『どっこいしょっと…』
今日も撮影がおして遅くなってしもた。
本来なら 撮影の最後まで付き合う必要はないんやけど…
2月のメインイベント バレンタインのおかげで
みんながとにかく忙しい。
こんな忙しい時は大谷の声が聞きたい。
そう思いながら 携帯を手にアドレス帳を開く
<大谷 敦士>
この間逢ったのは たしか先々週やったっけ?
声聞いたのは先週?
メールは?
この季節学校の先生も忙しいんは知ってる
けど…
『はぁぁ…あかん大谷がたりひん(泣)』
大きなため息をついてから意を決して電話しよう
としたその時
?マジ はんぱない電話だぜ
海坊主の呼び出し音とともに画面が明るくなる
そして着信・大谷 敦
『うえっ…おっ…わぁーーーーーー!』
あたしの手から携帯が滑り落ちた。
慌てて拾い上げると 受話口から声が聴こえてきた。
『…し もし リサ?』
『おっ大谷っ ごめん携帯落下させてもてん。』
『どんくさっ(笑)『ど…んくさって何よ 人がせっかく』』
せっかくなんなん?って笑う声が嬉しくて
あたしの心臓はきゅんっと音を立てる。
『で 大谷 何の用なん?』
『あ゛ー特に用はないねんけど…』
『…ふーん。ないねんや』
あたしってほんまに可愛くないと思う。
大谷からの電話嬉しいのに…
『だから…』
『だから なんなん?』
すぅーっと息を吸う音が聞こえたかと思うと
『リサの声が聞きたかっただけで…』
『えっ?』
『わるいか?』
『わるないっ あたしもおもてた。』
『へ?』
『大谷の声。聞きたいって…だから急に電話あって…嬉しかった』
end