≪第85回選抜高校野球大会≫
【第3日】
日曜日を迎えた甲子園。
第3試合で、
聖地は20年ぶりに、
『全力疾走の土佐』を迎えました。
ずっと昔から『高知県NO1』の進学校にして、
野球でもたびたび甲子園にそのさわやかな風を巻き起こしてくれた土佐高校。
1953年夏の選手権では、
決勝で9回同点に追いつかれて、
惜しくも真紅の大旗を持ち帰ることのできなかった土佐高校は、
『優勝旗なき優勝』
とたたえられました。
春のセンバツでも66年に決勝まで進出するなど、
高知商、高知とともに半世紀以上の長きにわたり高知県の高校野球界を引っ張る存在です。
名物監督であった籠尾監督は、
66年から土佐の監督を務めて土佐高校一筋の『名物監督』。
全力疾走の土佐の伝統を受け継ぎ、
きびきびとした野球とあくまで正々堂々と正攻法で強豪に向かっていく潔さで、
高知県のみならず、全国に『土佐高ファン』を増やしていきました。
その籠尾監督去ってからも(2002年死去)、
土佐は高知県大会では脂の乗り切った強豪・明徳義塾などにも毎回『あと一歩』まで食い下がり名門校の矜持を見せ続けていますが、
あと一歩届かずという試合が続き、
夏は89年、春は93年から、
聖地には届かない年が長く続いていました。
(特に、のちに慶応で活躍する横手投げの合田投手率いるチームの時は惜しかった。)
今大会、
その強豪の土佐が『21世紀枠』で甲子園に出場すると聞いて、
『なんかの間違いだろ?』
とワタシは最初思いました。
だって、
『土佐のような強豪に、失礼だろ!!』
と思ったからでした。
(勝手に、甲子園で決勝に2度も進出している学校に、21世紀枠はまさかないだろうという思い込みもありました)
しかし考えてみれば、
土佐ほど【文武両道】を実践し、
試合マナーの良さが際立つ素晴らしい野球チームはありません。
【21世紀枠】
に若干の引っ掛かりを感じながらも、
ワタシはこの土佐の【甲子園帰還】を本当に2か月待ちわびていました。
そして昨日、
土佐の純白のユニフォームと胸マークがグラウンドに入ってきたのを見て、
胸が張り裂けそうな思いになりました。
この土佐高校、
池田高校と並び、ワタシが高校野球で最も好きなチームです。
土佐高で強烈に印象に残っているのは、
なんといっても75年夏、そして翌年春の、
玉川選手ですね。
初戦の桂高校戦でのサイクルヒットは、
鮮烈な思い出として今も心に残ります。
昨日対戦相手である浦和学院の森監督が、
『土佐高にあこがれて高校野球の道を志した』
と話していましたが、
たぶんその年の3回戦、
上尾高校との死闘のことを言っていたんでしょう。
森監督、上尾高校の出身ですからね。
当時埼玉に住んでいて上尾の大ファンだったワタシは、
相手だった土佐高校との試合、
ずっと緊張のしっぱなしで見ていました。
大接戦で、終わった時にはどっと疲れてしまったのを覚えています。
そして翌年の春のセンバツでの、
1回戦での豊見城高校との戦いも印象深いですね。
強豪の豊見城は赤嶺投手を擁し、
初戦から赤嶺vs玉川という、
高校野球ファン垂涎の戦いとなりました。
4-2でリードして逃げ切る寸前の土佐の左翼手が、
9回2死から何でもないフライを落球して1点差、
そして同点のホームを狙った1塁ランナーがホーム寸前タッチアウト!!
という、
劇的な幕切れでした。
ナイトゲームとなったこの試合の幕切れ、
カクテル光線に光ってこの上なく美しかったことを思い出します。
そんな土佐高校。
昨日は優勝候補にも挙がる浦和学院が相手でしたが、
堂々と『土佐の野球』を繰り広げてくれました。
全力疾走は試合終了後のアルプスへのあいさつ時も止まることがなく、
まさに選手たちは『駆け抜けて』くれました。
『守って守って、勝機をつかむ』
という土佐高カラーがやや出なかったのは残念でしたが、
それでも強豪の浦和学院を何度もあわてさせる場面を作り、
【土佐高校の矜持】
を発揮してくれました。
5000人以上が詰めかけてぎっしりと埋まったアルプスからは、
昔ながらのコンバットマーチが鳴り響き、
選手を後押ししました。
見ていて本当に楽しい2時間でしたね。
敗れはしましたが、
この試合を『土佐復活』の1ページとし、
また甲子園に戻ってきてください。
しぶとい土佐野球、
ぜひまた大甲子園で。
待っています。
それにしても、
やっぱり名門の野球は、しびれるねえ。
【結果】
第1試合 尚志館(九州・鹿児島) 2-1 大和広陵(近畿・奈良)
第2試合 北照 (北海道) 7-0 菰野(東海・三重)
第3試合 浦和学院(関東・埼玉) 4-0 土佐(四国・高知)
それから、
北照の戦力がいいねえ。
投打のバランスがよく、動きが他校よりも一枚上の印象です。
北海道勢のVへ向けて、
視界は良好です。
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