12・23 ≪FUJI BOXING≫ ~横浜アリーナ~
◇WBA世界ミドル級タイトルマッチ 12回戦
チャンピオン 挑戦者・8位
村田諒太(帝拳)〇 TKO ● スティーブン・バトラー(カナダ)
5R 2分45秒
◇IBF世界フライ級タイトルマッチ 12回戦
チャンピオン 挑戦者・14位
モルティ・ムザラネ(南ア)〇 TKO ● 八重樫東(大橋)
9回2分54秒
◇WBC世界Lフライ級タイトルマッチ 12回戦
チャンピオン 挑戦者・12位
寺地拳四朗(BMB) 〇 TKO ● ランディ・ペタルコリン(フィリピン)
4回1分8秒
クリスマスイブイブの横浜の夜。
楽しみにしていたボクシングの世界トリプルタイトルマッチが行われました。
昨年10月に世界タイトルを失って迎えて村田諒太の2019年。
その相手であるロブ・ブラントに対して7月、
村田の野生が目を覚まし、
2RでのKO勝ちを収めて失ったタイトルをぶんどり返して迎えた初防衛戦。
この試合で村田は、
必ず勝つということ以上に、
ミドル級に数多いる『ホンモノの強豪』に対して、
村田諒太というボクサーがここにいるぞという事を、
強くアピールする必要があったと思います。
しかし前回、
「これに勝てばビッグマッチへの道が・・・・」
と先を見てしまいブラントに敗れた苦い経験を持つ村田だけに、
いったいどんな戦いをしてくれるのか、
とても興味がありました。
決してビッグマッチではないため、
世間の興味は薄い今回の興行ではありましたが、
今後に向けて極めて重要な夜になることは明らかで、
ムードとしてはなかなかいい緊張感のある夜となりました。
村田は入場の時から、
前回のブラント戦と同じく、
緊張感のある面持ち。
無理に笑顔を作ってリラックスを装うこともなく、
何か「気合が入り、これこそが自然体だな」
という事を感じさせてくれました。
そう、本来の村田とは、
こういった選手だと思います。
しかしマスコミである意味での優等生を演じていた村田は、
常に余裕のある自分を演出していたと思います。
バトラーに敗れるまでは。
しかしブラントとのリベンジ戦で見せた、
村田の野生と言おうか本来の姿と言おうか、
そんな姿がとてもワタシは好きで、
これからが村田が何物にもとらわれずにボクサーとしての本来の姿を見せてくれるステージだと思っています。
そんな中、
試合開始のゴングが鳴りました。
バトラーは若く好戦的で、
パンチが強い「ザ・ミドル級」のボクサー。
いい意味での「若さ」があるように見えましたし、
初回、2回ぐらいは「なかなか怖い選手」のように感じました。
しかし自信満々の村田。
3Rぐらいからは、
相手を見切ったようにパンチを繰り出し始め、
しっかりといつもの様にじわじわと圧をかけながら前進。
追いつめたところでワンツーを繰り出して相手に防御のスキを与えませんでした。
そして最後は右、そして左の強打。
もんどりうってあおむけに倒れたバトラーは、
ロープにしたたかに後頭部を打ち付け、
その瞬間にレフェリーが試合を止めてのTKO勝ち。
まさに村田が完勝で、
激動の2019年を締めくくりました。
「強い!」
その瞬間、
うなってしまいました。
ブラントとの一連のバトルが、
村田を一回り大きくしたように思います。
凄まじい「気」のこもったパンチ、
特に左右のワンツーは、
ビッグネームに対抗する村田最大の武器だという事を、
世界に見せつけるぐらいの威力があると思います。
昨年の今頃は、
ようやく現役続行を表明して、
どうやって自分を立て直そうか模索していた時期。
よくぞ1年で、
ここまで立ち直った・・・・・いや、
凄くなって蘇ったと思います。
もう何時でも、
ビッグネームとの乾坤一擲の戦い、
出来る段階まで上り詰めてきましたね。
後はマネージメントを行うボブ・アラムの手腕にかかっていると思います。
出来れば東京ドームでGGGと、
そんな夢が実現したら、
勝とうが負けようが、
何十年も思い出に残る、
そんなタイトルマッチになると思います。
その夢に向かって、
2020年はより一層、
自分を磨き上げていってほしいと思います。
村田の夢は、
日本のボクシングファンの夢。
日本のボクシング界のヒーロー、
村田諒太と井上尚弥、
この二人からは、
片時も目を離せません。
拳四朗と八重樫については、
別稿で書きます。