≪第93回選抜高校野球大会≫ ~甲子園~
【決勝】
東海大相模 3×-2 明 豊
明豊 100 100 000 ー 2
東海 100 010 001× ー 3
東海大相模が3度目の制覇。石田好投、小島のサヨナラで決めた!
東海大相模が、
激闘を制して3度目の選抜制覇を成し遂げました。
この決勝戦、
東海大相模は疲れを考慮してエース石田はベンチ待機、
初戦先発の”秘密兵器”石川が先発のマウンドに上がりました。
その石川を、
明豊の打線が初回から鋭くとらえていき試合が早くも動き出します。
当たっている2番阿南のヒットから始まり、
3番竹下の鋭いあたりはライト線へ。
完全に先取点と思われましたが、
ここで相模が9-4-2と絶妙な連係プレーを見せ、
ホーム寸前タッチアウト。
多分これがセーフになっていたら、
試合の流れは大きく明豊に傾いていたことでしょう。
しかしこのぐらいでひるまないのがこの春の明豊。
今大会当たりに当たる4番黒木がレフトにタイムリーを放って先制点を上げました。
その裏の相模の攻撃。
先頭の門馬が、
この日の明豊の先発・太田からセンターへはじき返して出塁。
「こちらも負けていないぞ」という気炎を上げたのは、
試合の流れを考えるととても大きな一打でした。
ワイルドピッチで2塁に進んだ門馬を、
綛田がきっちりセカンドゴロで進めて1死3塁。
ここで3番小島がまさかのスクイズ。
あっという間に追いついて、
試合の流れをイーブンに戻しました。
このスクイズ。
これまでの相模の攻撃から考えると、
非常に驚いたプレーでした。
しかしこれこそが、
門馬監督が甲子園の決勝というものを知り尽くしている証明のような感じですね。
「絶対に試合の流れを渡さない」
という強い意志が感じられました。
1点を先制された後のチャンスを逃すと、
このまま試合が流れていってしまうというのを何よりも警戒したのでしょう。
この1点、
結果的に序盤、
明豊打線に石川がつかまりながらもなんとか最少失点で抑えられたのは、
この1点の大きさだと思います。
明豊は1-0での序盤なら、
石川をとらえて3,4点取っていたのではないかと思いますね。
相模にとっては本当に大きな同点スクイズでした。
明豊は2回2死満塁、
3回は1死1・2塁からダブルプレーと毎回のチャンスも、
どうしても勝ち越すことができない展開となりました。
それでも4回も1死満塁のチャンスを迎えると、
相模はここで石川をあきらめ、
2年生の”秘密兵器パート2”求をマウンドに送ります。
バッターはこの大会のラッキーボーイ・阿南。
阿南は2球目をたたいてレフトへの犠牲フライ。
明豊はようやく勝ち越しに成功しました。
しかしここでまたも相模に、
守備でのビッグプレーが出ます。
レフトからの送球が7-2-5とわたり、
3塁を狙った2塁ランナーを刺して失点を最小に抑えました。
このプレーも実に大きかったですね。
1・3塁で3・4番を迎えるという事になれば、
マウンドに上がったばかりの求も冷静な投球ができるかどうかわかりませんから。
この試合、
好投を続ける太田投手の出来からしても、
2点差が付けば明豊は十分に逃げ切りの態勢に入れると思っていましたが、
その「2点差」を相模は鉄壁の守備で許しませんでした。
そのすぐ裏、
1回に続いて「取られたらすぐに取り返す」気迫の相模は綛田が死球で出塁。
そしてここで迎えた3番小島は、
エンドランのかかった2球目をライトに見事なライナー。
「1・3塁は間違いない」
と思われたところに、
今度は明豊の「今大会ノーエラー」の鉄壁の守備が救います。
明豊のライト・山本が前進、前進で超ファインプレー。
飛び出して戻れない1塁ランナーをも刺してダブルプレー。
両チームの鉄壁の守備は、
本当に試合を締めて、
素晴らしい攻防となりました。
5回の明豊も1・2塁のチャンスを生かせず、
毎回複数ランナーを出すもののホームが遠く、
これまでの戦いなら4・5点はリードで来ている展開を生かせず、
明豊は「何か嫌な展開」という感じで試合が進んでいきました。
5回裏の相模。
2死2塁のチャンスをつかむと、
ここでバッターはマウンドに上がっているピッチャーの求。
「ああ、チャンスもついえたかな」
なんて思ったのですが、
バッターボックスでの求は打つ気満々。
そしてその構えや振りを見ていると「なんだか打ちそうな感じ」がプンプンと匂っていました。
2死2塁でバッター9番という状況で、
レフトはかなり前に守っていましたが、
求めが放った打球はそのレフトのはるか上を超え、
相模はまたも同点に追いつきました。
追いつかれた明豊はまたも6回2死1・2塁。
1回から続く複数走者のチャンスを迎えると、
ここでこの試合我慢に我慢を重ねてきた相模の門馬監督がついに動きました。
「ピッチャー石田」
待ってましたとばかりの拍手の中、
石田がマウンドへ。
ここまでこの大会26イニング無失点の石田がマウンドに上がり、
試合の様相は一変しましたね。
その石田、
この試合は今大会の中では断トツに出来は悪かったと思います。
速球は走らず微妙なコントロールにも狂いが生じていましたが、
それでも経験値は抜群の好投手。
ゆるい球を中心に組み立て、
明豊に勝ち越し点を許さず3回1/3を無失点で投げ切りました。
そして試合の流れは、
石田の登板から徐々に相模のほうに流れ出しました。
7回は2死満塁まで追い込み、
8回は明豊の救援した京本投手に鋭い打球を浴びせ、
ハードラックなショートライナーでのゲッツーに終わったものの、
「点を取りそうなにおい」が漂ってきていました。
そして迎えた9回。
相模のナインの中には、
攻撃が裏だという事、そして石田が投げているという事でかなり安心感が生まれていたみたいなたたずまいで、
「あとは1点取るだけ」
という空気がベンチに流れているように感じました。
そして先頭の深谷が大仕事。
絶妙なバントヒットを3塁前に転がして出塁。
次の石田がしっかりと送って1死2塁とすると、
次打者の門馬を明豊は歩かせ1・2塁。
次の綛田に対し京本投手は痛い四球を出して満塁とすると、
満塁から小島の打球はショート横の鋭いライナーとなりサヨナラ。
入院した主将の大塚に代わりショートに入る深谷が、
歓喜のホームを踏んで東海大相模は、
3度目の春の選抜制覇を成し遂げました。
見事なサヨナラ勝ち。
激闘を制しての優勝は、
門馬監督を4度目の甲子園優勝監督にし、
神奈川勢としては横浜に並ぶ春夏5度目の全国制覇となりました。
おめでとう、東海大相模。
見事な優勝でした。
センバツとしては10年ぶり、
あの震災後の大会以来の優勝です。
また東海大相模の優勝の記事をかけるなんて、
本当に感激です。
そして敗れた明豊の準優勝。
今年のチームは昨年に比べてスケールが小さくなったと散々聞いていましたが、
3人の投手を駆使してその投手陣を鉄壁の守りが守り続け、
打ってはチャンスを確実に生かす鋭さがある、
見事な「小粒でもピリリと辛い」素晴らしいチームを作っての準優勝でした。
「強打明豊」
のイメージの強いチームで、
ともするとやや粗さの残る戦い方が多く、
そのためどこかで苦杯を喫していたこれまでの甲子園でしたが、
「期待されていなかった」世代のチームでのこの快進撃、
素晴らしい成果だと思います。
もう十分に、
九州の高校野球界を引っ張るチームですね。
夏も期待しています。
ということで、
東海大相模については、
もう一本書こうと思っています。
それにしても、
このコロナ禍の選抜。
よくぞ最後まで大会を行うことができました。
関係者、選手たちの努力には、
本当に頭が下がります。
どんなに警戒し、対策をしていても、
必ず感染は出るものだなあと、
今年正月の各高校スポーツの全国大会を見て思っていたものでしたが、
有観客での開催となったこの選抜高校野球大会が最後まで行えたことは、
快挙だと思います。
何とか今後も感染拡大を防ぎつつ、
スポーツの世界も正常化への歩みができるといいなあと思っています。
2年ぶりのセンバツ、
2年ぶりの甲子園での高校野球のトーナメント大会。
試合内容も接戦が多く充実していて、
本当に面白かった。
やっぱり甲子園はサイコーだ。
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なかなかどうして、素晴らしい戦いが目白押しでしたね。
自分の予想がことごとく裏目裏目で、結果的にいつも以上に楽しめたような気がしました。
大会が終わってしまったときのむなしさ。
久しぶりに感じるこの虚無感。
こういう風に感じるのはやっぱり高校野球だけです。
まめちち様の最後の言葉に集約されていますね。
「やっぱり甲子園はサイコー」
ホントそう思います。
夏が待ち遠しいってば!
東海大相模の優勝で幕を閉じたこの大会、2年ぶりという事もあって盛り上がりましたね。
感想は一言「やっぱり甲子園はいいなあ」これしかありませんでした。
甲子園で行われる野球、それが本当に好きなんだなあと、自分自身のことを改めて客観視できたりした大会でしたね。
大会中は投手の「1週間500球」がなんだか独り歩きしてしまったような報道が多かったのですが、考えてみれば今大会のずっと前から投手は複数制という流れは顕著で、金足農・吉田投手のようなケースはまさに「20年に1度」もないぐらいのように思います。だけど「昭和の高校野球おやじ」からすると、最初から連投など考えずに育てられた投手達は、少しへばるのが早いかなあ・・・・・という感じがしないでもありません。昔は「準々決勝からが本番」ぐらいの感じだった投手が多かったように感じますが、最近は「準々決勝では力尽きている」ぐらいがスタンダードに感じました。
hanahanaさんはどのように感じていますか?
意外と脆かったなと。二人とも。
天理の達投手も脇腹かどっかを痛めたようで、準決勝での登板を見送りましたが
メジャーを見据えているので無理させなかったとか。
そのように監督のコメントをみかけましたが、
いきなりかい?と。
まあプロには行くんだろうけど、まずそこで結果ださんかい。
選手も監督も、継投も含め考え方が変わりましたね。
まあ、自分たちの頃も昔の時代からすれば大分変ってたんだろうけどねえ・・・。
今後ますます有力私立校が有利になっていくと思われますね。
そのうち先発、中継ぎ、抑えというふうに完全分業制が確立されるんじゃないでしょうか。
なんか監督自身が采配を楽しんでいるフシがあるようなないような。。。
薄っすらとそんな風にも思ったりしています笑
あと球数制限よりも日程を確保しろと言いたいですね。
ずいぶん前にも言ったような気がするなあ(笑)
高校スポーツって、特に団体スポーツは、全国で覇権を狙う学校って、その数が完全に決まっちゃっていると思うんです。サッカーで20校ぐらい?ラグビーは10校ぐらい。バスケ、バレー、ハンドなどもいいところ10数校かな?その中で・・・・というか、本当に優勝を争う数校が、ぐるぐる覇権を回し合っているという感じの寡占状態ですね。
一方競技人口のすそ野が圧倒的に広かった高校野球は、たくさんの学校が全国の覇権を狙えるという競技で、そこが大衆の心をつかんだからこそ、長く人気のスポーツになっているんだと思います。
そういう観点からいうと、21世紀型(特に2010年ぐらいから)は、いよいよ他のスポーツと同じような「寡占化」が始まっている感じの大会が多くなって、世間の興味からは少し外れちゃっているかなあ・・・・・なんて思わなくもありませんね。(野球好きは試合自体が好きだから同じように見続けると思いますけど。)
だからではないですが、ことさら「感動の肥大化した報道」や「小ネタばかり強調される」ことばかりに熱心な「高校野球のバラエティ化」も進んでしまっていると思うんです。
コロナになって「新たな日常」を模索しているんなら、高校野球も今一度原点に戻る必要があるかな、と思ったりもします。
「時代に呼応して」という事ばかり追うと、ますます高校野球は欧米のサッカーチームのような「スポーツクラブ化」が進むと思っているんです。
複数ピッチャーの育成ばかりに目が行くという事も、クラブ化の顕著な一環という気がしますね。