農林水産省は24日、奥原正明事務次官(62)が退任し、後任に末松広行・経済産業省産業技術環境局長(59)を充てる人事を発表した。27日付。末松氏は農水省からの人事交流で2016年6月から経産省に移り、技術開発政策などを担当してきた。農水省は林野庁や水産庁の長官から次官に昇格する例が多く、今回は経産省から復帰していきなり次官に就く異例の人事となった。
安倍政権は成長戦略の柱の一つに「攻めの農林水産業」を掲げる。2年間次官を務めた奥原氏はそのけん引役として、農協改革などを進めてきた。
奥原氏は経営局長時代に農業改革路線で手腕を発揮。官邸からその実績を買われて、16年に事務次官に抜てきされた。次官就任後は、非効率と指摘されていた農業の資材や流通などの業界を再編し、農家の生産性を高める「農業競争力強化プログラム」の策定▽手入れの行き届かない森林の担い手を集約する森林管理制度の創設▽漁業権の優先順位を廃止する水産改革--などを相次いで打ち出してきた。
ただ、急進的な改革にはJAグループから強い反発があったほか、いずれの施策も成果を上げられるかは、農林水産業者をどこまで巻き込めるかにかかっている。斎藤健農相は記者会見で「人心一新でさらに改革を進めたい」と期待を示したが、次官に就く末松氏には改革の成果に道筋を付けることが大きな課題となりそうだ。【加藤明子】
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