『リサ…』
確かに 大谷はそう呼んでくれた。
小泉でもなく でか女でもなく…
『リサ』って呼んでくれた。
これってめっさイリュージョンやねん。
セロもマリックもプリンセステンコーも真っ青な進歩。
あたしはめっさうれしかった。
名まえ呼ばれたそれだけやのに距離とか縮まった気がした
だから次の日からも そう呼んでくれるって思っとったのに…
・・・
『小泉 おまえ何ぼーっとしとんねん。』
『…してへんわ。考え事。』
『あんまし考えすぎると脳みそとけんぞ。』
『なっ…』
あかん。
ちっとも変わらんしラブとかそんなんないやんかぁ…。
『ゆーかりんっ『なぁにぃ てっちゅわんっ』』
隣りのカップルの痛さも今はなんかうらやましい。
こんな風に呼び合え…
『あっちゅわんっ『なんやねん リサりん』って…
あ゛ーなしなし今のんなしやっ!
うらやましいけど絶対にありえへんやん。
けど…
『大谷』
『小泉』のままより 特別な名まえで呼びあえたら…。
『…小泉…小泉どうしてん?』
『ふぇっ?』
大谷に肩揺さぶられて はっと気が付く。
『また学校でなんかあったんか?』
『えっ いや…ちゃ『なんかあるんならオレにゆえっ』』
『な…ないよ。』
『そっか?』
『うん』
『そりゃよかった』
真剣な顔しとる大谷見てたら…
今の悩みが ちっぽけな気がしてきた。
end