日本の「保守思想」とは何でしょう。
何を「保守」するのか?
天皇陛下ですか?
その割には、今上徳仁天皇とその家族に対する「自称保守」の風当たりは、強すぎるようです。
なんだか「自称保守」の人たちが満足するような言動をしない天皇は、廃嫡してしまえ、と言わんばかり。
天皇が「反日」的言動をするのなら、別の天皇にしたいというのが、彼らのホンネでしょう。
「社会体制」を保守するのですか?
それなら、80年近くこの国が続けてきた社会体制を「戦後レジーム」と呼んで、それから脱却せよと…
「日本を取り戻す」と叫んでいた総理を、英雄か、どうかすると神様みたいに盲目的に支持をしていたのはなぜ?
脱却せよ、改革せよと言うなら革新ですよね、一種の。
いやいや、戦後の日本なんかじゃなく「本来の」日本を取り戻して、それを守るんだ、と言うなら…
それは「いつの段階の」日本ですか?
それは、幸せな社会だったんですか?
それは、結果的に成功したんですか?
「いや、あれは君側の奸物たちが作った間違った日本で、本当は王道楽土になるはずだった」…
と、2.26事件を起こした青年将校たちのようなことを言うのであれば…
それは一度も実現したことのない、幻想の理想郷だったんじゃないですか?
もしもそうなのだったら「取り戻す」というのは、表現として完全に間違いです。
「いやそれも違う、それはかつて実在した、神代の世界のやまと」なのだ、ということかもしれません。
それなら「国学」ですね。しかも本居宣長を始祖とする「国学」。神代をこの世の理想郷とするのなら。
本居宣長を知らないというのであれば、自称保守としては恥ずかしいですから、勉強した方がいいです。
賀茂真淵の弟子で、江戸時代に、当時の武士が唯一信奉していた漢学=儒教思想=朱子学に反発し…
それを「からごころ」とけちょんけちょんにけなして「やまとごころ」こそ日本人の心だ、と唱えた人です。
日ノ本は、天照大御神が生まれた国…
日輪(この場合物理的な、空で輝いている太陽のことです)は、やまとの地から生まれ出でたのだ、と。
なるほど、本居先生の国学思想を淵源にした、超古代の理想世界を実現し、それを保守すると。
それなら現代の「自称保守」の人たちは、なんで儒教(朱子学)的な思想をもとに「道徳」を説くのか。
日本の家父長制的なものを温存した社会を作りたがるのか。
それって、もとは儒教(朱子学)をもとにした社会秩序でしょう?
明治政権、大日本帝国の創立者たちが、江戸時代の侍の出だったのだから、仕方ないですけれど。
でも儒教は「からごころ」として本居先生はじめ「日本至上主義」の国学者たちが忌み嫌ったもののはず。
そのハイブリッドが、さらに「日蓮主義」などとも合体して明治期以後の国粋主義思想になったと知ったら…
本居宣長は、怒り狂い、口から泡を吹いて卒倒するでしょう。
つまり、大日本帝国の海外進出期を支えた「戦前の日本」の思想は、国学と儒学という…
本来は相いれない二つの物をごちゃ混ぜにした、ご都合主義の思想だと、私は思っています。
それは、二つの頭、双頭の怪物です。
さらに、戦後になって。
USA=GHQによる占領を経て、安倍晋三氏が心から敬愛した、祖父・岸信介氏のように…
本来なら戦犯として処分(岸信介氏の場合は処刑)されるはずだったのを、GHQから放免してもらった代わりに…
米国に都合の良い日本を作るよう、言い含められた人々がいました。
結果、政界、官界、財界の指導的な立場の人々は、顔ぶれは戦前とほとんど変わらない状態になった。
戦前の「特権階級」が、ほぼ温存されたのです。
彼らは当然ながら、自分たちの身分を保証してくれたアメリカ合衆国に、忠誠を誓いました。
誓わないわけにはいかなかった。
その結果、いまだに米軍は日本で特権的な地位を保持し、日本は米国に隷属的な国であり続けています。
「自称保守」の人たちのうち、特に特権的、指導的な立場の人々は…
大衆向けには「愛国者」の顔を作っていますが、やっていることのほとんどは、対米隷属的な施策です。
ちょっときつい言葉で言えば、アメリカの番犬。アメリカの「ポチ」。アメポチ。
こうして、日本の「自称保守」「自称愛国」の人々のうち、指導的な立場の人々の思想は…
国学的な国粋主義。儒教的な封建的社会体制の保持。アメリカにどこまでも隷属する立場。
この、どれもがお互いに矛盾した「三つの顔」を持つ、不気味な化け物になってしまっているのです。
それは、ギリシャ神話に出てくる、三頭の地獄の番犬「ケルベロス」のような姿であり…
もっと親しみやすい例でいえば、東宝映画のゴジラシリーズに出てきた…
三つの頭を持つ怪獣「キングギドラ」にそっくり、と言っても良いでしょう。
それが、日本の「お上」の姿である、ということに気づけば、背筋も凍るような恐怖を感じるはず。
ですが、日本の大衆の多くは、全く気付いていないみたいですね。
凶悪な怪獣キングギドラが支配する世の中が、発展するはずも、良いものになるはずもない。
ただ、これまで見ないように、気が付かないように目と耳を覆っていればよかったのですが…
これまで表面的に、日本が「仲間である」ことにして来た「西側先進国」との間に、いろいろな問題が生じ…
この国の根幹をなす「お上」の姿が、実はグロテスクな三頭の怪物であったことが、国際的に顕わになって来ました。
とくに「西側世界」が標榜する「人権」感覚が、この化け物には理解できていない、ということがバレて来た。
今までも「西側先進国」の中では、唯一、アジアの国として、異色の存在と見られてきた日本ですが…
実は全く仲間になどなれない、根本的に異質な国であるということが、海外にも知れ渡って来た。
これまでは…
「西側先進国」の親分である米国にとって「功利主義的」な利用価値があるから、一応仲間に入れておいたけど…
武器をバンバン買ってくれる「アメリカのATM」として利用できたけれど…
経済が30年も停滞し、だんだん貧しくなって、もう搾り取れるものも少なくなってきた。
そのうえ「西側」の人々の許容範囲を超えるほどの「人権無視国家」だということになったら…
もう「本物の仲間なんかじゃない」という認定を、はっきりとされますよ。
いま現在、トルコのエルドアン政権が、人権問題を理由に…
「西側」から見放されそうな、瀬戸際に立っているのと同じに。
(見放されたら、簡単にロシアの同盟国になりそうです)
そうなって、いざという時に「同盟国」いわば「運命共同体」として行動してくれることを期待するのは…
とんでもない「甘ちゃん」なこと。
「甘ちゃん」でないと、特権階級の人々は、まだ夢を見ているみたいですけれど。
それは、雑巾の最後のひと絞りを、まだできるかもと、アメリカが思ってくれているだけです。
いま「防衛費」増額を期待して、他の予算を削りまくって、さらに国民からいろんな名目で税金を絞り取って…
政府が我々を苦しめているのは、まさしく、アメリカから雑巾の最後のひと絞りをされている結果です。
そしていよいよ、カラカラに乾いたぼろ雑巾になってしまったら…
中国にでも特攻的な体当たりをさせて、使い捨てにしよう、ということでしょう。
黄色い人同士で戦って、それで中国の勢いが少しでも抑えられればいい。
「日本? ごめんね、君は忠実な犬だったよ。惜しいけどサヨナラ」
アングロサクソン人さまのホンネは、そんなところでしょう。
それで、いいですか?
いいというのなら、仕方ないですが。
最後に。
最近「3頭の怪物」の真の姿が、諸外国にも顕わになって来たといいましたが…
それを象徴する、二つの人権問題。
入管法改正問題と、LGBT法案問題についての動画をリンクします。
改正入管法は、そんな人権無視の悪法は作らない方がいいからといって、以前に廃案になったもの。
LGBT法案は「差別は許されない」という「西側」の常識がいやだということで、以前に国会提出が見送られたもの。
前者は復活させられようとしていて、後者は自民党内の「保守」がまた潰そうとしているもの。
「人権」に鑑みて、やらない方がいいことはやって、やった方がいいことはやらない。
徹頭徹尾「人権」が嫌いなんですね、自称保守の方々は。
こんなありさまだから「西側」からほんとの仲間なんかじゃない、と思われて…
利用するだけされた末に、最後はぼろ雑巾の扱いをされて、捨てられるのだと知らないとだめですよ。
こちらは「改正入管法」に関するもの。
長いようでしたら、せめて、最初の5分数十秒だけ見てください。
次はLGBT法案に関するもの。
こちらは22分ぐらいありますが、最後まで観てほしいです。お時間があるときにどうぞ。
LGBTに関しては…
そんなもの許すと「自称女のトランスジェンダー男が、女子トイレにどかどか詰めかけて来るぞ」
なんていう理屈をこしらえて反対し…
性別は、生まれたときの性器のあり方そのままで処遇すべき、と主張しますけれど…
それだと、どこからどう見ても「男」でしかないのに、生物学的には女であるトランスジェンダー女性が…
女子トイレに入って来るのはどうすんの?それはいやじゃないの?という話にもなりますよ。
そもそも、今でもトランスジェンダーの人間はいるのに、現実問題、トイレが男だらけになんかなってない。
それが「そういう人の人権を保障します。差別などしないようにします」という法律を作ったとたんに…
(しかも何の罰則規定さえないザル法なのに)
トイレだの女湯だのが「男だらけになる」なんて、どんな空想上のおとぎ話なんですか。
ひとこと言ってもいいですか?
バカじゃないの?