存在価値⑪

ところで

岡村先生が電話した相手同居人というのは
実家のおかんではなく彼女である小泉リサであった。

そのリサが会場に着いたのは電話から３０分後
先輩の車で急いでやってきたらしい

『すみません。岡村先生っていらっしゃいますか?』
『岡村ーかわいこちゃんがよんどんでー』

酔っぱらいおじさんの陰からにょきっと手が伸びて
リサを手招きする。

『はーいここにいますっ。』

リサは手の方向へと急いで向かった。

『あなたが大谷先生の同居人のリサさん?』
『はいっ。(同居人って…)』

奥の座敷に休ませているから連れて帰ってくれと岡村先生に言われ
リサはお辞儀をして足早にその部屋に向かった。

『大谷　迎えにきたで…』

勢いよくふすまを開けて見えた景色は…

綺麗な女の人に膝まくら＋キス?されている彼氏大谷。

『わっ　す…すみませんっ』
『あら…まずいところみられちゃったわね』

『…あの　あたし大谷を迎えに…』

『あーぁ　あなたが元カノのリサさん?』
『元カノって』

『やだっ　敦士先生ってまだ言ってなかったのかしら…
　　ごめんなさい。お迎えに来てくれたのよね』

松田先生はリサにそう言い切って
大谷を膝から下した。

『本当に大谷はあたしを元カノって…』

『だってリサさんって所帯じみてきて魅力がないって』

『そんな事…大谷が』

『私からはこれ以上言えないわ。あとは家に帰って２人で話して』

『…』
『ねっ♪』

リサは　そこからどうやって部屋まで帰ったのか覚えていなかった