『パパ、だ~いスキ』と言われたパパの映画日記

こどもが二人とも小学生になったけど、「パパだ~いスキ!」と言われてる間は、タイトルを変えませんが。

『おとうと』 寅さんの皮を被ったハナ肇!

2010年02月12日 | 映画
香川照之が鶴瓶の演技を大絶賛してたそうや。
「(「ディアドクター」の撮影時)自分ら俳優が役作りのためにピリピリしている中、鶴瓶はロケ見学に来たおばちゃんらにサインしたり、世間話したりで「ハイ、本番!」。で、あの演技するんだもん。うらやましいよな~。」
ラジオで聞いた話なんで、うろ覚えやけどこんな感じ(正確には「キネ旬」の香川照之コラム“日本魅録”参照)。
で、この話を聞いた時に思い出したのが、名優緒形拳が語った「演じることは演じないことに通じていく」という境地。
鶴瓶は、いつも通り自然体、無意識でそういう域に達してるんやろな~。
その天才鶴瓶が、今回はデ・ニーロアプローチまでやってのけたそうな。
最強やん!
役柄は、「母べえ」からインスピレーションを得た寅さん風な役。
鉄板やん!

さて、映画の方は夢のシーンじゃないけど、山田洋次節全開で、ええ感じに始まった。
くるま屋(寅屋)じゃなく高野薬局で、ひとしきり世間話。
娘役:蒼井優の“てへっ!”ってベロだしも洋次演出なら許せちゃう!
結婚前夜最後の一家団欒も洋次流クライマックスがこんな早くに出てきていいのって感じ。
こんなに場が暖まった上で、寅さん風の鶴瓶が、出てきたら、どないなるやろと期待しまくりで、いよいよ登場!
あれ!?なんかちゃう。
この人、ほんまに来てほしくない迷惑な人設定やん。
この後、最後まで鶴瓶にあまり感情移入できずじまい。
どっちか言うと、蒼井優の恋の行方の方に興味がいったわ。
鶴瓶は、ここも寅さん風の「恋の指南」とか「愛のキューピット」的役割はなし。
どうも勝手にこの映画の鶴瓶を寅さんとシンクロさせようとしすぎました。
でも、しゃあないよね。
結婚式んとことか、店の前行ったり来たりとか、蛾次郎とか、ラスト団子屋バイトくんなど、「寅さん」を彷彿させるイメージや、設定、キャストが散りばめてあるんやもん。
鶴瓶は、寅さんと言うより、破壊的なハナ肇やったということに見終わってこうして書くまで気づかなんだ。
もう一度見直すと違った面が見えてくるかもしれんね~。
まぁ、見直しても吉永小百合の大根ぶりは気になるやろね。
それに比べて、加藤治子!
NHK朝ドラ「君の名は」を彷彿させる姑役やが、最後はええとこもらいましたな!
あとセレブ旦那のせこさを表わす歯の治療費エピソードは、マジすぎて笑えなかった。
低所得者としては、旦那の見解に一票やからな。
最後に、お好み焼きジャンボ総本店の大看板が目立っとたな。
東京にも進出しとったんやね~。
ここ、安くて美味いよ!

さあ、この後の山田洋次は、なにか?
吉永小百合三部作やったら、ヤやな~。
できれば鶴瓶三部作で。
でも「虹を掴む男」、「昭和初期シリーズ」みたいに二部作で終わるかもね。


★★★