さあ【一番面白い】といわれる準々決勝の戦い。
いったいどんなドラマが待ちうけているのでしょうか。
展望してみましょう。
≪準々決勝展望≫
【第1試合】 成田(千葉) 関東一(東東京)
連投の中川と関東一の強打線が対決。打ち合いになるのか、それとも。
この対決は、両チーム共に昨日からの連戦となるため、予想と違う展開になる可能性が大いにある。
予想としては、成田の剛腕・中川に関東一の打線が挑むというもの。
中川は昨日はさほど出来は良くなかったものの、それでも北大津の強力打線を7安打に抑えている。外角の低めに決まる速球が生命線だが、昨日の終盤にその球がちょっと抜け気味に真ん中に集まってきていたのがちょっと心配の種。しかし、マウンド上での気迫と、クレバーなマウンドさばきは健在で、関東一としても簡単には攻略できない相手だ。
その関東一の打線は、難敵の早実・鈴木を難なく攻略して、いまノリに乗っている感じだ。特に山下・渋沢の1・2番は大会屈指。破壊力と足攻を絡め、得点力は非常に高い。心配されるのはエース白井の出来。昨日は要所を締めたものの被安打14、四球10、残塁15と打ち込まれた印象だ。炎天下の連投となる今日の試合、上位下位ムラなく打つ成田打線の餌食にならず、じっと耐えて打線の爆発を待てるのか。
試合は5~8点ぐらいを取り合う勝負になると見る。
関東一が勝つには、中川の攻略が必須。足を絡めて揺さぶっていきたい。成田としては得点はある程度奪えることが想定できるため、守りをガッチリ固めて関東一の打線を分断し、ビッグイニングを作らせないことが肝心。
【第2試合】 興南(沖縄) 聖光学院(福島)
優勝を占う大一番。島袋が本領を発揮するのか、大物キラー・聖光がまた輝くのか。
優勝を左右する大一番だ。
興南の島袋は、昨日の仙台育英戦では本調子ではなかった感じだが、ピンチで見せる冷静かつ大胆なピッチングは、相変わらず相手に≪難攻不落≫と思わせるだけの貫禄が十分だ。打線もトップの国吉大を中心に速いライナーを打つ打撃が徹底されている。小技も利くため、得点能力は高い。しかし、昨日の仙台育英の木村に対するバッティングは、他校に興南打線攻略のヒントを与えてしまったかもしれない。今日対戦する聖光学院・歳内投手が何かを掴んだのであれば、攻略は難しくなるかもしれない。興南は、今までのように打てなかったとき、その真価が問われてくる気がする。島袋を中心にピンチをしのいでいけるか。
聖光学院は鋭い打線を持っているが、それでも島袋攻略は容易ではない。2・3点取ればといったところだろう。となると、やはり最少得点差で逃げ切った広陵戦や、後半勝負を貫いた履正社戦と同様の痺れる戦いで勝つシュミレーションをしていることであろう。2・3回戦で見せたアグレッシブな守りで相手のピンチを掴み取っていけば、自ずとチャンスは巡ってくると見る。まずは興南という名前を意識せずに前半試合に入っていけるかということも重要。
興南としては、昨日の試合が第4試合だっただけに、疲労の具合が心配でもある。特に島袋はやや球数が多いため、連投となったときのスタミナが心配。興南が負けるとすれば、昨夏のような戦い方になったときと見られるだけに、前半になんとしても得点を奪って逃げ込みを図る、昨日の様な戦い方に持っていきたいだろう。聖光としては、何度もいうが後半勝負。じっくりついていって勝機をつかみたい。
【第3試合】 東海大相模(神奈川) 九州学院(熊本)
一二三の復調は本物か。九州学院は食らいつく打撃で活路。
試合の焦点はただひとつ。東海大相模の一二三の投球が本物なのか、ということだ。初戦と3回戦でのまるで”ジキルとハイド”のような投球の違いに、まだベンチも戸惑っていることだろう。3回戦のような投球ができれば、相手がどこであれ失点は完全に計算できる。特に右打者の内角をつく速球は、高校生では攻略するのは難しいだろう。しかし、荒れて四球を連発するようだと、九州学院の振りの鋭い打線につかまることは必至。一二三に良くも悪くも注目の集まる戦いだ。
さて、東海大相模はまだその真価を発揮していない打線にも注目だ。本来の持つポテンシャルは高いが、今大会ではまだまだその力を発揮していない。しかし、予選でも強敵と当たると必ず爆発した打線。集中力を持って臨めば、どんどんつながって得点力がアップしていくはずだ。九州学院は絶妙の制球力を持つ渡辺投手が軸。3回戦では打ち込まれたものの、失点は完全に計算できる投手だ。ゲームプランとしては、渡辺で前半をしっかりと抑え、その間に先制~中押しといきたいところか。5点勝負に持ち込めれば勝機は十分に見えてくる。東海大相模としては、まだ甲子園で見せていない足攻で横手投げの渡辺投手を揺さぶりたい。
東海大相模有利には違いないが、九州学院も食い下がりたいところだ。
【第4試合】 報徳学園(兵庫) 新潟明訓(新潟)
攻守にスキ見せない報徳。2枚看板の新潟明訓は小差の勝負か。
報徳は攻守に充実ぶりを見せつけている。特に打線の鋭さはかなりのもの。どこからでも突破口を開き、塁に出れば足技でかき回して得点を奪っていく。理想的な攻撃が出来ている感じだ。福井商・長谷川、佐賀学園・峰下と好投手を攻略して、自信を深めているはずだ。近畿最後の砦として、絶対に負けられないところ。投手陣もエース大西から1年生・田村へのリレーが決まっており、大量失点は許さない。この試合は田村が先発ではないかと見ているが、どちらにしても能力の高さは際立っているので安心してみていられる投手陣だ。
対する新潟明訓は、攻守に安定感がある。昨年の日本文理の活躍がいい刺激になり、どのチームに対しても臆することなく挑んでいっている。2・3回戦を見る限り、まだ看板の打線は火を噴いていないが、そろそろ爆発を期待してもいい頃。各選手の振りは相当に鋭く、鍛えこまれている感じがするので、一度点火すれば爆発することも考えられる。打線が火を噴かない中チームを支えるのは、池田・神田の投手陣だ。池田はしっかり試合を作れるところが魅力。後半は球威のある神田で締める、というパターンが確立しているところもチームの強みとなっている。
試合はその入り方で大きく違ってくると見ている。力では報徳が上回ると見られるため、新潟明訓としては過去2試合のように常にリードを奪った展開にしていきたいところだ。逆に報徳としては、そうさせなければ勝利に大きく近づく。投手を中心とした3・4点のしのぎ合いと見ているが、投手陣に疲れが出る頃だけに、予断を許さない。