《第101回全国高校野球選手権》 〜甲子園〜
【決勝】
履正社 5-3 星稜
履正社 003 000 020 ー 5
星 稜 010 000 200 ー 3
履正社の打線見事! 終盤に奥川を叩き栄冠。
決勝の甲子園。
いい気候で、
まさに決勝日和となりました。
ここまで超絶な投球を見せていた世代を代表する星稜・奥川に対して、
強打の履正社打線がどう攻略するのかというのが大きな焦点となった試合でした。
これまでの5試合で、
全て初回に相手投手を打ち砕いてきた履正社のトップバッター、桃谷が甲子園で初めてアウトにとられて始まった決勝。
しかしすぐさま2番・池田がレフト線へ三塁打を放ち先制のチャンスを迎えました。
いきなり試合の趨勢を決めそうなこのシーン。
奥川はこれまでの試合と同じように、
マウンド上で笑みを絶やさず、
「ニッコリ笑ってズバッと斬る」
見事な投球で3・4番を抑えて、
試合は動き出しました。
履正社の先発はエース清水。
大会に突入してから、
試合を重ねるごとに調子を上げてきた感じのあるこのサウスポーも、
初回しっかりと立ち上がって試合は締まった立ち上がりとなりました。
2回の星稜。
岡田が先制の2塁打を右中間に放って先制。
これ以上ない立ち上がりに見えました。
チャンスを生かして先制点を奪い、
「星稜ペース」
の試合になりそうな気配を漂わせた3回、
この大会で「まさに主砲」の活躍を毎試合見せていた4番井上のバットが、
奥川を打ち砕きました。
簡単に2死をとった奥川がここから粘られて四球を出すと、
次の小深田にも奥川が珍しく連続四球を出し1.2塁。
連続四球の後という勝負のアヤか、
奥川がカウントを整えに行った初球のスライダーが、
ベルトより上にすっと浮いてきました。
一番飛距離の出る、腕が伸びきった場所への甘い球を振り切った井上の打球は、
打った瞬間にそれとわかる弾道で左中間の最深部に、
あっという間に吸い込まれていきました。
逆転の3ラン。
これで試合の主導権は完全に履正社へ。
星稜は序盤で奥川が打たれるというまさに想定外の出来事に、
なかなか落ち着いて打線が清水攻略に向かっていけないように感じました。
それでも、ここ10年ぐらいにわたって「逆転の星稜」の異名もあるぐらい後半の逆転を得意にしている星稜。
後半に入った7回に反撃を開始しました。
一死二塁のチャンスを掴むと、
主将の山瀬が見事に左中間を破り一点差、
そして二死からは知田がライトに同点打。
球場の雰囲気は最高潮で、
「北陸勢初制覇」
を後押ししていました。
なおも続け満塁のチャンス。
ここがこの試合のポイントとなりました。
履正社は同点に追いつかれたところで、
準決勝で好投した2年生の岩崎がマウンドに上げ、
なんとかこの大きな波を食い止めようと必死の継投。
この101回目の大会の全てが凝縮するような、
背中がゾクゾクする場面でしたね。
ここで踏ん張ったのが岩崎。
準決勝の好投で完全に甲子園を自分のものとしていたこの右腕は、
こんなしびれるシーンでも、
しっかりと腕を振り自分の球を投げ、
5番大高を抑えきって「先に行かせる」ことを防ぎました。
大乱戦でも何でも、
野球でよく言われる「格言」、
「追いついても追い越せなければ、試合はモノにできない」。
星稜にとっては、まさにその格言通りの試合になってしまいました。
追いつかれた直後の8回、
履正社はまず先頭の内倉が粘って粘って、
奥川が苦笑いを浮かべるほどの粘りを見せ、
最後の最後に右中間へ特大のツーベースを放ちました。
この勝負で、
この試合はもしかしたら決まったのかもしれません。
100球に届く投球になり、
明らかに疲労の色が濃くなってきた奥川。
しかしそれでも150キロ近くの球を投げ込んではいましたが、
すこしでもスキを見せるとそこに見事に付け込める打力を乗った履正社打線が、
これを見逃すはずはありませんでした。
キャプテン野口が1死3塁からセンターへ歓喜の勝ち越し打。
そして甲子園で初ヒットという岩崎の打球がレフト前に落ち2点差になると、
そこから星稜に追っていく力は残されてはいませんでした。
いくら疲労の色が濃くこの日はいい出来ではなかったとはいえ、
奥川はそれでも”大会屈指”と言える速球を、スライダーを投げ込んでいました。
その奥川から11安打5点。
履正社の打線は見事としか言いようがありません。
春の選抜で3安打17三振でこの奥川に完封されてから、
どれだけの思いをもって打線を強化してきたかを、
この甲子園の最後の大舞台で、
いかんなく発揮しましたね。
見事な優勝でした。
今大会はエースの清水が絶好調というわけではなかったものの、
「孝行息子」岩崎が終盤に飛び出して守護神となり、
それをバックが見事な守備で盛り立てました。
決して打撃だけのチームではない、
総合力が本当に高いチームでしたね。
昨年は大阪でのライバル、大阪桐蔭が「史上最強」と言われる戦力で春夏連覇。
その前の年は、
履正社の方が戦力は上と言われながら、
選抜の決勝ではその大阪桐蔭とのライバル対決に敗れ、
悔し涙を流しました。
岡田監督は、
「いったい自分たちと大阪桐蔭、どこが違うのか?」
と自問自答していたと思います。
甲子園に来ればキッチリと結果を残し、
ほとんど負けることがない大阪桐蔭。
それに比べて、
期待された今年の選抜でも初戦で奥川投手に完膚なきまでに叩かれた履正社。
「やっぱ大阪桐蔭じゃなきゃな・・・・・」
そんなスズメたちの声も、
耳に届いていたことでしょう。
「いつか見てろよ」
という思いは、
本当に強かったと思います。
甲子園を制覇するには、
実力だけではだめで、
勢いや時の運も味方につけなければいけないと思います。
履正社はこれまで、
実力はあってもどこか運がない、
そんな感じのチームに見受けられました。
しかし今年。
選抜で完敗したことで、
世間の履正社に対する「期待」は、
さほど過度なものにはなっていなかったような気がします。
今大会前も、
もちろん優勝への有力候補の一つには上げられていたものの、
決して「筆頭候補」という扱いではありませんでしたし、
ワタシもそう評価していました。
しかし今大会の履正社は、
何か選手たちが「水を得た魚」のごとく、
ノビノビとグラウンドを跳ね回っている感じで、
「時の勢い」を感じることができましたね。
どちらかというと、
大会中の注目がほとんど奥川投手と星稜に行っていたのも、
履正社にとっては「いい流れ」だったかもしれません。
そして最後の決戦の相手が星稜、奥川投手と決まって、
より一層選手たちのモチベーションも上がり、
頂点に到達したのだと思います。
もう履正社は、
大阪桐蔭の後塵を拝する存在ではなくなりましたね。
「全国屈指の強豪」の地位、
見事に獲得しました。
これからは完全に一皮むけた戦いができるのでは、
そんな風に感じています。
後はライバル大阪桐蔭との直接対決で互角以上の戦いをすることができれば、
何度でも栄冠は履正社の上に輝くことでしょう。
新たな令和という時代が、
履正社の時代になるという可能性も、
十分に感じられます。
しかし大阪桐蔭も、
黙ってはいないでしょうから、
このライバル対決は、
さらにグレードが上がった戦いになりそうですね。
昨今は動画配信も一般的になり、
夏の選手権だけではなく春や秋の地方の大会も、
遠くにいても目にすることができるようになりました。
履正社 vs 大阪桐蔭
いつ何時でも、
どこにいたとしても、
見逃したくないなあ。。。。。。
もう両校ともに、
プロの戦いじゃないかと見まごうほどのレベルの高い対決が、
繰り広げられていくことでしょう。
いずれにしても履正社高校の皆さん、
おめでとうございます。
ワタシの周りにも、
「履正社のヘビーなファン」がいて、
本当に喜んでいますね。
おめでとうございます!!
敗れた星稜については、
またほかの記事にて。
いずれにしても、
最後まで「高校野球」を堪能できた、
2週間でした。
ありがとう、選手たち!!
ありがとう、甲子園!!!!
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履正社の各バッターは奥川君のスライダーを良く見極め振らされず、またよく食らいついていました。
春に一度対戦し、手も足も出なかった苦い経験が生きたのではないでしょうか。
3回の得点も、連続四球を選んだことが、井上君に回り逆転スリーランが生まれた結果につながったといえます。
星稜からすれば、あの回の一発が本当に悔やまれます。
また、2点取って追いついて満塁になったものの、あと一打が出なかったことが残念であり
最終回のチャンスにも最後は併殺で終わってしまった場面なんか本当に惜しい。
しかし履正社はあの苦しい場面をよく凌ぎきったと思います。
両校とも本当にナイスゲームでした。
ありがとうと言いたいです。
それにしても奥川君。
今大会ナンバーワン投手は疑いようがありませんが、個人的には過去ナンバーワンぐらいの評価です。
とくに智弁和歌山戦は松坂と同等、ひょっとするとそれ以上かとも思えるピッチングでした。
(ちなみに、衝撃度ナンバーワンは桐光学園の松井でした。)
だからこそ優勝してほしかったなあ・・・。実力からすれば、優勝しなければならなかった器です。
それを思うと、春夏連覇した松坂はやはり別格ということになるのでしょうか。
ついこの前までは高校生だったピッチャーが、メジャー移籍前の全盛期に差し掛かろうかというイチローを押さえ込んだのですからね。
奥川君の最後の涙、こっちももらい泣きです。
ほんとナイスピッチング。
プロでも絶対成功してほしいものですね。
本当に気持ちの良い決勝戦でした。
また、大会全体を通して清々しい晴れやかな大会だったように思います。。
高校野球最高!!
PS
佐々木投手との投げあいを見てみたかったですねえ・・・。
本当に今大会、最後まで盛り上がりましたね。
近年にはない終盤までのヒリヒリするような攻防の決勝も印象に残ります。
色々ありましたが、やっぱりワタシは奥川投手が一番印象に残った大会だったですね。
智弁和歌山戦のピッチングは、長く高校野球を観戦した中でも、最高のピッチングでした。
「その試合」ということであれば、間違いなくNO1に上がる超絶なピッチングでしたね。
決勝はその試合に比べて、見た限り70%ぐらいの出来に見えましたが、それでもそれを打ち崩した履正社の打線は見事というほかありませんでした。
これで大阪の2強は、実績的にも少し近づいて、これからは少し直接対決の中でもその空気に違いが出てくるのではないでしょうか。履正社を目指す大阪の中学生も、ますます増えることでしょう。
とにかく今年もサイコーの夏を過ごせました。
甲子園には、本当に毎年感謝しかありません。