≪選抜出場校の思い出 その7≫
近畿代表 天理(奈良) 27度目(3年ぶり) 優勝1回
夏29度出場 優勝2回 甲子園通算 79勝51敗
天理が、3年ぶりの甲子園出場です。とにかく常に甲子園に顔を見せる天理なので、3年ぶりでもなんだかすご~く久しぶりの感じがしますね。近年は長年のライバル、智弁学園が凄く力を伸ばしてきたため、なんだか少しだけ押されているような感じのする天理ですが、出場してくれば必ず何らかの爪痕を甲子園に残してくれるチームです。天理といえば、まず最初に思い浮かぶのは「何しろ体格のいいチーム」という事ではないでしょうか。高校野球界で「凄い体」のチームといえば、西は天理、東は帝京ってとこでしたかね、ちょっと古いですが。天理はなにしろ、ムキムキというよりも「ガタイがいい」選手が揃っていて、身長も高く、「デカッ」って感じの選手が多く、反対に帝京は、いわゆる「ガタイがいい」というよりも「マッチョ」「ムキムキ」って感じの選手が揃っていましたね。最近は強豪の各校が「体づくり」に非常に力を入れて、食トレによりでっかい選手をいっぱい作って甲子園に出てきますが、天理はそんなことが行われる前からのデカいチームでしたね。このデカさ、パワーに技術、戦術が伴ってきたのが昭和60年代ぐらいからで、そこからが天理の黄金時代でしたね。昭和62年、平成2年と間を置かずに2度夏の全国制覇を成し遂げ、強豪としての地位を確固たるものとしました。そして明確な黄金時代が過ぎても、コンスタントに出場を重ね、「これぞ天理」という戦いを長年にわたって示してくれています。息の長い強豪校ですね。そして近年は、イケメンでストイックな応援団長にもスポットが当たったりして、天理の違う一面もなんだか垣間見えるようになってきましたね。ここのところ智弁学園に奪われがちな「奈良の代表チーム」の地位、奪い返すような戦いができるか、注目です。
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これで3年連続となる春。昨春は日ハムにドラ1で指名され入団した達投手が話題となり4強まで進出したものの、夏はライバルの智弁学園に覇権を譲りました。その智弁が準優勝まで駆け上がったので、天理としてもここからまた存在感を発揮していきたいと思っていることでしょう。天理といえばなんといってもその強打と毎年現れる剛腕が話題となるチーム。選手たちの体格の良さ、そして長年変わらぬ見事なブラバンによるアルプスの応援、さらに最近は「アルプスで試合中ずっと微動だにしない応援団長」なんていうのも話題になりました。もう50年も甲子園を沸かせ続けてくれているバイオレット軍団。さて今年はどんな姿で甲子園に姿を見せてくれるのでしょうか。
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昨年は、秋の近畿大会を制して勇躍選抜に登場してきた天理でしたが、大会が行われずに悔しさばかりが残ってしまいました。夏は独自大会こそ制したものの、甲子園交流試合では広島新庄にまさかの惜敗。何か燃えきれないものが残ったシーズンとなってしまいました。今年も大型選手が残り期待されて秋を迎え、県大会ではライバルの智弁学園を一蹴。「今年も天理は強いぞ」といわれ近畿大会に突入しましたが、準々決勝で大阪桐蔭に一方的に打ち込まれてコールド負け。「近畿6番手か7番手」という評価の中、選抜出場が微妙となって苦しい冬を過ごしました。しかし1月29日、近畿最後の枠で出場権を何とか勝ち取り、捲土重来を期して春の選抜は「狙いに行く」大会になりそうです。秋に敗れた大阪桐蔭へのリベンジももくろんでいることでしょう。去年の秋には、天理を2度全国制覇に導いた橋本元監督が逝去。その弔い合戦となるこの選抜は、天理にとっても特別な大会になると思います。中村監督は初優勝の時の橋本監督の教え子。監督ー主将という濃密な間柄で、橋本イズムを受け継ぐ人物です。心に期するものもあるでしょう。「大型だが粗い」といわれた天理が、橋本監督時代にはその粗さが取り払われて豪快さだけを残した「完成形のチーム」に仕上がり、5年の間に2回の全国制覇を達成したのは、本当に橋本監督の功績が大きいでしょう。それまでは長いこと、どうしても「全国3勝」の壁が破れずに悔し涙に暮れていた天理の姿を知っているだけに、初優勝時の喜びには感慨深いものがありました。「当時から全国一美しい音色を響かせるアルプススタンド」といわれていたブラスバンドからの歓喜の音色も、忘れることはできません。今年もまた、橋本監督の有名なフレーズである「ぼちぼちいこか」で後半に反撃を開始する天理の姿が、甲子園で見られるでしょうか。
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天理が5年ぶりに選抜に帰ってきます。バイオレットのユニフォームに身を包み、『♪見よ空高く輝く光~』と歌い上げる校歌が天高くとどろき、幾多の名勝負を演出してきた学校です。奈良県ではライバルの智弁学園と長らく覇を競い合ってきましたが、ずっと「天理がNo1で智弁がNo2」という序列は変わることがありませんでした。しかし近年は天理が出場の自粛などを余儀なくされている間にライバルの智弁学園がグイッと力を伸ばし、その序列は逆転したかとみられることも多くなってきました。ライバルの智弁学園も数年前には全国制覇を達成。奈良では天理だけが持っていた勲章は、ライバルにもあるぞ・・・・そんな情勢で、しかも近年は2強で独占していた夏の出場も追いかけてくる新興勢力の急伸で揺らぎ始めています。ある意味そんな「追われるものの苦しさ」を十分に味わいながらの戦いとなり甲子園の出場もまばらになってきていましたが、昨秋の大会で県大会3位からの見事なまくりで近畿大会を制覇。履正社、大阪桐蔭という大阪、いや全国の2強を破っての栄冠だけに、久しぶりに天理の甲子園での大ブレークが期待されています。
天理の黄金時代と言えばいつなのか。思い出すのは2度の全国制覇を成し遂げた80年代後半~90年代にかけてがまず思い出されます。86年の制覇の時は主砲が現監督の中村、エースがひじの痛みを推して投げ続け栄冠に導いた本橋でした。本橋は準決勝ぐらいからは本当に辛そうで、現在の基準ではマウンドに上がることはできなかったと思いますが、その当時はこれが「本当のエースだ」と持ち上げられる時代。そのため投手生命を半ば絶たれる形になってしまいましたが、その時は「なんてすごい投手なんだろうか」とワタシも感動して見ていました。90年の2度目の優勝の時のエースは日ハムに入団したジャンボ南投手。この時はそれまでの天理によく見られた、大型チームにありがちな”強さに同居する脆さ”というものをほとんど見せずに優勝まで完璧に駆け上がったというイメージがありますね。決勝は沖縄水産との戦いで、自慢の打線が相手エースにほぼ完ぺきに抑え込まれる中、南が熱闘を続けそれをバックが堅い守備で守り切っての1-0での勝利。「天理らしからぬ」スモールベースボールでの勝利でした。この2度の栄冠+97年センバツの優勝という3度の輝かしい全国制覇がありますが、ワタシが一番印象に残っているのは、鈴木康、鈴木喜らの強力打線と”ジャンボマックス”佐藤や福家投手などの超大型投手を揃えて「力で押し切る野球」を推進していた時の天理ですね。とにかく選手が大型で、何か対戦相手よりも一回り大きな選手ばかりがそろっていて、おおざっぱではあったけど魅力あふれる野球を展開していたチームという印象が、どうしても抜けません。もちろん上でちょっと触れたような「脆さ」も同居していたのですが、子供心に野球の楽しさを教えてもらったような気のするチームでした。80年代~90年代の洗練された『黄金期の野球』からまた、近年は「大型チームの天理」に戻った野球をやっているような気がして、それはそれでワタシは楽しいのですけどね。それから忘れてはいけないのが、天理が元祖と言ってもいい、「ブラバンで魅せるアルプス」のチームだということ。「ワッショイ」や「ファンファーレ」は、今に続く高校野球の定番ですのでそれもお忘れなく。
近畿代表 滋賀学園(滋賀) 3度目(8年ぶり)
夏2度出場 甲子園通算 6勝4敗
選抜は8年ぶり3度目の滋賀学園。初出場の時は8強進出、2回目の時は延長15回引き分け再試合など、印象深い試合を行っていますが、滋賀学園の野球を印象付けたのはなんといっても昨夏の甲子園でしょう。特に2回戦の東北大会優勝校・花巻東に何もさせず完勝した試合は、「滋賀学園、強いなあ」という印象を強く持った試合でしたね。その後霞ケ浦にも完勝、さらに敗れた青森山田戦でも、試合内容は押しに押したもの。少しの球運が傾いていたら、この試合はおろか、頂点まで駆け上がるほどの勢いがありましたね。野球はしっかりした守りに裏打ちされ、打撃も振り切ることでの強い打球がベースで、後期にしっかりと還すことができるのも特徴。ホントいいチームでした。そしてその余韻冷めやらぬまま、秋の近畿大会ではあの大阪桐蔭を接戦で下して選抜出場を決めました。今年のチームも、何かやりそうですね。滋賀は近江の名将・多賀監督が引退を表明しています。長年の勢力図に変化が訪れる時期です。滋賀学園は、明確に「湖国の盟主」を狙っていると思います。今年の選抜は、大切な戦いになりそうですね。
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滋賀学園も昨年春に続いての出場で、昨年の記事を張り付けておきます。昨春は近畿勢の大躍進が見られた選抜でした。その中で滋賀学園も、見事に8強まで勝ち進みました。今年のチームは、投の両輪である神村・棚原に後藤のバッテリーなどがそっくり残り、昨年よりも上を狙っています。近畿勢の中で唯一の全国制覇未経験の県である滋賀に、紫紺の大旗を持ち帰ることができるのでしょうか。地元の期待は大きいことでしょう。
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滋賀学園。この名前を聞いても、正直何にも浮かびません。初出場だから仕方がないかもしれませんが、09年の夏初出場の時も、初戦で敗退したということもあり、なんだかあっという間に姿を消してしまったということしか覚えていません。これまでの唯一の甲子園での試合は、同じ近畿の智弁和歌山、ドラフト候補の左腕・岡田投手にほとんど何もできずに抑え込まれたという印象しかありません。大阪からたくさんのシニア・ボーイズの好選手たちが集まってチーム作りをしているということは、他の強豪私学のチーム作りとなんら変わるところはありません。今年の大会では、1年生バッテリーが注目されていますが、チームの歴史を作るのはこれから。どんな姿を見せてくれるのでしょうか。
近畿代表 滋賀短大付(滋賀) 初出場
夏出場なし
滋賀短大付・・・・名前を聞いても、まったくピンとこなかったこの学校が、近畿大会であの履正社に完勝、驚きました。どんな学校なんだろうかと調べてみると、過去20年ぐらいでも、県大会の上位に進出することは稀で、20年代ぐらいからちらほらと・・・・という学校でした。その学校がなぜ激戦の滋賀を勝ち抜いてここまでたどり着いたのか?これは昔からよくある「チームが出来上がったばかりの大会である、秋季大会あるある」なのか?そんなこと、感じていましたね。特に滋賀はセンバツに6校、ないしは7校(かつて)出場することができる近畿大会ですから、たまにこういうことがあったりしました。ワタシが覚えているだけでも、能登川、伊香、長浜北、高島、堅田、野洲、石山なんかがこれに当たります。その後野球名門校となってブイブイ言わせるわけでもないこれらの学校は、秋季大会を勢いに乗って勝ち上がって、近畿大会でも1勝を挙げて6校(ないしは7校)の枠に滑り込んだ・・・・という学校ですね。そして夢の甲子園・・・・ですよ。1回だけの輝き(2回目があった学校もありますが)だからこそ、きらきら光るというわけですね。さて、滋賀短大付属。彼らがそういう「1回の輝き」の学校なのか、それとも滋賀学園らのように、これから滋賀の強豪になっていくチームなのか。じっくりと選抜での試合ぶり、見せてもらいます。
(つづく)