このコロナ禍で、
たくさんのスポーツが多大なる影響を受けました。
その中でもボクシングは、
大きな影響を受けたスポーツと言えるでしょう。
常に「世界タイトルマッチ」でチャンピオンを決めるスポーツで、
究極のコンタクトを相手と取るスポーツです。
しかも巨額のおカネが動くとあって、
なかなか試合自体が組まれるのが難しく、
「世界チャンピオン」であっても試合枯れの状態が長く続きました。
日本でも、
日本の誇る井上尚弥、そして村田諒太の両チャンピオンは、
世界の注目を集める中でもなかなか試合が組めない時期が、
昨年、今年と続いています。
井上尚弥はそれでも昨年11月にラスベガスでタイトルマッチを行い、
期待通りにKO勝ちを収めましたが、
陣営の思った通りに「新たなる目標」に向かって進んで行っているとはいいがたい状況です。
村田はもっと深刻で、
2019年12月に世界タイトルマッチを行って以来、
現在に至るまで試合すら組めていません。
ビッグマッチ志向でなんとかビッグネームとの対戦を望む村田ですが、
正直ボクサーとしてそんなに時間は残されてはいません。
現在35歳の村田にとって、
せっかく世界タイトルを保持しているこの時期に試合枯れなんて、
本当にシャレにもなりません。
そんな状況の中、
週末に二つの注目される世界タイトルマッチが行われました。
≪5/29 米・ラスベガス≫
◇WBC世界ライト級タイトルマッチ 12回戦
チャンピオン 同級3位
デビン・ヘイニー(米国)〇 12R 判定 3-0 ● ホルヘ・リナレス(帝拳)
(116-112、116-112、115-113)
まずは村田諒太のジムの仲間でもある、
帝拳ジム所属のホルヘ・リナレスが「最後の挑戦」と意気込んで挑んだライト級のタイトルマッチ。
評判の高いチャンピオン・ヘイニーに対して、
老練なリナレスがどこまでやれるか、注目していました。
試合は予想通りヘイニーがそのスピードを生かした出入りの早いボクシングでリナレスを翻弄。
ダメージは互角に見えるものの”見栄え”の点で劣るリナレスは、
時折いいパンチを入れるものの捕まえきれずズルズルとラウンドを消化していきました。
しかしボクシングとはわからないもの。
終盤その年齢とブランクから動きが落ちてくると思われたリナレスが、
10R終了間際に強烈な右を入れてヘイニーをぐらつかせました。
そして11Rもそのダメージが残るヘイニーは、
マー「久しぶりに見たよ」というぐらいの「抱きつき戦法」に出てリナレスにクリンチの嵐。
リナレスは振りほどいて仕留め切るエネルギーは残っておらず、
すんでのところでヘイニーは12Rも逃げ切り試合は判定に持ち込まれました。
ベガス出身で「超地元」のはずのヘイニーのこのファイト、
お客さんは大きな不満を大ブーイングで表していましたね。
結局判定は前半の貯金がモノを言ってヘイニーの手に。
しかしながら、
ワタシの感想ですが、
「こんなファイトでロマチェンコやティモフィオ・ロペスと戦おうなんて100年早えぜ!!!!」
って感じで、
ヘイニーはワタシの「追いかけたいボクサーリスト」からは完全に外れました。
世界のファンも、こう思っている人多いんでないの?
リナレスは最後いいファイトをしてくれました。
帝拳に所属して大の親日派のリナレス。
これまでもいくつもの思い出に残るファイトでわかせてくれましたが、
さすがにこれが最後の世界戦になるかもしれません。
しかし十分にその力がまだまだ世界のトップにあるという事を見せてくれましたので、
捲土重来を期した今後に期待を持っています。
≪5/29 米・カーソン≫
◇WBC世界バンタム級タイトルマッチ 12回戦
チャンピオン 同級1位
ノルディーヌ・ウバーリ(フランス) ● KO 〇 ノニト・ドネア(フィリピン)
4R 1分52秒
そしてもう一つは、
衝撃の試合となりました。
38歳の「伝説のボクサー」ノニト・ドネアが、
ウバーリの持つバンタム級のタイトルに挑戦。
あの井上尚弥との「スリラー・イン・サイタマ」の激闘は深く記憶に刻まれていますが、
あのドネアもすでに38歳。
峠は越えたボクサーとみられていて試合前のオッズでもウバーリ優位。
しかもこの対戦、昨年3度も延期されてこの日を迎えたとあって、
ウバーリの優位は動かないものと見れてていましたし、
ワタシもそう思っていました。
しかし。。。。
リングに登場してきたドネアを見て、
「よく体が締まっているなあ」
との印象を抱き、
さらにゴングが鳴ってその動きを見て「動きもなんだか、かなりいいぞ」
との感を強くしました。
そして衝撃は3ラウンド。
強烈なカウンターの左でウバーリをマットに這わせると、
終了間際にも同じく左の一撃で2度目のダウン。
ふらふらと立ち上がり目の焦点も会わないウバーリは何とかゴングに救われましたが、
4ラウンド、
今度は右が一閃。
さすがのウバーリも今度は立ち上がることができずKO。
ドネアが見事にチャンピオン返り咲き。
それも全盛期を思わせる強烈な印象のノックアウトで、
井上尚弥への挑戦権を手に入れたといってもいいでしょう。
彼自身「井上尚弥と戦うために今日のベルトを取った」とコメントしていますから、
井上VSドネアのパート2、
現実味を帯びてきましたね。
しかしまあ、
5階級制覇のフィリピーノ・フラッシュは健在でしたね。
何だか体自体も、
2年前よりも若返っているようにも見えたりして、
これはすごいなあと思います。
井上との再戦も因縁がらみでもありますし、
もし再戦が行われれば、
彼自身が彼のボクシング人生のすべてをかけて向かってくると思います。
考えただけでも恐ろしい。
しかし井上尚弥に関しては、
そんなヒリヒリしたビッグマッチこそ、
彼が上がるリングとしてふさわしいと思います。
ビッグネームとのビッグマッチ。
やっぱりこれですよ。
井上は今月行われるベガスでのタイトルマッチにサクッと勝って、
ドネアとの再戦に臨んでほしいものです。
そしてこれを打ち破ったならば、
来年ピーチクパーチクとうるせーもう一人のチャンピオンとの統一戦ですね。
こいつは多分、
5R持たないと思うけどね。
そんな風に、
ドネアの復活で止まっていたバンタム級の時計も、
動き始めた感じがします。
そして先週、
村田諒太にも動きが。
当初は5月にも予定されていたタイトルマッチがお流れになった村田。
そんな村田のタイトルマッチに、
GGGGことゴロフキンの名前が上がりました。
12.28 に、
東京ドームでの対戦に合意したと報じられています。
こんな「大箱興行」ですから、
ワタシは夢として、
「村田vsゴロフキン」「井上尚弥vsノニト・ドネア」
のスーパーダブルタイトルマッチを夢見てしまいます。
そうなったら。。。。
どんなことをしてでも、
ドームに駆け付けるぞ~~~~~
なんて勝手にひとりで、
盛り上がっています。
日本のボクシングシーンも、
ついにまた盛り上がってきそうな気配がしてきました。