雨水の夜美

２月１９日、金曜日。
午後２３時００分。
星空。


星空ではあるけど
月は輝いているけど
全体的にボンヤリとした星空というか
いつもより星が少ないように見えるから
曇り気味な星空なのだろうな。


ぼんやりとはいっても
月は淡くやわらかく輝いていて、
澄んで冴えた月は綺麗だけれど
こんな淡くやわらかな月というのもまた、綺麗です。


月の周りには
ものすごく大きな輪が
やっぱり、月と同じくぼんやりとして淡くやわらかな輪が
月を称えるように囲んでいて


窓から見上げるだけだと
庇があって
月を囲んでいる大きな輪が見えなかったので
ベランダへ出てこっそり見上げてみたら
ものすごく大きな輪を見られて、ワクワクしました。


すっごく大きな輪ですね。
何ｋｍあるのだろうね？
東京ドームいくつ分なのだろうね？
東京からどこまで行けてしまう距離なのだろうな？



“雪月花”
頭にふっと浮かびました。
美しいものの例えだったかな？
…と、うろ覚えだったので、このガラ携の辞書で簡単にだけど調べたら
“日本の代表的な自然美”
だって。


そういえば今日は確か
“雨水”
でしたね、カレンダーに書いてありました。(新聞にも)


雨水とは、
“立春をすぎて雪が雨に変わり、草木が芽吹く頃”
なのだって。


僕が住む地方は雪が降らないから
１２月も、１月も、２月も、ずっと雨なので
あまりピンと来ない雨水ではあるけれど
春がまた少し近付いたようでホッとします。


この町に雪はないけれど
月と花はあります。
でも、日本のどこかには
雪が降っていて、月が輝いていて、花が咲いている
そんな町があるのでしょうね？
美が揃っている夜があるのでしょう。



親戚の家に行った時
八重の椿が一輪、咲いていて
とても綺麗で感動して観たのだけど


見覚えがあるような
前にも会ったことがあるような気がするなぁと思っていたら
我が家にいた椿を何年か前、親戚に譲ったという椿でした。


何年か前に
親戚に我が家のモサモサの庭を剪定したり
整備して貰ったことがあったのです。
その時に、母があげたそうです。


何年か前もモサモサの庭で
同じように感動した記憶が蘇りました。
相変わらず、寒い中、綺麗に咲く
八重の椿でした。
久しぶりに観られて、改めて感動でした。



山茶花、椿、桔梗、桜、牡丹、百合
昔から日本にある花というのか
原産は他国かもしれないけど
和風な雰囲気がする花は、色気？がありますね。
そんなことないですかね？


今夜は、月と花と
淡くやわらかく輝いて
咲いているのかな。
あたたかな輪と一瞬に
美を詠いながら。


日付変更線が近付いてきました。
お休みなさい。







*

薬指の視線

傷が完璧にくっつくのも
あと少しだろう

たった一本の薬指でさえも
使えなかったら
どんなに不便な日常となるかを
知った

当たり前に気付いてないことが
きっと、沢山ある

当たり前に送ることが出来る日常
当たり前に目の前にある物、人、出来事
当たり前という言葉の重量

僕にとっては
人並みは、贅沢なことであり
ありがたいこと
幸せなこと

指一本でさえ
奇跡なんて言うのは
大袈裟かもしれないけど

案外、真実なのだと
知った
薬指の痛みから見た景色







*