あなたが、「お隣が設置したエコキュート、エネファーム等」の低周波音に苦しみ、低周波振動被害者となり、隣家に機器の移設、撤去を依頼しても聞き入られない様な場合、苦しみのあまり、××、とか、××、…、とかなどを考え、最終的に、法的に解決しようと裁判をするとなると、自分が弁護士でも無いと、弁護士に相談することになります。
ただ、その場合、低周波音問題はなかなかに面倒で「最寄りの弁護士」で良いと言うわけには行かないのが面倒です。その最大の理由は、低周波音問題は、離婚訴訟とか遺産相続のように頻繁にある様な事案では無いようで、前例が非常に少ないのが現状で、大抵の弁護士は、「低周波音と言うモノで何か健康被害が起こるらしい」くらいの普通の人並みの知識があるくらいで、あなたの「お話し」を聞くことにより、低周波音被害の実態を知るところから始まるのではなかろうか。
即ち、弁護士は相談と称して、自分の勉強の時間から弁護士費用を発生させてしてしまう感じだ。この問題は未だ、法的に明確に定まっておらず、「では、先生よろしくお願いします」と言う訳にはいかない。
では、どうするか、まずは、被害者自身が先頭に立って問題解決に当たり、弁護士先生の「先生」になるくらいの覚悟が必要なことだ。
と言うことを念頭に置いて、ひとまず、「低周波音被害 弁護士」で検索すると、現在のところ、上の方に出てくるのは、①「低周波音トラブルについて - むらかみ法律事務所」②「弁護士 井坂和広ブログ - 井坂法律事務所」のお二人でしょうか。
流石に、どちらもよく勉強してみえる。と言うことは、同時に低周波音問題は、そうそうは簡単に解決出来ないことを良くご存じのはずだ。そして、まずは、当然のことながら、低周波音問題においては、汐見先生が、測定器を携え、奥様と、時には田中さんを同行し、日本全国の被害者の現場を測定に回られたように、今も、低周波音被害の証明にはまずは被害現場での「測定」が必須となる。
しかし、測定にはそれなりの時間と人間、機器使用料などとそれなりの経費がかかる。しかも現場状況は必ずしも一定で無く、”加害者”が待ってましたとばかり、”騒音”を発してくれるわけでは無い。従って、一発勝負で決められるわけでは無く、複数回の測定が必要になるかも知れない。
そして、測定の結果は、規制値?、基準値?、参照値?、感覚閾値?、…、のどれにも引っかからない場合があるかも知れない。となると先生方もお手上げかもしれない。その場合は大枚を叩いた測量代はパーになる訳だ。
更に面倒なのは、その測定の方法に関して、今ではそれなりのマニュアルが示されているが、そもそも測定結果の報告書の内容が初めて見る人に“親切”に出来ている訳ではない。書式に関し必ずしも統一的な形式が無いのか、因みに、私の手元にある被害者の方々の「報告書」は昔のモノなのだからか、測定業者が違うためか、測定技術のレベルや内容は同じかも知れないが、とにかく書式がまちまちで、具体的に比較対照するのがなかなかに面倒になっている。
従って、わざとかと思うくらい非常に読み辛い。こうした文書を最終的に“文系の裁判官”に時間をかけて理解して頂くのは容易ではなかろう。もちろん弁護士にとっても。
そのためもあろうか、上記のどちらの法律事務所もまずは弁護士自身が解りやすくするためもあろうか、測定に当たる業者を指定or推奨している様である。当然と言えば当然かもしれない。弁護士とて本来の仕事は、法廷へ提出する書面を少しでも裁判官が理解できるように整え、こちらの言い分を通し、相手の言い分を破ることであろう。それにはまずは弁護士自身がその内容を充分に理解することだ。そもそも普通の司法関係者のほとんどは根っからの文系人で、余程の趣味人か、理系流れの弁護士でも無い限り、原告であるあなたより低周波音問題の現実の何たるかを知って居るとは思えない。
そうした人たちに低周波振動被害者は、低周波音被害の解決を委ねなければならないのだ。
さて、お二人のサイトの低周波音問題関係をツラツラと眺めていて、①では測定の厳密さが何故必要かなど、解決への手順が解る。そして、②のサイトだが、ハッタと気付かされた事がある。そもそもこの記事を書こうと思ったのが、この「それ」である。が、②井坂氏の文は私個人的にはかなり読みにくい。これが“弁護士風“文章かと思い直し、読み見直すと、そこには書かれているのは、私自身が、『「よくわかる低周波音」2019年版で、エコキュート・エネファームは?』”で、「よくわかる低周波音」の新旧の上面ばかり気にして、結局、違いが解らず環境省に電話した折りに、「環境省の大気担当に4月からなった新人君がおっしゃった、『今回の主眼は補足的に出した付録の「省エネ型温水器等から発生する騒音について」であり、その内容は最新です』との言葉を、私はサラリと聞き飛ばした事柄なのだ。
実は、これは”エネファームの健康被害否定せず、消費者事故調 ”等に対する環境省のお答えと言うことだった訳だけではなかった様で、それを弁護士的に読み込んだのが、井坂氏だった。
井坂氏のブログの一部を引用すると、
(「省エネ型温水器等から発生する騒音について」の)『旧版は「参照値」とし,新版は「感覚閾値」としています。このように同じ規制対象について二つの基準値が法令等で定められた場合,例えば,公害等について国の法令が定めた基準値よりも厳しい基準値をその地方に即して条例で定める場合があり,それを「上乗せ条例」と呼びますが,厳しい基準値が有効に適用されます。要するに,ある規制目的を同じくする問題について数値がことなる2種類の基準が規定された場合は,厳しい方が適用されることになります。
この考え方に立てば,当然,新たに発表された厳しい基準が適用されるのは当然です。この考え方は,新ガイドブックに内包された二つの基準値についても当てはまり,当然,新しく発表された厳しい基準値が優先されます。
『令和2年版ガイドブック(手引書)』は,「エネファーム・エコキュート運転音(低周波音)を原因とする苦情については,『感覚閾値』を指標として判断するという新たな指針を打ち出した」と読むことができるのです。
井坂氏のブログの要点は、(あくまで私なりに解釈させて頂くと)”①聞こえない音で被害が無い、とすれば、②聞こえる音では被害がある(かもしれない)。即ち、③健康に問題をもたらす可能性がある(かもしれない)”と言うことと理解した。
環境省は、確かに「風力発電施設並びに近隣地域での騒音被害」に於いて、「聞こえない低周波音は、健康に影響しない」としています。それを逆手に取ったわけでしょうか。
井坂氏のブログには“参照値、感覚閾値の数値、そのグラフ”はない。で、私は、井坂氏の主張を具体的な数値とグラフで表してみたのですが、数値は「むらかみ氏」サイトから引用した。
「参照値」登場以来、赤線(参照値)以下の低周波音被害者は行政レベルでバッサリ切られてた。しかし、”新たな基準”では青線(感覚閾値)を越えていれば、低周波音に原因があるかも知れないとなったのだ。
低周波音被害者にチョイと”優しく”なったのかなと思いたいところだが、風車騒音被害において、環境省は『問題となるのは「可聴域音」であり、聞こえない音は問題無い』として、聞こえないことにしてしまった「低周波音、超低周波音」の苦情を切り捨てた訳で、一向に優しくなった訳ではない。
「風車騒音」と「省エネ型温水器等から発生する騒音」との間に『聞こえない音では被害は無い』と言う論理に“整合性”を持たせただけなのかも知れない。
で、ともあれ、私が預かっている低周波振動被害者の過去のデータを引きずり出して、当てはめて見ようかと思ったのだが、その時、いや、いや、待て。
そもそも「参照値」(赤線)が登場する前の低周波振動被害者の「切り捨て」は感覚閾値(青線)で行われていたのではなかったか?! そう、そうでした。とすれば、あの当時救われなかった低周波振動被害者は今回も救われない事になる。
あの当時(2004年までに)汐見文隆先生は「環境省「手引書」の迷妄」としていたくお怒りでした。
でも、「参照値」登場により救われなかった人たちは救われる”かも”知れません。そうした人たちで、今も執念があるならば、今一度、行政に「基準値が変わった」と言って、ギャーギャー騒いで測定させてみてください。行政に測定させることから低周波振動被害者の第一歩が始まります。行政の測定は無料です。
弁護士に頼んで測定して貰う前に。
本当の低周波振動被害は「聞こえる。聞こえない」でギャーギャー喚いているのではありません。聞こえなくても、「感じてしまう」ような『音』なのです。これを「あなたの気のせい」、ある意味「内因性」と言って”専門家=行政=司法”は跳ねるのですがその、少なくともその「内因」を生じさせたのは、設置された機器が発する“聞こえないはずの低周波音”による「外因」なのです。
『被害は無い』とされる「聞こえない音である感覚閾値以下の低周波音・超低周波音」の現実の苦しみの中に生きる被害者は依然救われません。何らの科学的エビデンスを示すことなく、バッサ切り捨てられた風車騒音被害への”弁明”は示されていません。
そして、現在も、①相手の機器を移動させるか、②あなたがその場を立ち去るしか依然方法は無いのかも知れません。
環境省 平成 24 年度 風力発電施設の騒音・低周波音に関する検討調査業務報告書
①低周波音の「一般的な風車騒音では可聴性に対する低周波数成分の寄与は小さいこと、
②風車騒音では振幅変調音がアノイアンスを高めていること、
③風車騒音の評価量としては、一般環境騒音の評価として、一般的に用いられているA特性音圧レベル(騒音レベル)が適用できること、
これまでに発表されている関連学術論文等を収集し評価した結果、風車騒音と健康影響との因果関係を示す科学的根拠はなかった。
風力発電施設を設置する場合に適当と考える騒音・低周波音の目標値について、A特性音圧レベルで35dBを提案
「参照値」危うし??? 低レベルの低周波音