携帯基地局電磁波:操業差し止め訴訟 控訴審 原告、「ノセボ効果」焦点に KDDI側「電磁波と症状根拠ない」 /宮崎
毎日新聞 2013年03月14日 地方版
延岡市大貫町の住民30人が携帯電話基地局の稼働差し止めを求めた訴訟の控訴審が13日、福岡高裁宮崎支部で始まった。原告団長の岡田澄太(すみお)さん(64)は法廷で、今も続く健康被害の苦しみを改めて訴えた。原告弁護団長の徳田靖之弁護士は閉廷後の記者会見で、1審が電磁波と健康被害の因果関係を否定する論拠として挙げた、不安感から体調が悪化する「ノセボ効果」の是非(ぜひ)に焦点をあて、闘っていく方針を示した。【百武信幸】
裁判には原告の住民11人と、27人の弁護団のうち6人が訪れ、法廷で原告側の3人が意見陳述した。
岡田さんは「私たちは電磁波という見えないムチに日夜たたかれ続け、6年になる。もう限界です。なぜこんな苦しみを受けなければいけないのか」と訴えた。日弁連が昨年9月に出した「電磁波問題に関する意見書」をまとめた高峰真弁護士は「国の(電磁波の安全性)基準は、熱効果のみを考慮したあまりにも緩やかな基準。世界の研究や調査は、基地局からの電磁波による健康被害を認める方向で進んでおり、これを総合的な一つの流れととらえてほしい」と求めた。また、電磁波強度を比較するため、住民側がKDDI側に他地域のデータを開示するよう要望した。
閉廷後、徳田弁護士は「控訴審でも因果関係が争点になるとみている。症状をノセボ効果で説明できるかを最大の焦点にしたい」と話した。次回期日は5月24日。ノセボ効果では説明できない症状を、住民十数人の証言によって証明していくという。
一方、KDDI側の弁護士は意見陳述せず、提出した答弁書の中で「電磁波と住民が訴える症状との因果関係に根拠がないことは1審判決が示すとおり。控訴は速やかに棄却されるべき」と主張した。