第7日目の甲子園。
第4試合の花巻東で、
全出場49チームが出揃いました。
全チームで唯一勝ち上がりのチームを待つという49番目のくじ。
この位置は、
チームとして非常に難しいと言われていて、昔から強いと前評判のチームでも、
力を出しきれずに甲子園を去るということが多く起こってきた所です。
コロナ以降の過去3年間を紐解いても、
待ちのチームは全て敗れており、
それも九州国際大付、智弁和歌山、浦和学院と聞けば、
「やっぱり言われている通り、この位置は難しい」と思わざるをえません。
今年は春の東北大会優勝の花巻東がこの位置を引き当てました。
花巻東の総合力は高く評価されていましたが、
この日はやっぱり実力の半分も出せず、
という試合に終始し、
滋賀学園に0-5と完敗を喫しました。
うーん、
なんというか、
やっぱり1試合甲子園で戦っているチームとそうでないチーム、
こんなに大きく変わるんだなぁって印象が強いですね。
ノビノビと持っている力を存分に発揮した滋賀学園との、
コンディション含めてそのコントラストは、
非常に大きなものでしたね。
さて、
昨日はこれまでなかなか甲子園でいいところを出せなかったチームが、
実に溌剌と甲子園で駆け回った姿が印象的な日でした。
まずは初陣の石橋。
去年の選抜に21世紀枠として選ばれましたが、
やはり借りてきた猫のように、
やや萎縮した姿で戦い敗れ去っていきました。
多分ほとんどの人の心の中に、
石橋といっても印象として残っているものはないでしょう。
しかし今回は違います。
その選抜で「覚醒した」チームが、
強豪を自らの手で倒して掴み取った甲子園です。
戦い方にも、自信が溢れていて、
堂々としていました。
特に背番号6のエース入江クン。
いやぁ、
見事でした。
彼は見れば見るほど、
ワタシが一番大好きな、
投手としてのセンスに溢れた投手でした。
決して剛球があるわけでも、
キレッキレの変化球でバンバン三振を取るわけでもありませんが、
何しろ投手としての総合力が高くセンス抜群でした。
最近ワタシが「センスいいなぁ」と思ったのは、なんといっても金足農の吉田輝星、そして東海大相模の石田投手。
その系譜に、
石橋の入江投手も入ってきそうです。
石橋は作新に勝ったのも頷ける、
なかなかのチームでした。
そして第3試合。
強打、好投の智弁和歌山に対し、
霞ヶ浦は先発の市村が好投。
何しろ長身から低めに落ちるスローカーブは攻略難儀な代物。
さしもの智弁和歌山も、
後半までずっと手を焼きました。
8回2死まで全くチャンスすら作れず、
次打者も簡単なセカンドゴロ。
しかし、
これをセカンドが弾いてランナーを出してしまいました。
そして、これを逃さないのが甲子園での勝つ術を心得た智弁和歌山というチーム。
ここからなんと、
途中出場の高桑が特大の2ランを叩き込んで1点差。
そして返す刀で、
次打者、花田が木のバットから、
驚愕の同点弾を叩き込みあっという間の同点!
さすがは智弁和歌山。
高嶋監督時代の、
あの2001年のチームや、
2006年、2008年のチームを彷彿とさせるようなド派手な同点劇でした。
次の打者が2塁打で繋いだ時は、
「もうこれは、智弁和歌山劇場で、逆転勝ち100%」
と確信しましたが、
ここからなんと、
甲子園未勝利の霞ヶ浦が、
粘る粘る。
2番手で出てきた「チームの守護神」真仲投手が8、9回を粘って智弁和歌山にサヨナラを許さず。
タイブレークの10回も、
表に点を取れず、
ジョックロックの音色に乗ってサヨナラへのプレッシャーを球場全体でかけてくる智弁和歌山打線に相対しました。
しかも打順は2番から。
前の打席、
3、4番は大アーチを叩き込んでいますが、
真仲は臆することなく攻め続け、
見事に3、4番を切って取りました。
そして11回、
今度は自身がタイムリー。
結局最後まで強気な姿勢を崩さず、
優勝候補・智弁和歌山を破り、
嬉しい初めての甲子園勝利を飾りました。
霞ヶ浦といえば、
ワタシの中のイメージは、
「好投手を軸にいいチーム作りをしているけど、勝負弱い」
というもの。
こんなに勝負強い霞ヶ浦を見たの、
ホント初めてです。
去年も茨城代表、土浦日大は、
前評判を覆し、
4強まで駆け上がっていきました。
茨城代表、
ちょっと変わってきた感じ、
するなあ。
ということで、
全チーム出揃って、
今日からは各チームともに2戦目。
ここから、
本当の力が出てきます。
さあ、
波乱が多い今大会、
どうなっていくのでしょうか。