Der König Hat Eselsohren

11日目その5(Burgrock2008)

全部片付けて、楽屋に戻る。
しばらくすると、窓に近いパーティションの向こうで、Floが何かしている。
「何してるの?」
「このアルバムにサインするんだよ」
見ると、毎年ごとにページが作られていて、そこに出演者がサインをしている。
Floがパラパラとめくっていき、MIAかぁ、などと言っている。
昨年のメインはMIAだったらしい。
今年のページにSportfreundeの最近の宣伝用の写真が貼られているけれど、まだFloのサインと落書きしかない。
「俺たち、2000年にもここでやってるんだよ」
と2000年のページを探す。

2000年のページに貼られている、当時の宣伝用写真は、ネットで見たことがあるけれど、さすがに8年前だけあって3人とも物凄く若いし、Peterなんてめちゃくちゃ可愛い。
今だって、というか、昨年初めて、もう30代だと知ってびっくりしたくらい、若く見えるけれど、それの8年前だからなぁ。

Floが8年前の自分を指さして言う。
「そして、このときはまだ髪があった」
「でも、今、凄くカッコイイよ」
「ありがとう!」
そして、2000年の写真の横に、この頃は若かったな~、みたいなことを書き込んだ。

…気にしてたんだな(笑)
確かに、これよりもさらに前、まだインディーズで、ベースも別の人だった最初期の写真を見たときには、「この美少年は誰?!」と思った…f(^ー^;

しばらくして、Marcに言われて、Rüdeがアルバムにサインし始めた。
そのまま隣に座って、質問攻めに合う。
きょうだいはいる?とか、日本ではサッカーは人気あるの?他に人気のスポーツは?といったところから始まって、果ては日中問題まで(笑)

仕事の話になって、もう何年くらい今の仕事してるのと訊かれたので、最初、2000年に講師になって、2005年に昇格したから、かれこれ8年というと、結構長いねと笑う。
「仕事は好き?」
「や、ホントは研究はあまり好きじゃないんだ。講義も、好きと言うより、研究よりはマシ、って感じで。でも、他に出来ることもないし、大学教員から他の仕事に転職するって、ちょっとね」
彼らみたいに、本当に好きなことを仕事に出来ると羨ましい。
「それに日本にいると窮屈で」
「そうなの?」
「いつも周りと同じようにしなくちゃいけないから。それも、そういう空気で、そうさせられて」
これが上手く伝わったかどうかはわからない。
一生懸命説明しようとしたけれど、ドイツもそんなに良い訳じゃないというようなことを彼も言っているらしい。

「でも、俺らはほら、こうしてずっと待ってばかりだろ。退屈だよ」
確かに、今日の進行表では、Sportfreundeのサウンドチェックは11時~12時になっていた。
それから夜の10時半まで待っているわけだし、逆に、朝は朝でかなり早くここに到着しているはずだ。
特に今日はメインだから、昨日に比べたら、会場の方に自由に出るわけにもいかないかも知れない。
だからこそ、今日はみんな、城の裏側の方に行ってたのだろう。
そうそう良いことばかりでもないらしい。
「それに、音楽だけで稼いで、金持ちになれるようなバンドは10くらいしかないよ」
「10?」
あまり詳しく聞きようがないけれど、彼らは結構微妙なところなのかも知れない。

でも、こんな、まさに顔つき合わせる状態で誰かと話をするなんて、今までどれくらいあったかな?
何しろホントに、2~30センチも離れていないのだf(^ー^;
それでおそらくは1時間くらい、2人で話していた。
あいにく、私のドイツ語力があまりにも足りないので、時間の割に内容が少ないかも知れないが。

そういえば、どういう話の流れだったか忘れたけれど、こんなことも言った。
「私と知り合ったことで、『日本人女性って変』って思うんじゃない?」
「いや、そんなことはないよ。もっとも、俺達と一緒にバスには乗るけどね(笑)」

なぜか日中関係の話になって、福岡は東京よりも上海の方が近いんだよ、という話をすると、
「Google mapで見ながら話そうよ!」
ところがあいにく、RüdeのPCは電池が切れかかり、FloのPCもここではGoogle mapを見るのはちょっと難しいらしい。
う~ん、地図を見ながらだったら、結構色んなことを説明しやすかったんだけどなぁ。

気がつくと、もう9時近くになり、外が暗くなり始めている。
パーティションの隣を使っていたバンドが既にいなくなっていたので、そっちを使って練習が始まった。
それも、今日セットリストに加わった、"Heimatlied"(笑)
本番と違って、練習の時はアコギなので、今日は何と、本番とは別にアコースティック・バージョンも聴けることになってしまった。
ただでさえ好きな曲、しかも昨年の夏、ドイツからの帰りの飛行機の中で、ライブ盤でこの曲を聴いて、絶対に何が何でもライブに行かなきゃ!と思ったほどの曲なのに、今日はなんと贅沢な。



Nikoが今日ステージに用意しておく飲み物を訊きに来て、Rüdeがビールがいいと言っている。
日本だったら、まず水だよな~f(^ー^;
もちろん、水もあるんだけど、楽屋にこれだけ色々な飲み物があって、始まるまでにすでにかなり飲んでるし(笑)

さらに、ライブが始まるまで、もうあまり時間がないというのに、今度はワインの栓を開けている。
もうさんざん使ってしまって、ワイングラスがないので、ロングドリンク用のコップにかなりたっぷり注いで渡してくれる…f(^ー^;
ある意味、午後中ずっと飲み続けているに等しいので、そろそろ限界じゃないか?と思わなくもないけれど、結局飲み干した。
われながら、よく飲むよね…。


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