第8日を迎えた選抜高校野球。
いよいよ8強が出そろいました。
8強の最後の3つのイスを争った昨日は、
強豪が自分の力を存分に発揮して勝ち残りました。
履正社 8-2 九州学院
鹿児島実 7-2 城南
東海大相模 13-5 大垣日大
履正社、鹿児島実はバランスの良い好守が光りました。
特に履正社は、
エースの飯塚投手が好投。
ガッチリとした二本柱で、優勝をしっかりと視界にとらえ始めました。
東海大相模は、
秋とは全く違うチームになって登場。
1回戦の関西・堅田投手に続き、
この日も大垣日大・葛西投手に対して、
しっかりと踏み込んで攻略。
打線は本物です。
さて、
いよいよ8強が出そろい、
今日から準々決勝の戦いが始まります。
各チームの調整具合にばらつきが見えた今年の選抜でしたが、
勝ち残ってくるチームはどこも上げ潮ムード。
面白い戦いになっていきそうです。
【準々決勝の見どころ】
第1試合 九州国際大付属 - 北海
焦点はただ一つ。九国打線にどう対処する?!北海の玉熊
北海の2年生エース・玉熊の出来がすべて。
北海の打線はいまひとつ迫力を欠くため、勝ちきるには玉熊が強打の九国打線を2点ぐらいに抑える必要があるだろう。
玉熊投手のいいところは、変則的なフォームとやや球にばらつきがあること。
バッターとしては的の絞りにくい投手で、2回戦で対戦した天理は、最後まで各打者が自分のタイミングを取れずに終わった。
玉熊としては、強打の九国打線に対しても、同じようなピッチングできるかどうか。特にクリーンアップの破壊力はピカイチなだけに、
ランナーを置いてから長打を食うような展開だけは避けたいところだ。
北海としては、ロースコアの戦いに持っていっての後半勝負。戦い方は全く変わらないであろう。
対する九国は、三好投手の安定が好材料。キレのいいスライダーは、ウィニングショットとして抜群の効果を発揮。
140キロの速球の走りとともに、今大会の好投手の一人に数えられるまで評価を上げた。
心配があるとすれば、北海得意の展開に持ち込まれた時の反発力。
後半追いかける展開になった時は、打線の真価が試されるとみていいであろう。
試合としては、圧倒的に九州国際大付属が有利と見るが、玉熊投手がアップセットを演出し、”今大会のヒーロー”への階段を上ることができるかにも注目だ。
第2試合 日大三 - 加古川北
”究極の大物食い”ぶりを発揮できるか、加古川北。打線全開と行きたい候補・日大三
なかなか興味深い対戦になった。
大会前から”大物食い”のチームとして評価の高かった加古川北が、ピークの状態で優勝候補・日大三に挑んでいく。
『失うものは何もない』とハツラツと動き回ると、日大三にとってはかなり厄介な戦いになりそう。
加古川北としては、昨秋の近畿大会で大阪桐蔭を2-0と破った試合展開を再現したいところ。
そのための絶対の条件は、井上投手の好投しかない。この選抜で18イニング無失点を続ける井上はピッチングのコツを熟知しているように見える。
その術中に日大三がハマるようだと、よもやの展開も十分に考えられる。
日大三としては、とにかく先取点を取ることに集中することだろう。受けに回って『後半勝負』などと考えているとズルズルと行きかねない。
前半の両チームの試合の入り方に注目大だ。
その日大三であるが、好材料としてはセンバツに入っての2試合で厳しい接戦を経験してきたことであろう。
小倉監督としては、自慢の打線の出来などにまだまだ不満もあろうが、徐々にエンジンをあげていくということを考えると、実に絶好の【大会への入り】だったと考えられる。ひょっとすると、なぜ日大三が優勝候補筆頭にあげられているのかを、満天下に示す戦いになるかもしれない。
考えられる展開はふたつ。井上投手がどのような投球をするか、焦点はこの一点だ。
第3試合 智弁和歌山 - 履正社
”近畿の盟主”を決める絶対に負けられない戦い。やや分のいい智弁和歌山に戦力充実の履正社が挑む
大注目の対戦。関東に住む人間にとって、近畿の強豪同士の戦いは、普段見ることができないだけに胸躍るものがある。
この智弁和歌山と履正社の対戦も、両校の戦力が拮抗して1点を争う好ゲームになる予感がして、ワクワクしている。
さて、この両チームの近畿大会などでの対戦では、智弁和歌山がわずかに精神的には優位に立てるのではないか、ということを大阪の関係者から聞いた。我々にはわからない部分での駆け引きも大いにあると見えるので、そのあたりも楽しんでいきたいところだ。
単純に戦力を比較すると、左腕の青木投手が2回戦で負ったケガ(足のマメをつぶしたということ)の具合がどうなのかが気になるところだ。まだ上野山投手をはじめ複数の投手がスタンバイする智弁和歌山だが、やはり強豪相手に守りの中心となるのは青木投手と考えられるため、気になるところだ。対する履正社の投手陣も、初戦完封した左腕・渡辺、そして2回戦を完投で飾ったエース・飯塚と充実。両校ともにがっちりとした”守りの野球”を推し進めていけるだけの戦力を持っている。
打線は、今大会のコンディションとしては履正社のほうが一枚上だろう。昨日は好機にたたみかけ8得点。トップの海部から、石井・桝井のクリーンアップにつなぐオーソドックスな攻めを得意とする。智弁和歌山は、過去のチームと比べて打線の破壊力が落ちるのは明らか。しかしその分つなぎの意識が強く、そして勝負強い。好調の道端につなぐ展開に持ち込みたい。
この対戦は、目に見えない部分が大きく試合を左右しそうで、なかなか予想しづらいものがある。いずれにしても僅差の好ゲームが期待されている。
第4試合 鹿児島実 - 東海大相模
大会屈指の東海大相模打線が、鹿実の野田にも襲いかかる?!ハイスコア必至のどつきあいが見られるか
興味が尽きない対戦だ。エース野田と強打線で優勝候補の力を見せつけている鹿児島実に対し、一冬超えて全く違ったチームになって甲子園に戻ってきた、今大会最大の”サプライズチーム”東海大相模。この対戦、一番面白い展開は”ノーガードでの打ち合い”だろう。
それにしても東海大相模の打線の鋭さは、他を圧倒している。決して長打力あるバッターが揃っているわけではないが、”何かを仕掛けてくる”圧力は相手チームを混乱の極に陥れる。関西・堅田、大垣日大・葛西。この防御率0点~1点台前半の好投手に対して、初回からまさに”息もつかせぬ攻撃”で撃沈した攻撃力には驚嘆。打線と比較して投手力は不安定要素が多いが、門馬監督が戦前から『打てるチームでないと全国制覇には届かない』と言っていた通りのチームの仕上がり具合になってきた。
対する鹿実は、安定した戦いぶりを見せている。野田投手にはまだまだ不安が残るが、打線はいい時の状態を維持している。心配は野田投手。昨日は2失点完投だが、四死球は7を数えた。東海大相模相手に無駄な四球を出すと、そこから付け込まれてしまう恐れが十分にある。この対戦では、慎重な投球が望まれるところだ。鹿実としては、打撃陣の強力なサポートは期待できそうで、前半に大きなリードを許さなければ彼らの”勝ちパターン”に持って行ける可能性は高い。対する東海大相模は、過去2戦の戦い方ができれば勝機は十分。野田投手から最低でも5~6点は欲しいところだ。投手陣では庄司投手の安定感が光っている。この試合でも前半は庄司を先発させて試合を作っていくのではないかと思われる。心配されるエースの近藤については、1試合投げたことによって力みが消えてくれば面白い。
鹿実vs東海相模と言えば、昭和49年の延長15回の熱闘がどうしても思い出されてしまう。定岡-原のキラ星対決でもあったこの試合、カクテル光線に照らされて、本当にきれいだったなあ。あの時のような熱戦になるかもしれないこの第4試合、注目です。
さあ、
どんなドラマが待っているのか、準々決勝。
大会の盛り上がりも、最高潮になるでしょう。
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