毎日新聞 2014年12月19日 20時35分(最終更新 12月19日 23時10分)
エコキュートは、大気中の熱を集めてお湯を沸かす家庭用ヒートポンプ給湯機の愛称。電力各社と住宅関連メーカーが普及をはかっている。省エネ効果が高く、先月までの国内累積出荷台数は約450万台。機器は屋外に設置され、運転音は、湯を作り出すヒートポンプユニットの圧縮機や送風機から生じる。
安い深夜電力を活用し夜間に稼働しており、同庁には2009年9月から今年2月までに、運転音による不眠などの健康相談が112件あった。
今回、調査を申し立てたのは群馬県高崎市の50代夫婦。09年2月ごろから、自宅から約2メートル離れた隣家に設置された機器の運転が始まると、不眠や頭痛、めまいなどの症状を感じるようになった。
事故調は夫婦のほか、健康被害を訴えている類似の18件も調査。その結果、機器の設置と発症が同時期▽撤去や移設で症状が改善したケースがある−−などから、夫婦については低周波音を含む運転音と因果関係がある可能性が高いと判断し、他の18件も否定できないと結論づけた。
事故調は健康被害の防止のため、寝室のそばを避けるなど機器の適切な設置や、低周波音を減らす製品開発などを事業者に促すよう、経済産業省など関係機関に対応を求めた。経産省は「真摯(しんし)に対応する」としている。【江口一】
◇低周波音
人の耳には聞こえにくい周波数が1〜100ヘルツ程度の音で、エアコンの室外機、風力発電などの固定音源のほか、車のアイドリング音など移動音源も原因になる。波長が長いため、他の騒音に比べ住宅の塀や壁などで遮音しにくいとされる。健康に与える影響や健康被害が発生する条件などについて世界中で研究が進んでいるが、科学的に確定した結論は出ていない。被害の感じ方は個人差が大きく、また体調によっても異なるとされる。