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16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

選抜出場校  こんなこと思い出しました 2017(その2)

2017年02月14日 | 高校野球

思いつくまま、気の向くままの連載記事。
第2回は『関東編 その1』です。



≪選抜出場校 思い出編2≫


関東代表  作新学院(栃木)     10度目(5年ぶり) 
                            夏12度出場  甲子園通算36勝18敗 優勝3回

昭和37年の作新学院の史上初の春夏連覇を知らないワタシにとって、【作新】と言って思い出すのは、江川のいた昭和48年春夏と、昨年の夏の全国制覇ですね。江川世代で『全国制覇、まず間違いないだろう』と言われたながら内部からの崩壊で頂点まで届かなかったのを最後に、作新は長い低迷期に入るのですが、その低迷期を打破してチームを生まれ変わらせたのが、現在指揮を執る小針監督ですね。昭和48年の江川フィーバーは、ワタシも鮮明に記憶があります。『江川はすごかった』ということとともに、1点すら取るのに四苦八苦していた夏のチームの打力にがっかりした思い出も同時にあります。やはり『関東の強豪』だっただけに、ワタシの注目度も高かったのですが、それだけに落胆も大きかったのが現実。今よりもずっと辛辣だった新聞・雑誌の記事やスタンドから聞こえるヤジなども、あまりにも打てなさすぎる作新に対して、『江川をちょっとは助けてやれ』というものばかりだったように記憶しています。その時と比べて、同じく剛腕をマウンドに立てたチームであったにもかかわらず、昨年の作新は本当に良く打ってエース今井を援護していましたね。小針監督就任後、思いっきりのいい打力を身につけたニュー作新学院。同じユニフォームを着ているものの、その印象は昭和の時代とは全く違うものです。それにしても現在の作新のチーム、本当に良く振れた選手が打線に並びます。素晴らしいのは、毎年夏に向けてグッとその力をあげるということ。『高校野球の2年半』というものを熟知して選手を鍛え上げている感じがして、彼らのメソッドの精密さに舌を巻きます。小針監督初采配の時から、8年間で7度の夏の代表を手にしており、優勝、4強、8強など、まばゆいばかりの戦績を残し続けています。作新学院が復活してくるまでの間、栃木県勢も関東の中でまったく存在感を発揮することができない年が長く続いていました。しかし、やはり名門・作新の復活とともに、県全体のレベルも確実に上がってきており、県高校野球界のリーダーの存在というのはかくも大きいものなのかと、改めて思っているところです。昨年の全国制覇チームも、秋の新チーム結成時から春にかけては苦しみ抜きました。それから見ると、今年は剛球エースもスラッガーも不在には見えますが、秋は関東大会を制して春に臨んできます。素晴らしい打力を持つ復活・作新が、昨夏の全国制覇を皮切りに勝ち方を覚えて『黄金の10年』を刻んでくるかもしれません。西の大阪桐蔭・履正社に対抗する、東の作新学院となれるのか。今年も作新の戦いから、目が離せません。




関東代表   前橋育英(群馬)  2度目(6年ぶり)
                            夏2度出場 甲子園通算 6勝2敗  優勝1回 

このところのワタシ。関東大会を見る機会も多いのですが、一番ワクワクしながら見るのが、実は群馬県のチーム。かつては全国制覇経験もなく、『そこそこの強さ』だった群馬県勢、今では毎年の関東大会で上位は当たり前の強豪県にすっかり変身して、素晴らしいチーム力を発揮します。そしてその群馬勢の中で、健大高崎とともに現在『2強』として大会を引っ張る存在なのが、この前橋育英です。ご存知の通り、2013年夏には2年生エース・高橋光成を擁して快進撃の末初出場で全国制覇を達成。苦労人でもある荒井監督に率いられ、アグレッシブな守備と『凡事徹底』のチームスローガンを実践していく選手のたくましさは、群を抜いていました。あの大会、高橋光成という2年生ながら大会屈指の好投手を擁するとはいえ、優勝まで届くとはだれも思っていなかったのではないかと思います。しかし、初戦を1-0、2戦目も1-0と『好投手と支える守備の凄さ』で勝ちあがると、もうアンストッパブルな存在となって、グイグイと頂点に向かって駆け上がっていきました。あのチームのキャプテンにして荒井監督の息子であるサードの荒井選手をはじめ、水も漏らさぬ守備を見せた二遊間、ファーストなど、あれほど『守備で魅せる』チームは今までなかったのではないかと思われるほどの『超絶プレー』の連続でした。特に相手に送りバントを許さないというあの守備のアグレッシブさは、高校野球の歴史に残るであろうすさまじさでした。その後は少し苦しい時期が続きましたが、2年間の沈黙を破り昨年は春の関東大会を制覇。今度は140キロを超える速球が武器の投手を何人もそろえて、ローテーションを組みながら大会を戦っていくという新しいスタイルを構築しました。3年ぶりに戻ってきた夏の甲子園では、リードする展開の中1つのミスから沖縄の嘉手納に飲み込まれて敗退しましたが、彼らが味わった『甲子園の苦さ』がまた、チームを成長させるサプリになったような気がしてなりません。ということで、今年の選抜、ワタシの中の大注目チームの一つが、この前橋育英です。いったいどんな野球を見せてくれるのか。楽しみです。





関東代表   健大高崎(群馬)   3度目(2年ぶり)
                              夏3度出場 甲子園通算 11勝5敗   

そして前橋育英とともに、強豪県となった群馬の盟主に躍り出たのが、この健大高崎です。すい星のごとく登場してきたのが2011年夏。デビューの年から、健大高崎はその輝きを甲子園で見せていました。初戦の名門・今治西戦で9回逆転勝ちを収めて鮮烈なデビューを飾ると、2回戦では横浜と対戦。この年の横浜。県大会で選抜優勝校である東海大相模を完璧な野球で下し、この大会でも堂々の優勝候補に名前を連ねるチームでした。関東にいる人間として、いつも関東大会等で見ている試合では、横浜や東海大相模などと対戦する北関東勢は、どこか気後れがあるのか普段の力を出せないままズルズルと強豪のオーラに飲み込まれ、結局完敗に終わってしまうということが多く、この試合もそういうイメージで試合を見ていました。しかしながら、この大会で初めて見る『健大高崎』という新興チームは、強豪の横浜に対して全くおくすることなく戦いを挑み、9回サヨナラ負けをしたものの、互角以上の戦いを見せてくれました。この戦いぶりは、ワタシにとってはかなりの衝撃でした。なんとなく関東における高校野球の流れが変わりそうな予感というものを、ほのかに感じることができる試合でした。
『おっ健大高崎って、注目していいチームだな』そんなことを思いました。そして翌年の選抜。健大高崎は、前年の勢いそのままに、選抜に出場を果たしました。そしてそのセンバツで、ついに健大高崎の代名詞である【機動破壊】が甲子園の舞台で存分に発揮されるのです。とにかく、塁に出たらランナーは『次の塁を狙う』ということが徹底されていて、選抜の大舞台で天理、神村学園などの強豪を連破して4強に進出。準決勝でも春夏連覇を達成する大阪桐蔭に対して果敢に挑み、終盤まで互角の勝負を展開しました。この選抜の活躍で、わずか春1回、夏1回の甲子園出場歴にもかかわらず、健大高崎は『野球が面白い』ということで全国のファンの脳裏に深く刻み込まれ、『次の全国制覇候補』として認識されていったのです。その後も健大高崎の躍進はすさまじく、5回の甲子園ではすべての大会で初戦突破。そして初出場時を除いては、必ず1大会で2勝以上を挙げています。チームの特徴は、攻めては”機動破壊”で相手を徹底的に痛めつけ、守っては必ず継投策を取って投手を早めに変えていくことで、相手に的を絞らせずトータルで失点を防いでいくという策を取ります。とにかく、勝つためのメソッドがしっかりしていて、選手たちはしっかりとベンチの意図を理解して動く、総合力の高いチーム。県内のライバル、前橋育英と桐生第一に全国制覇の先を越されていますが、今後『健大高崎の天下取り』はどんどん加速していくことと思われます。ストライプのユニフォームが輝く瞬間は、いったいいつになるのでしょうか。



(つづく)


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