昨日も書きましたが、
NFLのシーズンは12月に入り佳境を迎えています。
今週末は各チームともに残り3戦を残す戦い。
この段階で昨日は、
AFCの優勝を左右する大一番が行われました。
そしてこの試合が、
NFLの凄さ、面白さをまさにぎゅっと詰め込んだような戦いとなったので、
書き残しておきたいと思い、記事を書くことにします。
対戦カードは、
ピッツバーグ・スティーラーズ(PIT) vs ニューイグランド・ペイトリオッツ(NE)
どちらもAFCに属する両チーム。
NEは東地区、PITは北地区に属しています。
両チームともにリーグ屈指の強豪であることは間違いのなく、
NEは昨年のスーパーボウルチャンピオン。
一方PITは昨年AFCチャンピオンシップまで出場するも、
NEの前に涙をのみました。
今年もシーズン前から、
この両チームの前評判が高く、
AFCのチャンピオンシップは、
2年連続この両チームで戦われるだろうというのが大方の予想でした。
両チームは、
大黒柱のQBに、
『将来の殿堂入り間違いなし』どころか『生きる(現役を続ける)伝説』のような大選手を配しています。
昨季のスーパーボウルMVPにして、『NFL史上最高の選手』という称号に誰も疑いを持たないのがNEのブレイディ。
一方のPITのQBであるロスリスバーガーも2度のスーパーボウルチャンピオンに輝くなど将来の殿堂入りは間違いのないパサーで、
この両者が激突する試合は、
本当に見ている方にとってはたまらない試合となります。
そして今季。
予想通り両チームは快進撃。
先週までの成績では、PITが11勝2敗、NEは前週に不覚を取ったものの10勝3敗。
既に地区優勝を決めている両チーム、AFCの1位と2位の直接対決となりました。
PITが勝てばAFCのプレーオフ第1シードがほぼ確定。
NEは勝って追いつきたい・・・・という重要な対戦。
まさに日本風にいえば”天王山”そのものの対戦でした。
場所は熱狂的なファンの多いピッツバーグ。スティーラーズのホームゲームです。
試合は一進一退の攻防で、
第4Qの残り3分ほどになりました。
得点はPITが24-19と5点のリード。
そして攻撃は、PITが行っているという状況です。
自陣30y付近での3ダウン4の攻撃。
そこまでの試合はすべて端折って、
ここから残り3分を見れば、
NFLの面白さは、すべてわかるという試合になりました。
この3ダウン4。
PITがファーストダウンを奪えば、
そのまま時計を流しつつ勝利に飛び込める・・・・・・という状況。
NEとしては守備陣が、
なんとしても相手に1ダウンを与えずに自分の攻撃にもっていきたいという『息の詰まるプレー』でした。
PITのロスリスバーガーはショートパスを選択。
レシーバーはがっちり取りますが、
NEの守備陣が渾身のディフェンスで彼を止め、
ファーストダウンを許さずに自分たちの攻撃に導きました。
まず初めの試合のポイントがここでしたね。
そしてパントの後、
今度はNEが自陣23ヤードからの攻撃を開始します。
残り時間は2分6秒。
NEのQBはもちろんブレイディ。
彼はこれまでのQB人生で、
第4Qでの逆転勝ちをなんと50回も達成しています。
『逆転のブレイディ』とでも呼びましょうかね。
野球でいえば、
9回逆転打、サヨナラ打を50回も打っている『チョ~勝負強い』神がかった選手というイメージですね。
しかし最初のプレー。
ブレイディはパスコースを読まれ、
半速球的なパスが相手ディフェンダーの懐にすっぽりとはまるような場所へ。。。。。
『あっインターセプトだ~』
誰もが思うようなプレーでしたが、
PITのディフェンダー、これを痛恨の落球。
取っていればその瞬間に試合が終わるプレーでしたが、
NEは、そしてブレイディは、
命拾いをしました。
そしてその後は、
『これが”生きる伝説”ブレイディだ!』
と自ら叫んでいるような、
見事すぎるパスを次から次に。。。。。
30y、20y、10y・・・・・・
あっというま、
まさにあっという間に、
NEはタッチダウンを奪い、
大逆転に成功しました。
1988年に、
SFのジョー・モンタナがスーパーボウルで見せた『ザ・ドライブ』をもしのぐような、
見事すぎるドライブ(攻撃)でした。
その間わずかに70秒!!!!!
驚きの『電光石火の攻撃』でした。
そしてその後のPATで2点コンバージョンを成功させ、
この時点で得点は27-24と3点差になりました。
試合時間は残り56秒。
PITは選手、スタンドともに意気消沈していましたが、
QBロスリスバーガーと攻撃陣だけは、
燃え滾っていました。
『絶対逆転したる!』
そして自陣20yからの攻撃。
QBロスリスバーガーから放たれたショートパス。
それを取ったレシーバーが、
相手ディフェンス陣の突進をステップを切ってかわし、
走って、走って、まだ走る~~~~という大激走。
まさに『天国への大激走』を見せ、
逆転へのおぜん立てをしました。
なんとこのプレーで69ヤードのビッグゲイン。
今度はPITが、
あっという間に敵陣10ヤードの地点まで攻め込みました。
たった1プレーで、
目まぐるしく動く展開に、
スタンドは大盛り上がり。
残り時間は34秒。
しかしここまで来たので、
PITにとっては、
もうフィールドゴール(3点)で同点は確実。
ということは、
3回攻めてタッチダウンを狙い、
ダメならFGで同点。。。。。
どうあっても、
この時点で『負けはないな』という感じで思ったと思います。
そりゃそうです。
しかしここからまたドラマが。。。。
自陣10yからのPITの攻撃(1ダウンゴール)。
ロスリスバーガーは見事なパスをTEに通して、
TEはエンドゾーンを超えて見事なキャッチ!!!
大、大、大ぎゃくて~ん!!!!!
スタンドは沸きに沸きました。
ファンたちは皆、
『この世の幸せ、独り占め』みたいな歓喜の表情。
しかしNEベンチから、
『チャレンジ』のコールが。。。。
チャレンジとは、
要するに今年の日本シリーズでも行われたような【ビデオによるリプレー検証】。
これによって判定が覆るケースも、
多々あります。
テレビの画面で映像を見ていると、
どこをどう見てもTDにしか見えない感じでしたが、
『まあ、NEとしてみればどうせ負けだから、やるだけやってみようって感じだろうな』
なんて思っていると。。。。。
判定は、
まさかまさかの『キャッチが正当に行われていないので、パス不成功(インコンプリート)』
という逆転判定。
その瞬間、
スタジアム中が『え~~~~~~~っ』という大きな驚きと怒号とため息、
そんなものに支配されていました。
ということで、
PITの得点は取り消され、
仕方なく再度10y地点からの2ダウンゴールの攻撃継続となってしまいました。
そして悲劇は起こります。
2ダウンで4y進んだ後の3ダウン。
ロスリスバーガーは、
レシーバーに『無理くりのパス』を通そうとしますが。。。。。。
なんとNEディフェンダーの手にはじかれ、
高く舞い上がったボールはもう一人のNEディフェンダーの手にすっぽり!!
『まさか!!!』
そう、
まさかの、
痛恨のインターセプトとなってしまったのでした。
ありえないような劇的な展開。
そしてPITは敗れ、
NEは貴重な勝ち星をアウェーで拾って、
AFCトップチームとして両チームが、
並ぶことになったのでした。
最後のプレー。
ロスリスバーガーとしては、
『なんとしてでもタッチダウン』
以外考えていなかったのでしょうね。
針の穴ほどもスペースが開いていない場所に、
投げ込んでしまいました。
パス不成功なら、
FGで同点・・・・・
そんなシーンでしたが、
全くフットボールという競技も、
最後の最後まで何が起こるかわかりませんね。
解説者も『今季最もエキサイティングな試合でした』と言っていた通りの、
まさに『残り2分の大激闘』が展開されましたね。
NFLでは、
前後半残り2分となったところで、
2ミニッツ・ウォーニングと言って、
時計を一度止めます。
そこからの2分間に強いチームが、
勝ち上がっていける要素を持っていると言えるでしょうね。
かつてはジョー・モンタナ(SF)や、
”ミスター・カムバック”と呼ばれたジョン・エルウェー(デンバー)などが『逆転勝ち』の演出者として有名でしたが、
いずれにしても「最後のここという時に強い男」でなければ、
NFLでは栄光を手に出来ないし、
人々の胸に残る”伝説”とはならないということでしょう。
両軍の選手、そしてベンチの虚々実々の駆け引きも楽しめるこの2ミニッツ。
NFLの醍醐味がギュッと詰まっています。
そして今シーズン。
AFCはこの2強。
そしてNFCは攻撃力が図抜けたフィラデルフィア・ミネソタ・ニューオリンズ・LAラムズの4チームが、
覇権争いに絡んできそうですね。
まだお楽しみは始まったばかり。
NFLの季節は、
これからです。
なんとしてもこの試合を『忘れる前に』残しておきたくて、
記事を書いてしまいました。