≪WBSS 準決勝≫ ~英・グラスゴー~
【IBF世界バンタム級タイトルマッチ 12回戦】
WBAチャンピオン IBFチャンピオン
井上尚弥(大橋)〇 2R KO ● エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)
1分19秒
戦慄のKO劇は、
グラスゴーの地でも繰り広げられました。
待ちに待ったWBSSの準決勝。
「いったいいつまで待たせるんだよ!」
とファンをやきもきさせたこのタイトルマッチ。
事前になんだかまたごたごたして、
井上の持つWBAのタイトルは賭けられることのなかったこの試合。
WBAはこの世界タイトルのほかにスーパータイトル(持っているボクサーはスーパーチャンピオン)というのがいるので、
IBFとしては「この2番目の王者とは、統一戦という形を認定しない」となったのですが、
まあそんなことははっきり言うと「ど~~~~~でもいい」こと。
井上尚弥のボクシングは、
すでにロマチェンコ、GGG、パッキャオ、ロマゴン、デラホーヤ、
古くはタイソンやレナード・ハグラ-・ハーンズ・デュランなどと並び、
「どんなタイトルを持っているかなんて、まったく関係ね~」
ボクサーになりつつありますね。
「井上尚弥がどんなボクシングをするか?」ということと、
「井上尚弥がだれと戦うのか?」という事のみが世界のボクシングファンの関心事。
日本で錦の御旗のように珍重される「タイトル〇〇回防衛」「〇階級制覇」なんていうのは、
はっきり言うとど~でもいいことです。
そういう意味で今朝当たりの日本の各紙の報じ方も、
「なんだか世界の潮流とは、大きく離れちゃってるな~」
と思わなくもないですが。。。。。
さて、
昨日の早朝のタイトルマッチ。
相手はIBFチャンピオンで、
評価の高いエマヌエル・ロドリゲス。
この技巧派で速いボクサーは井上にとって「初体験」と語られ、
「ひょっとしたらも、十分ありうるぞ!」
と言われていました。
ワタシも事前にロドリゲスの試合の画像を見ていましたが、
「結構強い王者だな」
という感覚は持っていました。
しかしながら、
「井上尚弥が負ける」
という所は想像することができず、
多分前半~中盤に捕まえることができるのでは?
と思っていました。
だがイギリスでの試合であるという事や、
前試合から間が空いてしまっているという事などから、
ある程度長引くのでは・・・・・・という「嫌な予感」も頭の中になかったわけではありません。
それゆえでもないですが、
井上のリング登場ぐらいから、
胸のドキドキは大きくなるばかり。
試合前のリング中央では、
相手の大柄なセコンド(公開練習時に、真吾トレーナーを突き飛ばした、あいつです。)がものすごく井上に顔を近づけて威嚇してきて、
ワタシは画面に向かって『てめー、けんか売ってんのか!!』と叫んでしまったぐらい不穏な空気も流れていました。
そしてゴング。
第1Rは井上が珍しく大きなフックを振るって空振りをするなど、
なんだか「いつもとは違うぞ!」という事を感じさせる立ち上がり。
井上はいいパンチを当ててはいましたが追い込めることはできず、
逆にややロドリゲスに圧力をかけられるようなシーンも見られました。
それでもいいパンチが当たってはいたので、
ワタシの”自己採点”では1Rを「取った」立ち上がりに見えましたが、
結構「取られた」と思った人も多かったようですね。
それぐらい「拮抗した」立ち上がりだったと思います。
しかし第2ラウンド。
開始早々にあっという間に詰めに入った井上は、
あのパヤノ戦のごとく強烈な左フックを顎に叩き込み、
その時点で勝負は決まりました。
ロドリゲスはもんどりうってリングに倒れ、
立ち上がって攻防が開始されると、
次には「チョ~強烈な」ボディで崩れ落ちるようにマットに這いました。
その時の「もうダメだ!」と陣営に向かって首を振るロドリゲスの顔が、
この試合をすべて物語っていたのではないかと思います。
完全に心折れてしまったボクサーの顔。
そんな顔をさせることができるのは、
井上を置いて他にはない……そんなことを感じるほど、
またまたすごいことをやってのけてくれました。
無敗で上り調子の世界チャンピオンを、
遠くヨーロッパの地で完膚なきまでに叩きのめす。
そんなこと、できるんだ!!!
またまた驚きの上に、
驚きを重ねられましたよ、井上チャンピオンには。。。
誰かが試合の事前に書いていましたが、
長嶋さんいわく
「スターはファンの望むことをその通りやるが、スーパースターはファンの望みの上を行く!」
だそうです。
まさに井上尚弥というボクサーは、
いっつもワタシの予想を超えるようなすごいことを、
傷一つない顔でやってのけてくれます。
まさに世界のスーパースターですね。
これでヨーロッパのボクシングファンもアメリカのボクシングファンも、
「井上がどんなにすごい選手か?」
という事が、分かったんじゃないでしょうか。
これが井上尚弥の、
「実質的な世界デビュー」
になった試合ではないかと感じています。
これから世界は、
井上尚弥を、
あのパッキャオと同じぐらいの目線で見て、語るのではないかと思います。
日本のファンにとっては、
井上尚弥という日本の至宝が、
世界に羽ばたくのを目撃した日になったのではと思います。
世界に舞台を移して羽ばたいていくためにタラップを上がる岡ひろみを、
宗像コーチが遠くから見送る・・・・
そんな「エースをねらえ」のシーンを、
ワタシは勝手に思い浮かべたりしていました。
「ああ、井上が世界に飛び立ったぞ!」
そんなことをなぜか、
強く意識する瞬間でしたね。
それにしても、
”衝撃の”そして”至福の”259秒でしたね。
コーフンは1日中、
おさまることがありませんでした。
さて、
WBSSの決勝です。
そして、
バンタム級という階級での最後の試合になるかもしれないし、
日本で開催するのも最後になるかもしれないし、
いろいろな意味でエポックメーキングな戦いになるであろうこの決勝の相手は、
あの”閃光”ノニト・ドネアです。
36歳のドネアですが、
いまだにその強さは健在だと思っています。
もちろん長谷川穂積を倒してタイトル統一を成し遂げたフェルナンド・モンティエルを圧倒した2011年当時と比べると、
迫力が落ちた感は否めませんが、
彼には有り余るほどの経験があります。
しかもバンタム級からは2階級上のフェザー級の世界タイトルを獲った5階級制覇の王者です。
2012年には西岡利晃と統一世界タイトルマッチを行い、
9RのKO勝ちで葬り去ったのは大きな衝撃でした。
そして、
『世界のトップボクサーとは、こんなにもすごいんだ』
という事を改めて認識した試合となったのは、
記憶に新しいところです。
その時の記事です。よろしかったら。 ⇒
https://blog.goo.ne.jp/angeldad/e/1934f0b633aee9935b3e57b8f449d866
その時ワタシ、
西岡が負けて相当悔しかったんだと思いますが、
ドネアの強さは本当に鮮烈で、
「あの西岡が、まったく自分のボクシングをさせてもらえない」
という事に衝撃を受けました。
しかし、
自分では忘れていましたが、
こうも書いています。
層の厚いボクシングの本場・アメリカという国で、
『本当の戦いの渦中に』
身を投じた西岡選手!
お疲れ様でした。
きっと、
『あなたの後に、道はできる!』
そう信じています。
こうした挑戦をボクサーが続ける限り、
いつかはサッカーの香川や長友、本田、
MLBのイチロー、野茂、松井、黒田、
テニスの錦織・・・。
こんな選手が生まれてくることでしょう。
アメリカの本場のリングで、
リングに登場するだけでアメリカ人から大歓声を受ける・・・・
そんな選手の登場を、
待っています。
そしてその願いは現実のものとなり、
その「最強ドネア」とビッグマッチで戦うのが、
『日本ボクシング界最高の至宝』井上尚弥だというのは、
できすぎたストーリーのようで、
なんだか怖いぐらいです。
決勝はどこで行われるのか、
いつ行われるのか?
早くもそれが知りたくなっているワタシ。
余韻に浸っている暇はありませんね。
日本開催、9月・・・・・・
そんなことが取りざたされていますが、
9月と言えばラグビーのワールドカップの時期でもあります。
「果たして、どんなことになるのか?」
井上尚弥のサクセスストーリー、
今後も目が離せません。
そして、
ようやく今始まったばかり……
のような気がしています。
おめでとう!!!!!
何回言っても、言い足りないですね。
1Rの間合いなんて近い近い!!
左フックの空振りなんか、相当力んでる印象でした。
相手も評判どおりのテクニシャンで、得意のアッパーを絡めたコンビネーションなど多彩でしたね。
ほんとハラハラドキドキのスリリングな1Rでした。
以前の採点方式だとイーブンですが、自分はロドリゲスかな。
手数、ヒットは同じぐらいでしたが、ロドリゲスが常にプレッシャーをかけていたいましたので、ジャッジに対しての印象度合いで。
評価の割れやすい難しいラウンドでした。
しかし2R。
やはり現在の尚弥のパンチは1発入れば、ほぼそれで決まりですね。
試合の流れを変えるどころか、もう終わったも同然かのように。
もうね、あんなパンチ見せられたら相手いなくなりますよ。
勝てる相手というより、試合相手が。
衝撃的すぎて痛快でしたね。
まだ試合途中なのにあんな表情します?
実力差のある格下ではないんですよ。同じ無敗のチャンピオンですよ。
ロドリゲス 「ちょっとムリっす・・・」
セコンド 「なにやってんだ!立て!頑張れ!」(おそらく)
ロドリゲス 「いや、ムリムリムリ・・・」
3度目
ロドリゲス 「イヤほんと、かんべんして・・・」
同じ無敗のチャンピオンですよ。
大事なので2回言いました。
もうだめという表情のボクサーはこれまで何度も見てきました。
ナルバエスも「これ無理だわ」的なやめ方でした。
しかし過去あれ程まであからさまに心の折れた感情を出したボクサーは見たことありません。
いや、恐怖に満ちた表情のほうが正しいかもしれないですね。
あの場面ビックリしました。
ナルバエスもマクドネル、パヤノもこれでなにも恥じることはないです。
もう誰が相手してもああいう結果になるんじゃないでしょうか。
そんな風に思わせる圧勝劇でしたね。
こうなったらネリとやってほしい。
今でもネリが1番危険な相手と思っていますが、かなり不安はなくなりました。
さあ、ドネアとの決勝戦。
もうワクワク感しかありません。
ドネアが日本のリングで戦うんですよ(日本で開催かどうか決まってませんが笑)
マルケス兄とドネアは大好きなボクサーなのです。
まだいつになるかわかりませんが、次回は現地観戦決定です。
今日は試合記事、尚弥の評価のネット記事を漁りまくって仕事になりません。
やりました、すごかったですね。
世界戦が中心ですが、ン10年もボクシングを見てきて、こんなKOができるのはタイソンと井上尚弥を置いて他にはいないんじゃないか・・・・・そんなことすら最近思うようになりました。
今後の展開が楽しみなんですが、WBSSの後、あまりに強すぎるが故の「試合枯れ」が、最も危惧されるところだと思っています。
ドネアとの決戦は、ぜひ日本でやってほしいですね。新聞では大阪が取りざたされていましたが、東京在住のものとしてはやはり「ぜひ東京で」と思わないでもありません。無理を承知で「両国国技館で!!」なんて叫んじゃいます。