ここのところ、
高校野球の話題に埋め尽くされるこのブログ。
まあ、
もともとが「高校野球オヤジ」の書くブログですから、
仕方ないっちゃあ仕方ないんですが、
それでも様々な競技でビッグニュースが入ってくると、
そちらに目を奪われてしまいます。
特に世界を相手に戦う日本のアスリートたちの活躍には、
嬉しさもひとしおですね。
そんな夏の週末、
ボクシング界でビッグなニュースが入ってきました。
このところのボクシング界といえば、
井上尚弥のWBSS参戦の話題とか、
村田諒太のアメリカでの防衛戦の話題とか、
かつて経験したことがない「世界の中心で日本人ボクサーが咆哮する」ビッグな話題が満載。
しかし少し国内に目を移してみると、
昨年から期待された日本人の世界チャンプ達の苦戦が続いています。
昨年8月と今年の2月の2度にわたる”神の左”山中慎介のKOでの敗戦と引退。
2団体統一王座に輝いた田口良一のまさかの敗戦。
ホープ・比嘉大吾のまさかの体重超過による失格とその後の衝撃KO負け。
海外で王座を獲得した尾川は、ドーピングでタイトルを剥奪されました。
チャンピオンに挑戦した日本人挑戦者も、
敗れ去る者が多く、タイトル獲得には至っていません。
井上、村田の活躍に隠れてはいるものの、
日本ボクシング界全体としては、
ここ数年の『いい流れ』が、明らかに変わってきているような印象すらある、
今年に入ってからのボクシング界です。
しかしこの週末、
『顔はおろか、世間には名前すら知られていない』
二人のボクサーによって、
ボクシングの『いい流れ』がまた、
軌道に乗ってきました。
その二人、
WBO世界フライ級チャンピオンの木村翔と、
WBO世界Sフェザー級でタイトルを奪った、伊藤雅雪です。
7・27中国・青島「英雄不問出外」
◇WBO世界フライ級タイトルマッチ 12回戦
王者 同級4位
木村翔(青木)〇 6回54秒TKO ● フローイラン・サルダール(フィリピン)
7・28米・キシミー
◇WBO世界Sフェザー級王座決定戦 12回戦
同級1位 同級2位
クリストファー・ディアス(プエルトリコ)● 12R 判定 〇 伊藤雅雪(伴流)
(111-116、110-117、109-118)
まずは木村。
昨年同じ中国で、
中国ボクシング界の大スターであるゾウ・シミンを破るという大番狂わせを演じて王座を奪取した木村。
中国ではこのファイトが評価されて、
木村は日本人としては珍しく「リスペクトされるアスリート」という評価を得ています。
その木村が年末の防衛戦を挟んで中国に帰還。
2度目の防衛戦を行ったというのがこの試合。
試合は木村の一方的な展開。
あっという間に攻勢を奪うと、
5Rにダウンを奪い、6RにさっそくTKO。
問題のない勝利を上げました。
木村は昨年挑戦する際には、
古くて狭いアパート暮らしで、
アルバイトで生活費を稼いでいるというハングリーさが取り上げられていましたが、
この2度目の防衛で生活の方も「2階級特進」となれたかどうか。
日本では何とベタ記事扱いでしたが、
もうこれは、
中国で人気があるのであれば、
主戦場を中国に移すぐらいでいいんじゃないですかね。
世界チャンピオンがロードで防衛を果たしたのにこんなに冷遇されるなんて、
なんか納得いきません。
ワタシは木村のファイトスタイル、
結構好きですよ。
そしてその根性も。
次はなんだか、
前ミニマム級王者の田中選手とのタイトルマッチが企画されているそうです。
木村の名前を日本全国に広める効果があるのであればこの対戦歓迎ですが、
さほどでもないのであれば、
あまり賛成はできませんね。
苦労して取ったチャンピオンベルト。
しかも、海外では人気者。
こうなったら、
日本には見切りをつけて、
海外のリングを主戦場にしてほしいぐらいの、
木村選手です。
そして昨日の日曜日(現地時間は土曜日)。
ビッグニュースが飛び込んできました。
あのPFPで1位を張る『いま全階級を通じて、世界で一番強い男』であるロマチェンコが返上したタイトルである、
WBOスーパーフェザー級タイトルの王座決定戦に挑んだのが伊藤雅雪。
相手のディアス選手は、
ロマチェンコの後継者としてプロモーターイチオシの強打のスター候補。
しかも場所はディアスの本拠地でもあるフロリダ。
どこをどう切り取ってみても、
このファイトは「ディアスの名前を満天下に広めるための舞台」としてとらえられていました。
例えてみれば、
「ロッキー」の第1作でのロッキー・バルボアの役割が伊藤の立ち位置。
誰もロッキーがアポロを破るなんて、
思ってもいない対戦というわけです。
しかし。。。。
まさに「事実は小説よりも奇なり」を地で行く昨日の伊藤のファイト。
入場時から「伊藤って、こんなにでかかったっけ?!」と日本のファンに思わせ、
ゴングが鳴ると見事に落ち着いて主導権を握っていく伊藤の姿がありました。
完全アウェーの雰囲気の中で、
世界初挑戦の伊藤が、
こんなファイトをやるなんて、いったい誰が予想したのでしょうか。
しかし伊藤はやった。
4Rには見事な連打でディアスをマットに這わせ、
その後の相手の反撃をかわしつつコンビネーションブローを入れ続けて、
12Rが終了した時には誰しもが伊藤の圧勝を確信できるようなファイトを終始続けてくれました。
そして、
伊藤の右手が高々と天に向かって上げられ、
見事の一言に尽きる王座奪取を果たしました。
日本のボクシングファンとして、
アメリカのアウェーのリングで、
こんなにもたくましく戦い勝利をもぎ取ってくれるボクサーがいるなんて、
感激しかありません。
今までワタシも伊藤といえば、
内藤律樹(あのカシアス内藤の息子)とのファイトがちょっと印象にあるぐらい、
ほとんど知らないボクサーでしたが、
昨日のファイトを見てもちろん、
ファンになってしまいました。
アメリカでこれだけの試合をして、
あのロマチェンコからタイトルを引き継いだのですから、
次のビッグファイトがとても楽しみです。
ほとんど聞いたことのない(失礼)ジム所属の無名ボクサーの伊藤選手。
見事にアメリカンドリームを掴んで、
これからロッキーの歩いたような道を、
歩いていけるでしょうか。
とても楽しみです。
木村と伊藤。
二人のナイスガイが、
日本のボクシングシーンを、
さらに熱いものにしてくれました。
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いいですねえ。
(“青木”ジムの“木村”選手という字面でどうしても「はじめの一歩」を想像してしまいます)
比嘉選手とはまた違ったタイプの、前へ前へのアグレッシブなスタイル。
日本人に好まれそうなスタイルと面構え。
アマエリートの五十嵐選手を圧倒した試合なんか完璧でしたね。
田中恒生選手とは噛み合うと思いますよ。
どちらも一般的には認知度もなく地味な印象が強いので、TV放映はあるんでしょうかね・・・。
日本人が海外の地で人気を得ることは、日本で変にワーワー騒がれているよりも大変嬉しいと感じます。
井上選手はもちろん、ドネア戦で華々しく散った西岡元チャンプ、去年引退された三浦元チャンプ、
コットに果敢に挑んだ亀海選手。
皆さんカッコイイですよね。
伊藤選手が衝撃的な登場をいたしましたね。
ひょっとしたら年間最高試合かも・・・
内山選手、三浦選手が相次いで去ったSフェザーを再び盛り上げてほしいものです。
伊藤選手はそのまま米国を主戦場にして戦うべきではないでしょうかね。
米国受けするでしょう。
有力Pにも目に留まったと思いますよ。
日本だとどうしてもジムの興行力に限界が・・・
新たな“激闘王”誕生の予感です。
非常に楽しみな選手が現れて今後のワクワク感に期待を膨らませている次第です。
あとは比嘉選手待ちです。
Sフライに上がるだろうから、井岡そこでじっとしとれよ!。
ボクシングのコメントも、熱いですね!!
日本のボクシング、盛り上げなきゃなりません。
ホンモノがリスペクトされ、苦労人が報われるスポーツにしなきゃ、といつも思っています。
そういう点において、現在報道されているボクシング連盟会長の話、心底うんざりです。
何事においてもクレバーで”戦う哲学者”村田チャンプがSNSでコメントを出してくれているのが、本当に救いです。