1001タイ映画、千夜一画 

タイ映画またはショートフィルム他で心の琴線に触れたアーカイブ。

DUK.DUM.DUI 恐怖の国

2006-02-05 16:50:21 | タイ映画
私の年代ではドタバタというと敬愛する筒井康隆の作品を連想するが、この映画はかなりあの懐かしい時代の意味のないドタバタをホラーというオブラートで包み、しかもアフリカというブラックジョークでタイよりも低位とされる第三世界を巻き込んだどうしようもない代物。この作品の背景に見え隠れするのはやはりブードゥ教なのか、それともタイでの「ブッシュマン」のヒットの柳の木の下の鰌を狙ったものなのか、制作会社に聞いてみないとよく理解できない。
主演と監督のThep Phongarmはタイ映画界の重鎮でコメディを中心になんでもこなす個性派俳優として知られている。タイでのスキンヘッド賞賛と流布の貢献はネーション紙の名物編集長と並んで高いのだが、映画監督としてクレジットしているのでどうなのだろう。制作会社としては配役と脚本が決まれば損益分岐点はお得意のエクセルで計算ができるのだろうが、どうもこれは実験というか普通は企画の段階で社内にとどめなければいけない作業を試験的に作品に負昇華してしまったということだろう。SFXや映像力が脚本や俳優をはるかに凌駕している現実を直視することなくただの場末のお笑い演芸場のノリを超えないパフォーマンスを信条とする資本家側に少しでも対抗しうよと、あのサボテン道路や水道管のある砂漠という驚くべき現代アートの新潮流を感じさせるスタッフ達の想像力に喝采する。ドバイへの英語標識が突然としてタイ語になり、プラドゥーナム付近にいるあやしげなアフリカ系人民をたくみに映画に誘い出し、まったくどこで撮影したのか、意図は何かなど「不条理」という前世紀的な言葉が生きている世界を目の当たりにする現実は「ホテル・ウガンダ」とは違った意味での恐怖感と虚脱感が漂う。そういう意味でタイは筒井氏の「アフリカの爆弾」の映画化にはうってつけの制作環境なのだ。
Year:
2003
Genre:
Fantasy/Horror /Comedy
Format:
DVD
Running Time:
1H44

Distributor:
Premium Digital

Date reviewed:
04/10/2004
Producer:
Director:
Thep Phongarm
Cast: Thep Phongarm, Den Dokpradoo, Khaosai Galaxy, Samart PayukAroon

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