≪第96回全国高校野球選手権大会≫
- 予選展望3 関東(2) -
【千葉】(参加170校)
今年こそ悲願達成か?専大松戸。選抜出場の木更津総合も譲らない。今年の夏も大激戦は必至!
◎ 専大松戸 木更津総合
〇 東海大望洋 拓大紅陵
△ 千葉敬愛 市松戸 松戸国際
▲ 沼南 習志野 成田 東海大浦安
今年は、初出場を狙う学校と伝統校がともに譲らず、大混戦の夏が演出されそうだ。ここ数年の傾向として、大本命に上がる学校がいない代わりに、20程度の学校にチャンスがある大会となり、大会序盤から波乱に継ぐ波乱・・・・・・そんなイメージがある千葉大会。今年もまた、どこが勝ちあがってくるのか、予想が難しい。そんな中で毎年のように春の県大会を勝って夏の”本命”に上がりながら夏の栄冠に輝いていない、専大松戸が今年も1番手。角谷、原、稲荷田とタイプの異なる3本の信頼できる投手を揃え、暑い夏の連戦を乗り切るつもりだ。肝心なところで勝ちきれない負の歴史を断ち切るのは、今年かも知れない。対抗馬となるのはセンバツ出場の木更津総合。左腕・早川からサイドの鈴木につなぐ盤石のリレーは健在。夏は打線勝負の戦いになる千葉大会で、やや弱いと言われる打線が火を噴くことが出来れば、聖地に4か月ぶり登場も現実味を帯びる。追っていくグループでは、まず昨夏出場の東海大望洋や、監督交代で初の夏の大会を迎える拓大紅陵等が上がってくる。特に拓大紅陵は旋風を巻き起こす要素は十分。そして今年の夏は、”初”を狙う精鋭たちも数多い。まずは千葉敬愛。バランスの取れた戦力でしぶとく勝ち抜くのが身上。市松戸、松戸国際の『松戸勢』は、本命の専大松戸を加えて、『どこが松戸市初の甲子園を掴むのか』でつばぜり合いをしており、全体がレベルアップ。市内の好選手が市内の高校に進むケースも多くなり、この勢いでどこかが甲子園を掴む可能性も十分だ。その他、春季大会準優勝で強打の沼南、習志野、成田、東海大浦安の名門勢などが虎視眈々と栄冠を狙う。
【神奈川】(参加186校)
全国屈指の二本柱持つ東海大相模。横浜は、渡辺監督最後の夏を飾りたい。
◎ 東海大相模
〇 平塚学園 慶応義塾
△ 桐光学園 横浜 県相模原 横浜隼人
▲ 桐蔭学園 横浜創学館 日大藤沢 市立橘
『他県とは違う。強い』と言われ続けてきた神奈川県。その『特別感』は近年、急速に薄れてきているように感じる。特に関東の中において、他県のチームの底上げは神奈川の各チームのそれを凌駕しており、関東大会でいい成績を残せなくなっているのが現状だ。とはいえ、各チームを見渡すとやはり好選手が揃い、戦力が充実しているように見えるのが『神奈川マジック』か。今年で言えば、東海大相模の戦力は『全国的に見ても屈指なのではないか』と見える。昨年からの選手が上位にひしめく強力打線と、ドラフト指名間違いなしの左右の二枚看板。持っている力をそのまま出せば『あっという間に代表権獲得』と思わないでもないのだが、そこは過去何度も『絶対』と言われるチームが涙にくれた激戦・神奈川。今年もその要素は十分にある。ダントツの筆頭候補である東海大相模は、2本柱に続く投手の育成を重点に春を戦い県大会制覇。暑い夏にも、その層の厚さで圧倒するつもりだ。力から言うと、その東海大相模に迫るのは、秋優勝の平塚学園と戦力充実の慶応義塾ではないかと思われる。平塚学園はこのところすっかり県大会上位の常連となった。殻を破った先に甲子園を見据える好チームで、今年は2年生エース高田が大黒柱。総合力で戦うチームだが、秋は高田が東海大相模打線を封じ込めてサヨナラ勝ち。自信を付けた。打線の迫力は今ひとつながら得点力は高く、対抗馬として名乗りを上げている。慶応は夏を持って上田監督が退任と発表され、モチベーションが上がっている。エース津留崎を軸に、もともと持っている力は県内屈指と言われ続けたが、組み合わせの妙でここまで結果を残せていない。最後の夏にブレークするかは、大会への入り次第か。監督の退任ということであれば、横浜の名将・渡辺監督も最後の夏を迎える。正直今年のチームでは戦力的に東海大相模に対峙するのは難しそうな気もするが、そこは名門の意地を見せて名将の最後を飾りたいところだ。そのほかでは秋・春ともに4強進出の桐光学園は、アンダースローのエース・中川の出来次第。彼を切り札として使える状況を作り出せれば、ライバルチームにとってはいやな存在になりそうだ。佐相監督に率いられ、昨年から彗星の様に優勝戦線に現れた県相模原は、今年は『マジに』甲子園を狙っている。打線は『打撃指導は超一流』と言われる佐相メソッドで鍛えられますます強力になってきた。そこにエースの宮崎のピッチングが加わり、1試合だけやるのであればどこの強豪にも見劣りしない戦力を整えている。しかし上位校に比べて、層の薄さは否めないところ。特に酷暑の中の大会後半戦をエース宮崎を中心にどう乗り切っていくのか。その手腕に注目したい。毎年いいチームを作る横浜隼人は、過去数年のチームと比較してもそん色ない打線を誇る。桐蔭学園は大川監督2年目の夏で、徐々に色を出していく大会にしたい。日大藤沢に強打で春に旋風を巻き起こした市立橘までが、甲子園の圏内と見る。
【山梨】(参加37校)
戦力充実の東海大甲府。吉田イズムで、勝ちあがっていきたい山梨学院。甲府工・日本航空なども狙う。
◎ 東海大甲府
〇 山梨学院大付
△ 甲府工 日本航空 帝京三
▲ 日川 甲府商 富士学苑
昨夏から秋も春も、県内公式戦では東海大甲府は負けを知らない。それだけ充実した戦力を誇り、狙いは甲子園での8強以上。それが期待できるほどの充実ぶりだ。元々の強打線に加え、今年は2年生エース菊池が安定したピッチングを披露。3年前の甲子園4強進出時のチームに遜色ないほど、戦力アップされてきている印象だ。反面、関東大会など強豪との試合で力を出し切れないケースも見受けられるが、徐々に経験値も上がってきており、県大会を『通過点』にできるかが試される夏となる。対抗には、山梨学院大付をあげる。元清峰で全国制覇の経験もある吉田監督がチームを預かり、昨年は春選抜出場、その後春季関東大会制覇と順調に階段を上ってきたのだが、今年のチームでややその歩みにブレーキがかかっている。しかし持っている力は県内でも屈指。投打がかみ合えば東海大甲府の強力なライバルになるのは必至だろう。果たして大会の波に乗っていけるか。甲府工、日本航空の上位常連校も圏内だ。甲府工はしぶとい野球が身上だが、正攻法の野球だけに、力を持ったチームにはやや分が悪くなってしまうのが悩みの種。日本航空は2年生の片岡が”大エース”に育ちそうな雰囲気を醸し出しており注目だ。過去2年連続で決勝敗退の悔しさを味わっており、『3度目の正直』がなるか。そのほかではドラフト候補に挙がる本格派エース茶谷を擁する帝京三が上位校にとっては怖い存在。日川、甲府商など夏の戦い方を知るチームや、富士学苑、市川ら復活を目指すチームの動向にも注目したい。
【東東京】(参加137校)
本命は『2年生三銃士』の二松学舎大付。関東一、帝京が追うという、おなじみの展開。
◎ 二松学舎大付
〇 関東一 帝京
△ 東亜学園 修徳 成立学園 東海大高輪台
▲ 篠崎 江戸川 雪谷 紅葉川 小山台 岩倉
夏春連続の甲子園出場を飾った二松学舎大付。選抜から帰った後、どのチームも陥るエア・ポケットに入った状態が続き、チーム状態は下降線をたどった。練習試合などを見ても明らかに調子を崩した感じが見受けられたが、本番を迎えるにあたりどこまで再度上昇トレンドにチームを乗せていくことができるのか。戦力的には、まだ2年生の3銃士である、エース大江、捕手今村、セカンド三口の3人に、平野・島根の2年生も加わって、東東京では並ぶもののない充実ぶりを誇る。例年ここから二松学舎は打線がグーンと振れてくるという印象があるので、大江に岸田を擁する投手陣が破たんすることがなければ2年連続の夏が視界に入ってくるはずだ。対するのはライバルの関東一。昨年からのエースである左腕の阿部の故障が癒えて、右の田辺と組む投手陣の力はかなりのもの。打線ではオコエの打力と足で相手を蹂躙。そして中軸の強打で突き放す。二松学舎に力で対抗できるのは、この関東一しかいない。名門の帝京は、昨夏甲子園を掴みかけながらするりとその手から落としてしまった苦い経験をどう今年につなげているか。すでに『名前とユニフォームで勝負』の時代は過ぎ去り、有力校とのたたき合いにはやや分が悪い年が続いているが、ベテラン前田監督はもうこれ以上甲子園への『欠席』は許さない気持ちだろう。看板の打線が爆発せずに敗れ去るケースが目立つ昨今の戦い方の殻をどう破っていくのか。ここまでが『いつもの三強』だが、追っていくのはやはり力を持った『いつもの二番手グループ』か。修徳、成立の実績組は良く夏の戦い方を知っており、初出場を目指す上位常連組である東海大高輪台、そして久々の夏を狙う東亜学園にもチャンスは十分。絶対ではない上位組に対して、今年は都立勢も意気盛ん。篠崎、江戸川など東京ではよく知られた都立の強豪組に加え、甲子園経験もある雪谷、紅葉川に昨選抜組の小山台も虎視眈々。97年以来の出場を狙う岩倉は、エース巽の左腕に注目が集まっている。
【西東京】(参加130校)
パワーの日大三も今年はスキあり。早実・清宮が大ブレークする可能性も、十分にある。
◎ 日大三
〇 佼成学園 早実 東海大菅生
△ 日大鶴ヶ丘 八王子 国士舘
▲ 創価 聖パウロ学園 日野
日大三は、例年通り冬場にしっかりと打線を仕上げてきた。そのパワーは驚異的で、やはり戦力的には他校を一枚上回る。しかし今年のチームは、例年よりやや投手陣に不安を残すため、波乱含みの大会になる可能性も十分にある。日大三は春の大会では二松学舎、関東一といった強豪を圧倒して、その力を見せつけた。しかし関東大会の作新学院戦では、心配された投手を含めた守備の不安が出て敗退。エースと目される田村は球速はあるが球が素直で、なお中へと集まりだすと連打を食らう危険性がある投手。控えにも桑村、小谷野ら枚数はいるものの、相手を抑え込めるかというとやや疑問が残る。『打ち合い上等』の戦い方はいいのだが、トーナメントを確実に勝ち進んでいくために、安定した投球を見せるエースが欲しい。一方でその日大三のスキを狙うライバルの早実も、やはりエースを作りきれないでいるのが現状だ。宮崎・服部・松本の三人で回した春の大会だったが、何しろ失点が多かった。注目の清宮、そして”元祖スーパー球児”加藤らを擁する打線が毎試合2ケタ得点を奪ったものの、失点も多く終わってみれば『大乱戦』の試合ばかりだった。夏に日大三に対抗するには、是が非でも一試合を任せきるエースの登場が待たれる。もともと投手としても非凡なものを見せていた清宮の登板はあるのか、注目される。服部がかつての荒木大輔ばりに『1年生エース』としてさっそうと登場すれば、早実の悩みは一気に解消する気がするが。。。春にブレークした佼成学園。東京都大会で準優勝した以上に、関東大会で強豪の東海大甲府の接戦をものにした試合が光る。エース小玉は身長はないが、キレのあるボールを放る好投手。その小玉を打線がどれだけ援護できるかというのが、勝ち進んでいくカギとなるか。選抜出場の東海大菅生も、エースで4番の勝俣次第か。勝俣は持っているポテンシャルは高いが、なかなか高校で『勝てる』選手になるのはしんどい気がする。さほどタフな選手でもないので、よほど控えの投手陣が踏ん張らないと足元をすくわれる危険がある。連覇を狙う日大鶴ヶ丘は、今年はお休みの年になる可能性もあり、反対に期待が大きいのは八王子。悲願の初出場に向け、エース横森の活躍に期待がかかる。夏にきっちり仕上げてくる国士舘は3度目の西大会での夏。そろそろ甲子園という結果が欲しい。このところすっかり強豪として定着した聖パウロは、今年も強打でひと波乱を狙う。都立では日野、片倉、東大和らが活躍を見せてくれそうだが、『西地区初の都立で甲子園』は今年もちょっときつそうだ。
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