このブログをお読みになっている方で、Mrs.GREEN APPLEというバンドをご存知の方は、どれくらいいるのでしょうか。
そして、彼らがコカ・コーラとのタイアップで作った『コロンブス』という曲のMVが、ネットで公開されたと同時に…
人種差別的などの理由で炎上して、あっという間にネットから削除されたことをご存知の方がどれくらいいるでしょうか。
MVの内容は、コロンブスとナポレオンとベートーベンの恰好をした(たぶん)メンバーが、孤島を発見し…
そこにあった一軒家へ勝手に侵入して行ったら、中にはかつての映画『猿の惑星』のサルみたいな人々が住んでいて…
彼らにコロンブスやらベートーベンたちが、音楽やらなんやらを「教えてあげる」とか…
人力車を「原住民?」のサルに引っ張らせて大はしゃぎとか…
まあそんな感じの動画でした。
私は幸か不幸かそのMVを実際に見たのですが、ポリコレ的には、まずどこから突っ込んだらいいかわからないぐらいに多重アウトでした。
プラス、メンバーたちの調子に乗り切ったような笑顔が、個人的に不快でもありましたし…
白人の植民地主義への皮肉だというなら、有色人種である自分たちが白人の側に扮しちゃダメでしょう。
南アのアパルトヘイトがらみでの「名誉白人」という黒歴史が、日本人にはあるのだし。
そんなもの、バンドメンバーはね、何にも知らなくても仕方ないかもだけれど、でも…
MVを発想した人間やスタッフが「自らの差別意識を意識できない」ほどに…
人種問題にも世界の歴史についても人権についても、無知で常識に欠けていたのは確かです。
(あれのどこがおかしいのか分からない、と言っている擁護派の人々も同様)
そして、そんなものを公開すれば確実に燃えさかることに思い至らなかったほど、インターネットの世界を過小評価していた上に…
コカ・コーラというのは結局グローバル企業で、それがどういう「立場」にある存在なのか、分からなかったのでしょうね。
世間知らずで、よく言えばイノセントで、常識というものをわきまえない人たちなんですね。
アーティストとかクリエイターというのは、浮世離れしていて、ぶっ飛んだところがありがち…
というか、それぐらいでないと務まらない部分があるのは確かです。
(もちろんそれと差別については、またちょっと別の論点になりますけれど)
なので「アウトアウトアウト!世の中に出したら絶対だめー!」なものを発想したり、途中まで作ってしまうことはあり得るでしょう。
でも、それはレコードレーベルとか広告会社とか、詳しい内実はわかりませんけれど、いくつかの企業体のフィルターを通らないと…
あんな風に「完成品」「商品」としてネットにアップされることは有り得ないことで。
そうした会社の、チェック担当者たちがあれをスルーしてしまった、ということが衝撃的でした。
そもそも「コロンブス」という人物からして、10年余り前からアメリカでは「侵略者」「簒奪者」としての側面に強く光が当たって…
その業績をポジティブには捉えられないということで、商業・広告の世界では触れることさえもなるべく避けられる傾向にありました。
まず「コロンブス」という曲名からして、コカ・コーラに関連した曲であれば、ちょっと警戒しなければいけないところだったのに…
(いくら米国のコカ・コーラ本社ではなく、日本の現地法人だにしても、です)
あんなMVまで世に出てしまうとは。
「坊や、いったい何を教わって来たの」
って感じ。
いかに大企業の社員たちが、文系のお勉強を、単に「いい会社に入るための道具」としてやってきただけで…
本当の内容など身についていないし、身につける必要性も感じていないかということです。
学問が、単に人間を社会階層などに振り分けるための、便宜上の道具でしかないのならば、くだらないからやめちまえ!
そんなことで成り立っている社会なんて、バカバカしいにもほどがある。もう解散解散!
と、私が言うまでもなく、もう既に崩壊し始めていますけれどね。
9割近い人が支持していない首相が、その座にのうのうと居座って、お仲間と閣議決定だけで国の重要な方向性を替えちゃうとか。
それを誰もどうしようもないとか。
それで「社会が崩壊過程にある」と思わない方がどうかしてませんかね。
もっとも、大統領になれそうな人が…
1.数秒前に目の前の相手と握手したことも忘れるほどで、かなりの程度の認知症であると疑われる人
2.犯罪で有罪評決を受けている+現大統領の名前を何度も言い間違えるぐらいの認知障害+反民主主義者
の二択でしかない。他の選択肢を見いだせないという国もまた、崩壊過程にあることは間違いないのですけれど。
縛られて寝台に寝かされている顔の目の前に、剣が紐で吊るされていて…
その紐をネズミがカリカリかじっている。そんな状況に生きているんですよね、私たち。
またしても話があさっての方に脱線してしまいました。すみません。
先ほどの『コロンブス』のMVに戻れば…
あれを見て強く感じたのは、著しい「クラブ活動感」でした。
アーティストにしても「軽音楽部」みたいなクラブ活動みを感じてしまったし…
MVスタッフや広告会社の担当者たちもまた「映像研究部」とか「広告研究会」みたいな部活や、大学のサークル活動…
そういうノリの延長で仕事をしている感じ。本物の「プロ」の感じがしない。
もしかすると、ネット時代というものが到来して以来…なのでしょうか。
なんだか「プロ」として公共の場に立って、世界を相手に仕事をしている自覚とか覚悟がないクリエイターが増えたような気もします。
あまりの軽さと気楽さ。「ノリ」だけで世の中を渡る感覚。こんなんでいい……わけないですよね。