≪第98回全国高校野球選手権大会≫
- 予選展望10 北海道・東北地区 -
【北北海道】(参加校94校)
参加校数の激減で、かえって激戦化する北北海道大会。絶対の本命見当たらず、10校以上にチャンスあり。
◎ 帯広大谷 稚内大谷
〇 武修館 遠軽 クラーク国際
△ 旭川実 旭川龍谷 白樺学園
▲ 釧路江南 旭川大 旭川工
今年は参加チーム数が100を大幅に割り込み大幅減。全国に先駆けて心配が尽きない大会だが、大会自体は本命が見当たらず大激戦の様相だ。例年の有力校を凌駕して今年本命の座を占めるのは2校の大谷、帯広大谷と稚内大谷。帯広大谷は、夏の大会のわずか1か月前に行われる春の全道大会で、滝川西、武修館という同じ北の有力校を連破、優勝した駒大苫小牧に対しても延長13回の激戦を繰り広げた。打線の破壊力がかなりだというところを披露し、夏もその勢いのまま4年ぶりのVを狙う。稚内大谷は、同じく春の全道大会4強。秋も4強に進出しており、安定した戦いぶりができるようになった。春の道大会で選抜出場の札幌一に競り勝った試合はベストゲーム。投手力を中心にこういったゲーム運びができれば、おのずと初の甲子園は近づいてくるだろう。一応この2校が2強だが、絶対という存在ではない。追っていく中では、まずは昨夏代表のクラーク国際の名前が挙がる。打線は昨年以上の破壊力を持ち、投手力もまずまず。勢いに乗れば連覇の夢もかなう。昨夏は決勝で惜敗、涙をのんだのが滝川西。鮮やかなブルーのユニフォームに身を包み、今年は甲子園をつかみ取りたい。伝統の強打に、エース鈴木の存在もあり、戦力は充実している。武修館は複数かかえる投手陣の厚さが自慢。遠軽も強打のチーム。夏の初キップは、投手力次第。旭川勢では、旭川実、旭川龍谷、旭川大、旭川工と甲子園経験のあるチームがずらりと並ぶ。一昨年代表の白樺学園は、戦力的には大会トップクラス。伝統校の釧路江南も、復活への足掛かりを作りたい。
【南北海道】(参加110校)
駒大苫小牧が、王座奪還へ勝負をかける。選抜の札幌一は戦力充実も、勢いが今一つ。
◎ 駒大苫小牧
〇 札幌一 東海大札幌
△ 北海 函館大有斗 札幌日大
▲ 北照 鵡川 札幌大谷 札幌南
北北海道同様、今年は昨年比で10校以上も参加チームを減らしている。各校の出場の確保も大きな問題になってきそうな北海道地区だ。さて、南北海道は近年著しくレベルが上がっている地区で、昨年は北海が甲子園準優勝の偉業を成し遂げた。2年前には東海大札幌(当時東海大四)も選抜決勝に進出しており、04~06年までの『栄光の駒大苫小牧時代』の再現かと言われるぐらいの活況だ。そんな中、今年も代表権争いはし烈の一途を極めそうだ。本命に上がるのは駒大苫小牧。一時代を築いた後は壁を破れず、夏の代表は07年以来10年間で一度もない。そんな中今年は春の全道大会を制覇。久々にコマトマの名前が新聞紙上に踊った。強打を軸にして粘りもある今年のチームは、佐々木監督を初の夏制覇へ導く可能性が高い。対抗馬としてあがるのは選抜2年連続出場の札幌一。期待されたチームだが、選抜の初戦大敗、そして春の同大会での大敗など、調子を落としているのが心配の種。強打を軸にコンディションさえ整えば、一気に本命に上がってくるのは間違いない。東海大札幌は、エース高杉の安定感が光る。春の道大会では駒大苫小牧に接戦で屈したが、実力は互角以上との評価。昨夏大旋風を巻き起こした北海は、昨夏のエース大西のような大黒柱さえいないものの、やはり戦力は充実しており候補の一角。投手陣が底上げできて投打のバランスが取れてくると浮上する。春の同大会準優勝の函館大有斗は、久しぶりの復活を狙う。かつての常連校だが、出場すれば98年以来19年ぶりだ。力を持つ札幌日大は、強打で相手を粉砕する。北照はいろいろと落ち着かない数年を過ごしているが、それが戦いに影響しなければいいが。。。鵡川は伝統のししゃも打線で勝負。札幌大谷、札幌南ぐらいまでが、優勝圏内にいる。
【青森】(参加63校)
昨年同様、八戸学院光星と青森山田のガチンコ対決が濃厚。聖愛と八戸工大一も、例年ほどの差はなく続く。
◎ 八戸学院光星 青森山田
〇 聖愛 八戸工大一
△ 弘前工 八戸西 弘前東
▲ 青森東 大湊
昨年は選抜に同時出場した八戸学院光星と青森山田のライバル2校。全国にその名をとどろかせるこの2強が90年代からずっと青森の覇権を握り続けてきたが、今年もその図式は変わらない。4,5年ごとに”青森山田の時代””光星の時代”を繰り返してきて、今はやや光星が優位な時代となっている。しかし今年は秋春の県大会を青森山田が連覇、本命のイスに座るかと思われたが、東北大会ではやはり光星が巻き返して準優勝、一方の青森山田は初戦敗退に終わり、このあたりが夏の決戦に向けて微妙な影を落としている。八戸学院光星はエース向井の復活が好材料。打線の破壊力は言うまでもなく、夏に向けては戦力が整ってきた印象だ。青森山田は選手層の厚さで勝負の全員野球。戦力的にはやや八戸学院光星が上回るような気がするが、果たしてどちらが強いのか。しかし例年に比べて、2強と後続勢との差は大きくはない。逆転を狙う一番手は、弘前学院聖愛だろう。地元選手を中心に、総合力で勝負の好チーム。2度目の甲子園をつかむには、やはり投手陣が踏ん張らなければならない。八戸工大一は、じっくりとチームを熟成させてきた印象。今夏は負けられない夏になる。以上の四強以下は大きな差がある印象だが、名門の弘前工や八戸西、弘前東、青森東など公立勢の踏ん張りも大会を盛り上げることだろう。
【秋田】(参加47校)
迷走続けた明桜が完全復活を遂げる?!”魂のチーム”能代松陽も新校名で初の聖地へリーチ。
◎ 明桜 能代松陽
〇 秋田商 角館
△ 大曲工 秋田修英
▲ 大館鳳鳴 秋田 横手
輿石新監督の下、ようやく明桜が優勝争いに参戦してきた。この名門も近年、聞こえてくるのは監督にかかわる迷走したニュースばかり。それとともに、長らく優勝争いに加わってくることはなかったが、今年は春の県大会を制して勢いそのままに久しぶりの夏を狙う。もともと強打+剛腕のスケールの大きなチームが伝統だけに、しっかりと落ち着いて野球ができれば、代表の座は後からついてくる。その明桜と肩を並べる存在なのが、魂の野球で甲子園を沸かせた能代松陽。旧能代商の時代は、小粒ながらよくまとまった好チームを作ってきたが、現校名になってからは県大会を突破できていない。今年こそは久しぶりの”聖地帰還”を果たすか。夏と言えば常に候補に名前ががるのが名門・秋田商。今年もダークホース以上の存在で、試合を経るごとに上がってくる総合力で、一気に頂点を狙う。角館は3年前の嬉しい初出場から、昨夏も準優勝とすっかり強豪として定着。今年も上位とはほとんど差のない戦力で、2度目の夏は近づいた。東北大会では最終回に3点差を追いつく粘りも見せ、相手にとっては戦いにくいチームだ。連覇を狙う大曲工はエース藤井がチームの柱。秋田修英は春4強。横手は秋には優勝し、甲子園に片手をかけたが春にやや力を落とした印象。再度の浮上はなるか。いずれにしても、絶対の本命はいない戦国大会で、どこが勝ち上がっても不思議ではない。
【岩手】(参加68校)
あえて言う。盛岡大付属が1強!
◎ 盛岡大付
〇 花巻東 一関学院
△ 久慈 専大北上 大船渡東 不来方
▲ 高田 千厩
盛岡大付と花巻東が激しく覇権争いを繰り広げ、それを差なく追うのが一関学院というのが、新世紀以降の岩手県の高校野球界だった。その中で花巻東が甲子園でその存在感を存分に発揮して大暴れ、その花巻東の背中を追って盛岡大付が、ここ数年ですっかり甲子園で勝てるチームに変身した。今年はあえて『3強』とは言わず、『ライバル対決』とも言わない。いうなれば盛岡大付”1強”という年になりそうだ。盛岡大付の力の源泉は、その破壊力のある打撃陣。甲子園でも昨夏、今春と証明した通り、全国レベルの投手にも気後れすることなく打ち崩す打線のレベルは、県内では突出している。そして今年のチームは、技巧派左腕のエース三浦がマウンドに君臨、相手に無駄な点をやるケースが減り、チームの勝率はぐっと上がった。『絶対』とは言えないが、3季連続の甲子園をつかみ取る可能性は、極めて高い。ライバル花巻東は、佐々木監督が夏にチームを仕上げる手腕に賭ける。打線はもともといい今年のチームだが、決め手を欠く投手陣でライバルに一歩遅れを取っている印象だ。直接対決でも連敗中。果たして名将に、秘策はあるか。もう一つのライバルである一関学院。過去2年連続夏の決勝で1点差の惜敗。今年こそは・・・・との気合いを見せたいが、今年のチームはやや過去のチームに比べて戦力を落としている印象で、ライバルの位置までたどり着けるか。春は驚きの快進撃を見せたのが久慈。かつて一度だけ甲子園の土を踏んだことがある古豪で、その時同様『全員攻撃、全員守備』で強豪を打ち破れるか。中尾監督就任の専大北上がどんな野球を見せるのかにも注目が集まっている。選抜出場の不来方は、部員も増えて落ち着いた野球が出来そうだが、春夏連続という壁は、とてつもなく高い。
【山形】(参加49校)
日大山形が4年ぶり狙う。酒田南・鶴岡東の”いつものメンバー”が覇権争いを演じそう。
◎ 日大山形
〇 酒田南 鶴岡東
△ 九里学園 羽黒 東海大山形
▲ 山形中央 山本学園 山形商
例年と同じ日大山形・酒田南・鶴岡東の3強のたたき合いになりそう。県内の覇権はこの3強+山形中央で10年以上固定されているが、今年は山形中央は力を落とし、3強がつばぜり合いを繰り広げている。一昨年は秋春・鶴岡東⇒夏・鶴岡東、昨年は秋春・酒田南⇒夏・鶴岡東となり、今年は秋春の県大会は日大山形が制している。日大山形は打線が強力。その集中打はかなりのもので、安定感誇る投手陣を、打線が強力援護していきたい。酒田南は、昨秋は東北大会4強で選抜候補にも選ばれた実力派。こちらも打線中心のチーム構成だが、負けるときは必ずミスから・・・・ということも言われており、そのあたり投手陣を含めやや整備が必要か。3連覇を狙うのは鶴岡東。こちらは投手中心の守りの野球が自慢。打線の破壊力では一歩譲るだけに、ロースコアでしのぎ切るゲーム展開で勝ちをつかみ取りたい。春に結果を残したのが、羽黒と九里学園。羽黒は春の大会で3強と一度ずつ対戦して2勝1敗。自信を深めている。九里学園は春夏通じての初出場を狙う。クリーンアップを中心に、上位チームに打ち負けない気迫で臨む。名門校として近年完全に上位校から引き離された存在に甘んじてしまっている東海大山形はどうか。このあたりで復活を遂げないと、今後も厳しい戦いになりそうだが。。山形中央は、今年のチームは決め手を欠く。上位を打倒するには、例年以上のまとまりが必要か。
【宮城】(参加72校)
仙台育英の戦力は全国屈指。しかし東北、東稜が、鋭く巻き返してきたぞ。
◎ 仙台育英
〇 東北
△ 東稜
▲ 利府 古川工 石巻工
常に東北高校野球界のトップを走り続け、全国制覇まであと一歩のところまで迫っている仙台育英。今年は期待された選抜で初戦敗退。続く春の県大会でもエース長谷川をタテながら東稜に完敗となかなか実績を残せなかったが、春の東北大会で見事に復活V。『やはり仙台育英は強い』を再認識させられた。戦力的には、今年東北悲願の全国制覇が成し遂げられても何ら不思議ではない力を持っている。エース長谷川が安定感が高いピッチングを見せると、チームはリスクを取らずに勝ち上がって行けそう。佐々木監督も、『もう(全国制覇の)チャンスは逃さない』強い決意が感じられる。追うのは連覇を狙う東北。春の戦いを通じて、投手陣が急成長。葛岡、古河原の二本柱は、夏の連戦でも十分にしっかりと投げられそうな手ごたえだ。打線も得点力が高く、打倒・仙台育英の態勢は整っている。秋春ともに準優勝、安定した戦いぶりを見せる東稜が3番手。エース佐藤の右腕で30年来遠ざかっていた夏の甲子園を手繰り寄せたい。この3強の戦力が突出しており、追ってく学校には厳しい県大会になりそうだが、甲子園経験のある利府や古川工、石巻工などがチャンスをうかがう。古川工は春4強。そして上位ともそん色ない戦いを繰り広げており、期待値は高い。
【福島】(参加78校)
10連覇の金字塔を打ち立てても、聖光学院がその歩みを止めることはない。
◎ 聖光学院
〇 学法石川 東日本国際大昌平
△ 日大東北 いわき光洋
▲ 光南 福島商
昨年、前人未到の10連覇を達成した聖光学院。もとより県大会に照準を定めてはおらず、顔は常に甲子園へと向いている。その聖光学院の今年の目標も、もちろん全国制覇にあることは疑いようがない。仙台育英、光星学院、花巻東など数多のライバルチームが挑んでも挑んでも、まだ手に出来ない深紅の大優勝旗。それをわが手に・・・・・という思いは、年々高まっているはずだ。ということで、聖光学院は今年も、県大会で敗れるということなど、これっぽっちも考えてはいないだろう。一昨年、昨年は秋、春の県大会で優勝を逃すというケースも見受けられたが、今年のチームはきっちりと秋も春も県大会を制覇。輝きを完全に取り戻して、今年も11年連続を狙いに行く。今年のチームは、昨年の甲子園メンバーを打線に多数そろえ、例年以上に打線の仕上がりはいい。投手陣は、斎藤・堀田の両輪を軸に安定感を誇り、まず戦力的に穴はない。そしてこのチームに関しては、県大会中に慢心するということも考えられないので、まず11連覇は堅いとみるのが妥当だろう。しかしその聖光学院の牙城を崩そうとしているチームは、実は今年は県内に多数いる。その筆頭はかつて県内で王国を築いていた学法石川。柳沢監督退任後、頂点の座を聖光学院に奪われ、それまで当たり前に踏めていた甲子園の土を一切踏むことがなくなってしまった古豪だが、今年はチャンスが巡ってきた。春は準々決勝のライバルとの直接対決で延長11回の激闘。『距離は縮まった』と実感するナインが、何かを起こすか。春は大躍進で東北大会3勝を上げたのが東日本国際大昌平。春の勢いをそのまま持ち込めれば、面白い戦いになる。
いつもは聖光学院のライバルと目される日大東北だが、今年は一歩引いた位置にいる。秋は準優勝で東北大会にも出場したが、春はやや低迷した。しかし力は持っており、投手陣の出来次第では浮上も。春準優勝のいわき光洋は粘り強く戦えるチーム。東北大会でも1勝を上げ、ナインの士気は高い。いずれにしても、県大会は聖光学院を中心に回ることが予想され、11連覇という偉業が成し遂げられるのか、注目されている。
さあ、10回にわたったこの連載も終了。
もうすでに、戦いの火ぶたは切って落とされています。
各地で激戦が繰り広げられる中、
思いもよらないすい星が出現してくること、
毎年のように起こります。
それがとても面白い『高校野球的』なこと。
そんなチームの出現、待たれますね。
毎年言うことではありますが、あくまでも予想は予想。
高校野球、とりわけ夏の大会はまさに≪筋書きのないドラマ≫が展開される大会だけに、
どんな見たこともないチームが波に乗って駆けあがってくるのか、そんなことを見るのが楽しい大会です。
『高校野球の華は、夏の地区予選』
それは昔から変わらぬ真理であり、ワタシも深くそれを思っています。
どの球児も、
『じぶん史上最高の夏』を、
頭で、体で感じながら、
この『7月の熱い日々』を実感してほしいと思います。
そしてそれを一生の思い出に。
がんばれ!高校球児!!!
〈了〉
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