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16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

第94回選抜高校野球大会 総合展望

2022年03月02日 | 高校野球

第94回選抜高校野球大会

【総合展望】


大阪桐蔭が絶対の1強。力を持ち、勢いに乗ったチームが挑戦する大会となる。

いろいろなことが変わりゆく日本、そして世界。
”平和の祭典”であるはずのオリンピックがなんだかキナ臭くなってきたり、
あらゆるスポーツの観客の入れ方、見方なども大きく変貌しつつあるスポーツ界で、
「日本の観戦するスポーツ文化の老舗」でもある高校野球も、
確実に変貌を遂げようとしています。

近年、大会日程に休養日を設けることや、
延長タイブレーク制の導入、
そして投手の投球制限の導入など、
「選手を守る」という観点からの様々な対策が施されてきましたが、
「抜本的な改革」というには至っていないのではというのがワタシの見るところ。

そんな中で今年、
選抜高校野球の選考基準の透明性、平等性などの観点から、
大いに議論されてしかるべき事案が起こりました。

この透明性が求められる現在の世の中で、
選考委員もなかなか香ばしい意見を放ってくれましたし、
今後選抜というものが「これまで通りにはいかないぞ」という事の端緒となるような気もしています。

さてそんな中。。。

コロナに翻弄されただけではなく、
世界では戦争の火ぶたが切られるなど、
不安の芽から現実の厳しさが噴出してきていますが、
それでも今年の選抜は、例年と同じように開催されます。

日頃スポーツのチカラを信じているワタシも、
現在の社会情勢では、
なかなかそちらに気持ちを傾けていくのが難しくなっているのも事実です。

しかし・・・日本という国では、
”高校野球というスポーツ文化”は絶対に必要なんだという事を強く信じて、
今年も観戦に精を出そうと思っています。

ということで、
今年の大会の展望を。




根尾・藤原世代を超える可能性ある今年の大阪桐蔭。”3度目の春夏連覇”に挑戦する年になりそうな予感。

昨年は大阪桐蔭にとって、非常に悔しい年となった。超高校級の選手をそろえて履正社に奪われた覇権を取り返そうという年だったものの、春夏ともに甲子園では結果を残せず。「選手はそろうが結果が出ない」という戦い方は、大阪桐蔭が08年に西谷監督で初の夏の全国制覇を果たす前の、とかく「強いけどもろい」と言われた時代のそれを思い出させるものであった。「このまま大阪桐蔭時代には終止符が打たれるのか」というささやきも聞こえる中、チームは結束して秋を戦い、近畿大会の制覇に続いて初めて明治神宮大会も制し、このチームでの復権を高らかに宣言した。その姿は、根尾・藤原・中川の世代が2年夏の甲子園で逆転サヨナラ負けを喫した後、再起していった姿に重なる。そう、圧倒的な強さで春夏連覇を成し遂げたあの年だ。今年の大阪桐蔭、その「最強世代」をも超える可能性を持つ、素晴らしいチームになりそうで、この選抜ではまさに「1チームだけ抜けている」状態だ。
「打線はいいが、軸になる投手が・・・・・」と新チーム結成時は言われていたが、秋の陣を経て2年生の前田がその能力を半年前倒しで開花させ、盤石な状態となってきた。前田の秋の公式戦の防御率は0.78。すでに超一流の域にある数字を残している。神宮大会で敦賀気比、九州国際大付といった選抜でも屈指の強打線にほとんど付け入るスキを与えなかったピッチングは、正直「これからどこまですごい投手になるのだろう」という期待を大きくさせた。選抜でも大会屈指の左腕として登場し、圧倒的なパフォーマンスを見せるはずだ。そしてその前田を支える守備は相変わらず盤石、大会屈指のクオリティーだ。打線はチーム打率4割超、近畿大会準決勝から神宮大会決勝までの5試合、相手はいずれもこの選抜で有力校となる強豪相手に1試合平均9.4点。恐ろしい破壊力を持つ。松尾、丸山、海老根のクリーンアップはどこからでも長打が飛び出し、試合前半で抑えられていても、一度チャンスをつかむと一気に豪打で突き放すという戦い方ができる。過去3年間、大阪桐蔭は甲子園でわずか1度(交流試合は除く)しか校歌を聞いていないという苦難の時を過ごしてきた。しかし今年はスパークする年。4年前のあの雰囲気に近づいてきたチームで、まずは選抜の紫紺の優勝旗の奪還に挑む。




”打倒大阪桐蔭”誓う5強は、花巻東、敦賀気比、京都国際、広陵、九州国際大付。

大阪桐蔭の盤石ぶりばかり目立つ大会だが、対抗するチームはどこか。それぞれに強み、弱みはあるものの、総合的に花巻東、敦賀気比、京都国際、広陵、九州国際大付の5校が上がる。いずれも昨夏の甲子園や昨秋の明治神宮大会できらりと光るものを見せたチームで、勢いが加速すれば大阪桐蔭にも十分に対峙できる力を持つ。花巻東はなんといっても打線が看板。注目を浴びている通算50本塁打の佐々木に加え、4番には通算40本塁打の田代が座るツインバズーカで相手を粉砕する。明治神宮大会でも、国学院久我山、高知、広陵相手に1試合平均7得点を挙げて、全国の強豪相手にも十分に通用することを証明した。上位進出には、やはり投手を含めた守備面の整備が急務。守備面は今年は雪が多くこのあたりが微妙に響かなければよいが。投手力は左腕万谷が変化球を駆使して相手を幻惑する。続く2番手には右腕工藤が座るが、それ以外の投手が育って二人の負担を軽くすることが求められる。敦賀気比は昨夏からチームの中心だった4番エース・主将の上加世田が中心。秋は公式戦をほぼ一人で投げ切り、選抜をつかみ取った。バットでも4番で頼りになるが、そのほかのメンバーもかなり冬から春にかけてグレードアップしてきており、選抜では敦賀気比お得意の圧倒する攻撃が見られそうだ。あとは上加世田の負担を軽減できる投手の台頭があれば盤石で、2度目の選抜制覇もあながち夢ではない。京都国際は昨夏4強のエース森下が安定感満点のピッチングを披露する。右腕平野もしっかりした投球ができるため投手力は盤石。今大会屈指の陣容を誇る。昨夏甲子園4強メンバーは攻撃陣でも上位にずらりと並び、そこそこの得点力を持つ。どうしても投手中心の守り勝つ野球になりがちではあるが、打線がもう一つ殻を破れればさらにチームを上に押し上げる推進力になると思われる。ただ、チームを完全に仕切っていた中川捕手の後釜が秋から捕手になった辻井で、このあたりが心配の種。しかし接戦をことごとくものにする心憎い野球が持ち味で、一発勝負では強い「負けにくいチーム」の代表格だ。広陵は明治神宮大会準優勝。決勝では大阪桐蔭に果敢に挑み、存在感を見せつけた。広島県大会3位から中国大会優勝、そして明治神宮大会準優勝とホップ・ステップ・ジャンプと駆け上がってきたチームで、中井監督は自身3度目の選抜制覇を見据えている。チームの看板は「広陵のボンズ」真鍋だ。そのゆったりした構えから放たれる打球は鋭く、神宮大会では15打数8安打。花巻東・佐々木との直接対決で二人ともがアーチをかけたのには、観客のだれもが度肝を抜かれた。同じ2年生だけに「負けるもんか」の気持ちも強く、強豪に対して堂々と立ち向かっていく「男気野球」で鳴らす中井・広陵の中心を担っている。エース森山は中国大会・神宮大会の好投で目覚めたエース。キレのいい投球は十分に全国レベルで、控えの投手陣の底上げでグッとチーム力も上がってきている模様。圧倒された大阪桐蔭に対し、リベンジマッチで叩く準備は万端と見た。大型チームという事では、九州国際大付の右に出るチームはいないだろう。何しろ新チーム結成以来2試合しか練習試合をせずに公式戦に突入したにもかかわらず、ド迫力の打線を押し立て、細かいプレーには目をつぶり迫力で押し切る野球で九州大会を圧勝。並みいる九州の強豪を相手に二けた得点を連発した。中心に座るのはこちらも「新2年生カルテット」の一人、佐倉だ。佐々木、真鍋よりも一回り大きいガタイで、捕らえた打球は軽々とフェンスを越えていく。大物感いっぱいの長距離砲だ。この佐倉を軸に、黒田、野田、大島らがドカン、ドカンと相手の心を折るような長打を連発して息の根を止める。しかし初めての全国レベルの戦いとなった明治神宮大会では、3試合で9得点と今一つ打線は相手を攻略できず、全国レベルの質の高さを思い知らされた感じで練習にも熱が入っている。チームは豪打ばかりが目立つものの、しっかりとした投手力が備わっているのも心強い。エース香西は安定感抜群の好投手。しっかりと試合を作れて、その間に打線が相手投手を攻略という「教科書通り」の野球で勝ち進むチームだ。大阪桐蔭戦でも中盤までしっかりと接戦に持ち込み、今大会の候補の一角であるという事を再認識させた。春が非常に楽しみなチームである。



関東のB+評価の4校はどこまで優勝争いに加われる?! 「春は左腕」の鉄則から浮上するのは大島、鳴門。

昨春Vを飾った東海大相模が選出されなかった関東勢は、今年は「水準より少し上」のチームが揃うも、爆発力はなくどこまで這い上がっていけるか。戦力的には関東大会Vの明秀日立より、山梨学院・木更津総合の甲子園常連組の方が期待が出来そう。明秀日立は打線が看板のチーム。その打線は上位下位むらなく長打が出るとのことではあるが、このタイプの打線は昨春選抜出場した健大高崎とそっくり。打つ時はいいが、全国の様々なタイプの好投手がいるセンバツで、相手の投球にはまってしまった時にはからっきしになる不安を抱える。夏の大会ならば打線で突き抜ける野球も面白いが、選抜をこの戦い方で頂点まで駆け上がるのは至難の業か。投手力で勝ち上がる試合があれば面白くなってきそうだが。。。。山梨学院は、吉田監督が指揮を執り始めてから最強と言われるチーム。打線はどんな投手からでもしっかりと得点を奪え、守ってはエース榎谷の制球力が安定している。しかし山梨学院の場合、どうしても甲子園では持っている力の半分も出せないで敗れ去ることが多く、勝ち運にも恵まれていない。今年のチームも組み合わせに恵まれ、勢いがつくと面白いが果たしてどうなるか。関東で最も期待されているのは木更津総合。新チーム結成以来、関東大会準決勝で明秀日立に敗れるまで土つかずの42連勝を飾っていたチームで、その中には昨春選抜Vの東海大相模との試合も含まれている。エース越井を中心とした安定した勝ちっぷりは買えるものの、越井を先発に立てなかった試合に勝ち切ることが難しいのではというのもまた言われているチームではある。越井は速球の切れが素晴らしく、緩急も付けられるため相手打線に的を絞らせない。チームは伝統的に打線がさほど強くはなく、前半にリードを許すと反撃力が強いとは言われておらず、「なぜ?」と言われながらズルズルと敗れてしまうという事もあるチーム。全国で上に行くには、越井に続く2番手投手に安定感を出すことが何よりも大切だ。昨夏全国の土を踏んだ浦和学院が夏春連続で出場。長く指揮を執った森士監督から、その息子の森大監督に監督の座が移って初めての甲子園となる。全国の名将が指揮を譲った最初の采配で、新監督は結構いい成績を残しているケースも多く、そういう面で浦和学院にも期待と不安をもって見るこの選抜だ。新監督は「甲子園の雰囲気にやられる」ケースと、ある意味怖さを知らないのでビギナーズラック的に勢いに乗って勝ち進むケースがあるが、さあどちらの目が出るのか。戦力的には、旧チームでもエースの宮城が新チームのエースを務めるので、秋は疲れも残りあまりいい状態ではなかったものの、一冬超えて復調していれば面白い。
さて、関東以外のチームでは、「春は左腕の好投手が勝ち進むケースが多い」という鉄則から鑑みれば、大島と鳴門が面白い。大島は奄美大島のチームが昨秋九州で快進撃という事で注目度が高いが、エース大野は水準以上の好投手。全身をフルに使って投げる好投手で、Max150キロを目指している。一方の鳴門の左腕、富田は球速だけではなく、安定感が際立ち昨秋は0点台の防御率を残した。両エースがしっかりと投げることができれば、勝利はもちろん、8強以上が狙えるチームであると思われる。レベルの高い近畿から登場の7校の中では、和歌山東がどのような戦い方をするのか。昨秋は横手投げのエース麻田を中心にしっかり守って少ないチャンスを生かし勝ち進み準優勝。野球どころ・和歌山でもまれた野球力をいかんなく発揮して初めての選抜を手繰り寄せた。基本はスモールベースボールを徹底してやるチームだが、粘り強さが備わっており、初出場ながら上位進出をひそかに狙っている。また同じ和歌山からは、連続出場の市和歌山も面白い戦力を持つ。ドラ1バッテリーを持った昨春ほど注目はされていないものの、今年の米田、淵本と揃う2枚看板の投手力もなかなかなもの。必ず甲子園で敗れる時は「打てなくて負ける」悔しさを味わっているだけに、今年のチームは何とか「打ち勝てる」チームに変貌を遂げたいと冬場かなり振り込んだようで、楽しみだ。3年連続の春を迎える天理は、長身エースの系譜を継ぐ188センチの南沢がエース。昨年の達ほどではないがなかなかの好投手。打線もよく振れている「天理の打線」で、むしろ打力は4強入りした昨年を上回る。昨年甲子園で大活躍のライバル・智弁学園には負けていられないと頂点を目指す。



組み合わせ次第では活躍が期待できるチーム多数。各チームとも、甲子園出場の足跡は、なんとしても残していきたい。

そのほかでも、上位進出が狙えるチームは多数あり、面白い大会となりそうだ。北海道から初出場のクラーク国際は、エース山中と2番手辻田の、左右の好投手を擁しており、ベテラン佐々木啓二監督が采配を振るう。38年ぶりに聖地に帰ってきた日大三島は、元報徳監督である永田監督の采配が楽しみ。ロースコアを勝ち切るゲームがしたいところ。一方同じ東海から物議をかもした選考で選ばれた大垣日大も、大ベテランの阪口監督が采配を振るう。「最後方からのまくり」で様々な声をシャットアウトできるか。この春の選抜が最後の采配となるのは、星稜の林監督と東洋大姫路の藤田監督。いずれも甲子園ではおなじみの監督だけに、選手は「最後のひと花」を咲かせようと燃えている。

四国大会を制した高知は、大エース、森木卒業後すぐの甲子園。このチームは勝ち運を持っている感じで、初戦をうまく立ち上がれば面白くなってきそうだ。20年ぶりに帰ってくるかつての”甲子園の顔”広島商。果たして20年経っても、広商野球はそのままの輝きを放っているのか。帰ってくるといえば、昨年夏は14年ぶりに甲子園の夏から姿を消した聖光学院も、その悔しさから立ち直りすぐに今年の春の選抜切符を手に入れた。再出発で新しい歴史を刻む第一歩の大会となる。東京から出場の2校、国学院久我山二松学舎大付は、戦力的に目立ったものはないが、まずは聖地での1勝をもくろんでいる。金光大阪倉敷工は、ともに13年ぶりの出場。その13年前、両校は開幕戦で激突して延長にもつれ込む大打撃戦を展開した。今年は果たして、激突するや否や。九州から出場の有田工長崎日大は、いずれも攻守に穴のない戦力を整えた。21世紀枠の大分舞鶴とともに、九州勢躍進の先陣を切れるか。21世紀枠では、福井から初の選出になる丹生はライバル・敦賀気比と呉越同舟、どんな戦いを見せるか。2月にも3mを超す豪雪が降った福島から出場の只見は、山村の過疎地から、住民の熱い期待を受け聖地へ。果たしてどんな姿を見せてくれるか、楽しみだ。



今年は3月18日開幕の甲子園。
94回目の春も、いよいよ幕を開けます。
そして注目の組み合わせ抽選会は、4日金曜日に行われます。
さあ球春到来。
今年はどんな大会になるのでしょうか。


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