甲子園を賭けた高校野球の地方大会、
熱戦に次ぐ熱戦が各地で展開中です。
沖縄ではいち早く、
5年前の春夏連覇校である興南が、
その時以来の代表権を獲得。
今年はその5年前のチームに勝るとも劣らない戦力を抱え、
2度目の夏の大旗を狙います。
そしてここ首都圏の会場。
日曜日に東東京大会で、
候補1番手に挙げられ3季連続の甲子園を狙っていた二松学舎大付属が、
まさかのサヨナラ負けで堀越に敗れる大波乱がありました。
そして西東京でも、
生きのいい球を投げる小玉投手を擁する第2シードの佼成学園が、
5回戦で国学院久我山に敗れる波乱がありました。
そして昨日。
”新都立の星”日野高校が、
”平成の新怪物”清宮を擁する早実と対戦しました。
あの八王子球場に7000人もの観衆を集めたこの対戦、
まさに死力を尽くした【ザ・夏大】という戦いとなりました。
7回終了時点で5-1と早実リード。
『決まった』と思われた試合は、
ここから大きく動き出しました。
8回の表、
日野はまさに【魂の連打】。
6本のヒットを集中して、
早実を打ち砕き6-5とリードを奪いました。
”寿司食いねえ”のリズムに乗って『打ちまくれ~!』の応援団の大合唱の中の、
ものすごい集中打でした。
しかしそこから早実も粘る。
清宮・加藤を中心とした、
早実史上でも上位にランクされる強打線が爆発。
『この甲子園100年の大会、絶対に甲子園を譲るわけにはいかねえ!』
という、
選手・スタンド・OBが混然一体となった大歓声が、
選手を後押し。
3点を挙げて再逆転の8-6。
通常、
東京では都立校が強豪相手に粘りを見せたりすると、
観衆は『判官びいき』も手伝って、
”都立校の後押し一色”
といったスタンドの雰囲気になるのですが、
そこは”東京一の人気チーム”でもある早実が相手。
スタンドは一投一打に大歓声。
いつまでもこの両校の試合を見ていたいという雰囲気になりました。
9回は2アウトから、
日野がまたまた『魂の大反撃』。
なんと2点差を追いつき8-8.
スタンドのボルテージは最高潮となりました。
この凄まじい戦いに終止符を打ったのは9回裏の早実。
満塁のチャンスをつかむと、
最後はサヨナラ犠牲フライがライトへ。
歓喜のホームを踏み、
この大激闘に終止符が打たれました。
鳴り止まぬ拍手と大歓声。
高校野球の夏の大会の凄さを、
まざまざと見せてくれた戦いでした。
両校には大きな拍手を送ります。
そして神奈川大会。
保土ヶ谷では、
第1シードの桐光学園が追い詰められながらも9回大逆転。
首の皮一枚つながって、
5回戦へのキップを手にしました。
この厳しい神奈川大会。
相模原球場では、
注目の対戦がありました。
春季神奈川大会準優勝校で、
今大会第1シードの県相模原が、
ノーシードの横浜を迎え撃つ一戦です。
県相模原は、
”名将”佐相監督率いる注目のチーム。
昨年の夏に8強入りしたと思ったら、
秋は4強進出。
そして今年の春は準優勝と、
一歩一歩階段をのぼり、
いよいよ今大会に『甲子園の夢』をかけるところまでやってきました。
エース宮崎は140キロを超える速球とスライダーの精度が抜群。
注目の好投手です。
対する横浜は、
今年のチームは秋、春ともに早々と県大会で敗退し、
今大会は何とノーシードで臨みます。
しかしご承知の通り、
50年近くにわたりチームを率いてきた渡辺監督がこの夏限りの勇退を発表。
大きな注目の中での大会となっています。
県相模原、通称”県相”が甲子園への夢を掴み取るための最大の難関とみられたこの試合は、
『ひょっとしたら渡辺監督のユニフォーム最後の姿になるのでは・・・・・』
ということもあり、
県大会では『ありえない』というぐらいの人、また人・・・・・が押し寄せるものすごい雰囲気となりました。
ワタシはこの試合を一目見ようと、
1時間半前に球場に到着。
しかしながら、
その時にもう、
内野席はいっぱいになっていたのみならず、
入場券を買う人の列で、
球場が一回りされてしまうほどのものすごさ。
おかげで、
試合開始が10分遅れるほどでした。
(球場のアナウンスでは、『入場券を買い求めるお客様がたくさん並んでおられますので、試合の開始を10分遅らせていただきます。』とのこと。)
一地方球場である相模原球場に、
なんと16,000人もの観客が詰めかけたとのこと。
やっぱり神奈川の高校野球人気、
半端じゃありません。
相模原球場といえば、
2011年の5回戦(?)で、
選抜優勝の東海大相模と柳投手率いる横浜の対戦がありましたが、
昨日はその時よりもさらにすごい感じでしたね。
『前代未聞』の凄さでした。
入場券の捌きは大変だったと見え、
11時10分開始のこの試合、
なんと12時半ぐらいまで、
入場する人の波は途切れることがありませんでした。
ちなみに第1試合終了後、
観客は8割方の人が家路を急ぎ、
第2試合は『通常の県大会4回戦モード』でののんびりとした雰囲気に戻りました。
そんな中での試合。(↓ 試合開始時は、まだ外野席の人もまばらでしたが、この後超満員に)
まず2回表、
県相がチャンスをつかみます。
ライト落球、バントFCでつかんだ無死1・2塁のチャンス。
まだまだ落ち着かない、
下級生中心の横浜。
県相はここで、
6番に起用した『スーパー1年生』柴田に打順が回ってきました。
なんというめぐりあわせ。
この、清宮にも匹敵すると言われた『県相で一番いいバッター』に対して、
ベンチの佐相監督はバントのそぶりは全く見せずに『打て!』のサイン。
しびれるようなこの采配。
『強豪私学には、打ち勝たなきゃダメだ!!』
という川崎北時代からの『佐相イズム』が色濃く表れたこの采配。
見ていて【しびれる】という言葉がピッタリ来ましたね。
そして柴田は横浜のエース・藤平の速球をバシッと捕らえましたが、
打球は残念ながらレフト真正面のライナー。
この打球が左右どちらかに抜けていれば、
試合は完全に県相ペースになったと思われますが、
そこはさすがに横浜。
相手にペースをつかませずこの回をゼロに抑え、
すぐさま県相エース宮崎の速球に的を絞って攻略。
宮崎にとっては、
『打ち取った』
という様な打球が次々に外野の頭の上を抜ける姿を見て、
『やはり春とは違う』
と思ったことでしょう。
横浜が5本の長打を含む10安打を浴びせ、
宮崎を攻略。
3-0でこのしびれる試合でがっちりと勝ちを掴み取りました。
試合を振り返ると、
そこかしこに『やはりさすがは横浜』というところが見受けられ、
『ノーシードで登場しても、神奈川県大会の中心は、やっぱり横浜なんだなあ』
ということを、
つくづく感じる試合でした。
渡辺監督は、
ここ数年試合前のノックはコーチ、部長などに任せていたという印象があったのですが、
この日は外野含めてすべてのノックを行い、
その精度の高いノックの技術は、
まさに『昭和の名巧』の誉れ高いものでした。
最後のキャッチャーフライがしっかりと上がった時には、
期せずして観衆から大きな拍手が起きたりして。。。。。。
やっぱり『高校野球のレジェンド』には、
多くのファンが付いているんだなあということを実感した瞬間でもありました。
さあ、今年の横浜高校。
ワタシも今大会が始まる前の注目度は今ひとつでしたが、
この日の完勝劇を見ていると、
評価を変えなければいけません。
やはり”ダントツの優勝候補”である東海大相模に対抗する1番手は、
この横浜高校で間違いないですね。
横浜高校の山にも、
横浜隼人、桐光学園、慶応など、
強豪はひしめいていますが、
なんとなくではありますが『やっぱり横浜が勝ちぬいていく』そんな予感がものすごくしています。
そして東海大相模と、
甲子園をかけて渡辺監督最後の戦いに臨むのではないか?
そんな気がしています。
渡辺野球の集大成としての、
乾坤一擲の戦いが、
”全国屈指の戦力”と言われる東海大相模との間で行われれば、
いったいハマスタはどんなことになっちゃうんだろう?
そんなことを思ってしまいます。
やっぱり『夏の神奈川の主役はおれたちだ!』という雄たけびが、
横浜高校のナインから、そしてスタンドから、
空高く響いているような気がしますね。
さあ、どうなることやら。
野球の神様は、
この今年の大会に、
粋な計らいをするのか?それともちょっとしたいたずらを仕掛けるのか?
はたまた力どおりの結末か?
盛り上がってきました。