれるかもしれない剛腕。あの夏の吉田(金足農)のように、今年は俺が・・・・と意気込む。その金足農は、今年は全く戦績がないまま夏を迎えるが伝統の力で一波乱を狙う。秋、春にそれぞれ4強入りしている大曲工、大曲農の大曲勢は、夢の甲子園に向かい戦力を整える。大館桂桜はエース福田の復調次第か。
【岩手】(参加66チーム)
全国制覇狙う花巻東に死角はあるのか。ライバル・盛岡大付が例年のごとく猛追を開始。
◎ 花巻東
〇 盛岡大付
△ 一関学院 盛岡中央
▲ 久慈東 久慈 盛岡三
昨秋の東北大会を制して甲子園に出場した花巻東。そこでは初戦敗退の憂き目にあったが、虎視眈々と巻き返しを狙って戦力を整えてきている。何よりその打線の破壊力のすごさは折り紙付き。注目の佐々木を3番に、田代を4番に据えて相手を粉砕する。どんな相手からでも4,5点は奪える打線にしようと連日の振り込みを行っていて、さらにグレードアップした打線で夏の制覇を狙う。問題は軸の決まらない投手陣だが、こちらも底上げ急で、かなり整ってきたと伝えられていて死角を少しづつ埋める作業が成功しているようだ。一方の雄である盛岡大附。春の決勝はライバルに2-21の大敗。しかし実際そのスコアほどに差があるわけではなく、監督は昨年に続いて夏の一発逆転を狙っている。打線のパワーは相変わらずすごいものがあり、あとは投手陣の整備だけ。小野寺がどうやらエース格に上がってきたようで、そこに武石、川中らの従来の投手陣が絡む状況に。「この一戦」に向け、牙を研いでいる最中だ。この2強のマッチレースが近年の県大会のキモになっているが、追っていくチームに面白いチームがある。盛岡中央だ。プロ注目のエース斎藤は150キロが目前に迫る投球を見せている。斎藤が本領を発揮すると、2強と言えども安閑とはしていられない。名門の一関学院は、今年もいいチームを作ってきている。伝統の守備をきっちりまとめる戦いぶりで一波乱を狙っている。
【山形】(参加43チーム)
羽黒、酒田南、日大山形、山形中央が4強。鶴岡東も絡んでくるか。
◎ 羽黒 酒田南
〇 日大山形 山形中央 鶴岡東
△ 創学館 東海大山形
▲ 新庄東 山形学院
ここ数年と図式は変わらず4,5強中心の県大会となりそう。春季大会優勝の羽黒はいい戦いをしている。しっかりと試合を作っての戦いぶりはライバルから一歩先んじている感じで、夏もこの戦いぶりを継続するのであれば聖地への1番手と位置付けていいだろう。投打ともに大きな穴はなく、きっちりと戦っていけそうだ。ライバルの酒田南は、秋優勝、春準優勝と実績を積み重ねて甲子園を狙う。チームの中心はなんといってもエースの田村。149キロを計測するその剛腕がうなると聖地も見えてくる。打力が看板なのは山形中央。暑い夏を見越して、打って打って打ちまくる。ほかのライバル校とは毛色の違ったチーム編成で、8年ぶりの甲子園を目指している。昨夏の代表校、日大山形はその時にバッテリーを組んでいた大類ー梅津が今年も健在。打者の振りは伝統的に鋭く、バッテリーがしっかりとすればおのずと頂点も見えてくるはず。鶴岡東は厚い選手層にものを言わせた戦いが得意。投手陣は誰がマウンドに上がってもそこそこ投げ、打撃陣もだれが出てきてもしっかりと打てる。チームとして仕上がってくれば、最も怖い存在になりそうなチームだ。そのほかでは、2大会連続で準優勝に泣いた東海大山形が3度目の正直を狙って挑む夏の期待。8強常連になりつつある山形学院がその壁を破れるかにも注目している。
【宮城】(参加64チーム)
仙台育英に挑む東北の強力投手陣。仙台育英は、あくまでも狙いは全国制覇。
◎ 仙台育英
〇 東北
△ 古川学園
▲ 日本ウェルネス宮城 利府 聖和学院 東陵
仙台育英は、須江監督の下明確にその目標を全国制覇に定め、チームの強化を図っている。倒すべき敵の最大のものは大阪桐蔭。そしてそれを達成するための方法論をいろいろと探り、模索しているという事で、チームに一本の筋が通っている。この戦い、見ていて非常に面白いのだが、県下の各チームにおいては、この仙台育英を破らなければ甲子園の土を踏むことはできない。そのためかつてよりも非常に強化に努めている様子がうかがえる。その最たる例が東北だろう。ここ10数年程ずっと仙台育英の後塵を拝していたが、今年は2本柱のエースを押し立ててライバルに完全決着を挑んでいる。エース伊藤は全国的に見てもかなりの好投手。春の東北大会では相手を寄せ付けない好救援を連発。先発を任されるハップスらの好投に応え決勝まで進出した。対する仙台育英の投手陣は超豪華。古川、斎藤の両左腕が軸になるが、そのほかにも何人も140キロ台を記録する投手が控えており、層の厚さは全国屈指だ。打線も一皮むけた感じで、レベルの高さを誇っている。西の大阪桐蔭に対抗する東の一番手は、この仙台育英を置いてほかないような気がするが。。。東北はこの夏、仙台育英に対抗するためにはどうしても3,4点は捕ることができるような打線が欲しい。さてこの2校で決まりと思われる県大会ではあるが、昨年は東北学院が初の甲子園をつかみ取った。こういう事もあるから一発勝負は面白いのであるが、今年もそんな展開があるとすると、古川学園の名前が真っ先に上がる。エース三浦に春の県大会で2打席連続弾を放った主砲・青沼。この投打の軸で波乱を演出したいところだ。日本ウェルネス宮城は創部3年目の新鋭。エース早坂に大物食いの予感をはらませての2度目の聖地挑戦となる。そのほか利府、聖和学院、東陵などいつもの顔ぶれが打倒・仙台育英を狙って参戦してくる。
【福島】(参加68チーム)
焦点は今年もただ一つ。聖光学院の連覇はなるのか?!
◎ 聖光学院
〇 学法石川
△ 東日本国際大昌平 日大東北 光南
▲ 学法福島 いわき光洋 磐城
夏14連覇の金字塔を打ち立てていた聖光学院が一敗地にまみれた昨夏の県大会から1年。捲土重来を期してチームを立て直してきた聖光学院は、すっかり立ち直り今春の東北大会を制覇。そしてその戦いぶりが粘りに粘ってのもので素晴らしく、ことしもまた、県大会の筆頭候補に挙がるのは間違いのないところ。負けて見えてきたものがある・・・・という斎藤監督の采配は冴え、エース佐山の安定感は抜群。そのほかにもマウンドに上がれば見事なピッチングを見せる投手が並び、かつて「東北初の全国制覇は聖光」と言われていた時の勢いを取り戻した感じだ。ここ数年ともすればしっかりと振り切ることのできない打線となりがちだった攻撃陣も、今年はつきものが取れたかのようにしっかりと振り切ることができている感じで、投打ともに全く好きなく仕上がっている感じだ。そしてその粘り強さ。これが聖光野球の真骨頂で、今年に限ってはスキを見つけることが難しい戦力だ。追っていく1番手は今年も学法石川。打撃陣が春にかけて力を伸ばしてきており、一発勝負で力を発揮する態勢が整った。佐々木監督は打倒・聖光を掲げており、今年こそその大望を成し遂げたいところだ。東日本国際大昌平は、兄貴分の東日本国際大が全国4強入りした流れを引き継ぎたいところ。エース草野はMax150キロを超える剛球を操り打倒聖光に燃えている。毎年好チームを作ってくる光南は、今年もいいチームを作ってきた。あと一歩で甲子園をつかめないことが多く、昨夏に聖光学院を破った勢いそのままに突っ走りたい。昨夏の覇者日大東北は、今年は音なしの構え。しかし甲子園メンバーが残っており、どこかで弾けることができれば勢いに乗りそうな感じはある。春4強入りの学法福島も、近年しっかりと実績を積み上げてきており、今年は覇権争いに参戦する可能性がある。