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16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

井岡一翔の落日。 しかし、いいファイトだった。

2024年07月08日 | ボクシング

7/7LIFETIME BOXING FIGHTS22 ~両国国技館~
 ◇WBA・IBF世界Sフライ級王座統一戦 12回戦

IBFチャンピオン                        WBAチャンピオン
フェルナンド・マルチネス(アルゼンチン) ○ 12R・判定3-0 ● 井岡一翔(志成) 
              116-112、117-111、120-108


昨日七夕の夜に行われた、
世界スーパーフライ級の統一戦。

午後8時開始というのは、
東京ではちょうど都知事選の開票が行われる時間だったので、
その速報を見てから、その目を両国のリングに移して中継を見ました。


このスーパーフライ級という階級、
ほんの数日前に”バム”ロドリゲスが長く王座を守ったこの階級の顔ともいえるエストラーダを完膚なきKO勝ちで破り、
新たな時代に突入したことを感じさせてくれる階級です。

そしてそのエストラーダを、
「とにかく戦いたい」と追っていたのが井岡。

その追い方になんだか納得できないことも多く、
昔から「強者とのファイトを回避してきた」と言われることも多かったので、
ワタシはなんだか井岡には思い入れることができず、
まあそこそこ「やっていれば見る」ぐらいの興味ではありました。

しかし井岡が世界の中でも技術的には非常に優れたボクサーだというのは認識していましたし、
ワタシが追いかける中谷潤人とか、ほかのバンタム級世界チャンピオン当たりと絡んでくれば、
また興味をもって見られるなあと思ったりしていました。


そんな井岡の昨日のファイト。

もとより相手のマルティネスがかなりのファイターだということが言われていて、
「いつものようにはいかないはず。井岡の目論見も崩れるかも」
と言われていたファイト。

しかも”恋人”とまで言われていた、狙っていたエストラーダが敗れたことで、
今後のビジョンが描きにくくなった中でのファイトとなりました。


ゴングが鳴って試合開始。

試合は初回から、
マルティネスが予想された通りグイグイと前に出て来て強打を振るってくる立ち上がり。
最初から押され気味に立ち上がった井岡、
しかしボディに強烈なパンチを打ち込んでマルティネスの足を止め、
「さあここから」という感じに、序盤2,3回までは見えました。

しかし、
マルティネスはひるまずどんどん圧をかけてくるだけでなく、
見栄えのいい攻勢をかけた後は少し引き気味で休み、
またラウンド後半で圧をかけるという、
実に「判定でポイントを奪う事を心得た」戦いをしてきました。

そこに井岡は対応することができず、
毎ラウンド「劣勢かな」「ポイント、取られたかな」という感じの試合になりました。

そしてマルティネス、
凄いスタミナで、
最終回の最後まで、
結局そのスタミナが落ちることはなく、
最終回のゴングを聞く頃には、
会場の観客だけではなく、映像を見ているファンのだれもが「ああ、これはマルティネスの勝ちだな」
と明確に思うほどの大差がつきました。

マルティネス。
ホント、強いです。

これはマルティネスとバムとのファイトは、
ホント面白いことになりそうです。

スーパーフライ級といえば、
日本人選手たちも多数いる階級ですので、
これからこのラテン系の二人のスーパーファイターが、
日本人ボクサーの前に立ちふさがりそうです。

ひと階級上のバンタム級は、
現在4団体がすべて日本人チャンプで埋められています。

この4人の那須川、堤などのプロスペクティブを加え、
そこにこの2人が階級を上げてきたりしたら、
なんだかものすごく面白いことになってきそうですね。

今後に期待が持てます。


さ~て井岡選手。

長い間、
本当にお疲れさまでした。

今後のことはまだわかりませんが、
多分これで現役引退なのではないかと思いますね。

もしやるとしたら、
1階級上げてバンタム級に参戦するという選択肢はありますが、
上げてもすぐにタイトルに挑戦出来はしないでしょうから(昨日負けたことで)、
ちょっと逡巡してしまいますよね。

階級を上げて、
那須川選手あたりと戦ったら、
面白いとは思いますがね。

井岡選手は一時期一度引退したころ、
いやっ、その前のローマン・ゴンザレス選手との対戦を拒否したあたりから興味を失ってはいましたが、
思い出すのは日本人とのファイトですかね。

ひとつはミニマム級での、八重樫選手との激闘。
そして田中選手とのタイトルマッチですね。

この両ファイトでは、
井岡選手がその強さを見せつけて勝ちましたね。

それを見ていたワタシも、
「井岡は強いなあ」
と思ったものでした。

しかしそれ以外のファイトでは、
思い出せるものはありません。


つくづく思うのは、
やっぱりボクサーは、
「どういう相手と、どういう激闘をしたか」
に尽きるという事ですね。

長く語れるのは、
そういうことのほかにはないですね。

何回防衛したとか、
何階級制覇したとか、
そんなことはホント、
そのボクサーの価値のほんの一部でしかないと思います。

ファンの心に、
どういうファイトを残してくれたのか?
それがすべてですね。


そういう面では、
井上尚弥も村田諒太も、
長谷川穂積や山中慎介も、
想い出に残るファイトを残してくれました。

世界チャンピオンになっても、
年に2回か3回しかお目にかかれないボクシングという世界。

やっぱり何を獲ったかではなく、
どう獲ったのかというのが、
問われています。



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