初釜は、お茶のお稽古の始まりであって、かつ、例年、着物の着始めでもある。
しかし、ここしばらく初釜参加にはトラブルがつきものだった。
3年前は義父の逝去により急きょ欠席、
2年前は私の段取りの悪さで、温泉旅行先から初釜当日の朝、トンボ返り。
昨年、ひさしぶりに落ち着いて参加でき、やれやれ初釜トラブルからやっと脱せたと思いきや、
今年は前の週にひいた風邪が思いのほか長引き、初釜前日まで熱が引かない状態。
実は今年の初釜は、重大なミッションを帯びていた。
今の教室では、初釜の日、茶懐石のフルコースを先生が作られ、生徒はそれをいただく形式をとっている。
その茶懐石のいただき方を、私が正客として参加の皆さんにお伝えしなくてはならなかったのである。
私だって茶懐石のフルコースは、引っ越しで今の教室に昨年うつって初めて経験したこと。
人様にお伝えするなんてとてもとても…と思ったのだが、他の生徒さんよりは茶道のキャリアは長い。
歳だって食っている。
先生が水屋でお忙しくされている以上、私がするしかないのはよくわかった。
というわけで、茶懐石ご指南という重大ミッションがあるにもかかわらず、参加できないかもしれない危機に陥っていたのである。
(インフルエンザ検査は陰性)
いざとなったら近くの医院で解熱の注射でも打ってもらって参加するしかない…と心を決め、
「参加しないほうがよいんではないのか?」と反対する夫を相手に、
「先生、投げられるのは僕しかいないんです。お願いです、注射してください」
と小芝居をふっかけたところ、
「君の投手生命がこれで終わってもいいのかね?」と答えてくれた。
さすが、わが夫。ノリがいい。
その思いが通じたのか、朝になって熱は下がってくれた。
すばらしい!神様、ありがとうございます!!
病み上がりの体にムチ打ち、着物に着替える。
ずっと寝込んでいたものだから、長じゅばんに半衿もつけていない始末。
ましてやコーディネートもノーアイデア。
長じゅばんはファスナーの着脱式半衿のついた半襦袢でごまかし、着物は無難な無地場の多い洗える小紋にした。
帯だけはせめてもと、花菱柄の袋帯を締めたところで、息が上がってしまった…。
這う這うの体で会場である先生のご自宅にたどりつき、何とかミッションコンプリート。
マニュアルを見ながらの懐石ガイドではあったが、なんとか無事に役目を果たすことができた。
何より、喉が痛くてまともな食事を1週間近く食べられなかった私。
先生お手製の茶懐石の滋味がしみじみと染み渡る思いがしたのだった。
■今年の初釜茶懐石メニューメモ
(0)(寄付)葛湯
(1)飯、汁=生麩入り白味噌汁、向付=自家製刺身こんにゃく
(2)酒=八海山
(3)煮物=白味噌仕立て雑煮(自家製餅)
(4)焼物=鰤照り焼き、お手製伊達巻
(5)預け鉢=紅白なます
(6)吸い物=松の実の吸い物
(7)八寸=ごまめ、花豆の煮もの
(8)湯ノ子、香の物三種
(9)お菓子=梅の香(飯田橋萬年堂)
ばたばたではあったが、今年も無事にあけたことを社中の皆さんとお祝いできてよかった。
ま、その夜はまた熱がでてしまったんだが…これはおそらく知恵熱でしょう。
しかし、ここしばらく初釜参加にはトラブルがつきものだった。
3年前は義父の逝去により急きょ欠席、
2年前は私の段取りの悪さで、温泉旅行先から初釜当日の朝、トンボ返り。
昨年、ひさしぶりに落ち着いて参加でき、やれやれ初釜トラブルからやっと脱せたと思いきや、
今年は前の週にひいた風邪が思いのほか長引き、初釜前日まで熱が引かない状態。
実は今年の初釜は、重大なミッションを帯びていた。
今の教室では、初釜の日、茶懐石のフルコースを先生が作られ、生徒はそれをいただく形式をとっている。
その茶懐石のいただき方を、私が正客として参加の皆さんにお伝えしなくてはならなかったのである。
私だって茶懐石のフルコースは、引っ越しで今の教室に昨年うつって初めて経験したこと。
人様にお伝えするなんてとてもとても…と思ったのだが、他の生徒さんよりは茶道のキャリアは長い。
歳だって食っている。
先生が水屋でお忙しくされている以上、私がするしかないのはよくわかった。
というわけで、茶懐石ご指南という重大ミッションがあるにもかかわらず、参加できないかもしれない危機に陥っていたのである。
(インフルエンザ検査は陰性)
いざとなったら近くの医院で解熱の注射でも打ってもらって参加するしかない…と心を決め、
「参加しないほうがよいんではないのか?」と反対する夫を相手に、
「先生、投げられるのは僕しかいないんです。お願いです、注射してください」
と小芝居をふっかけたところ、
「君の投手生命がこれで終わってもいいのかね?」と答えてくれた。
さすが、わが夫。ノリがいい。
その思いが通じたのか、朝になって熱は下がってくれた。
すばらしい!神様、ありがとうございます!!
病み上がりの体にムチ打ち、着物に着替える。
ずっと寝込んでいたものだから、長じゅばんに半衿もつけていない始末。
ましてやコーディネートもノーアイデア。
長じゅばんはファスナーの着脱式半衿のついた半襦袢でごまかし、着物は無難な無地場の多い洗える小紋にした。
帯だけはせめてもと、花菱柄の袋帯を締めたところで、息が上がってしまった…。
這う這うの体で会場である先生のご自宅にたどりつき、何とかミッションコンプリート。
マニュアルを見ながらの懐石ガイドではあったが、なんとか無事に役目を果たすことができた。
何より、喉が痛くてまともな食事を1週間近く食べられなかった私。
先生お手製の茶懐石の滋味がしみじみと染み渡る思いがしたのだった。
■今年の初釜茶懐石メニューメモ
(0)(寄付)葛湯
(1)飯、汁=生麩入り白味噌汁、向付=自家製刺身こんにゃく
(2)酒=八海山
(3)煮物=白味噌仕立て雑煮(自家製餅)
(4)焼物=鰤照り焼き、お手製伊達巻
(5)預け鉢=紅白なます
(6)吸い物=松の実の吸い物
(7)八寸=ごまめ、花豆の煮もの
(8)湯ノ子、香の物三種
(9)お菓子=梅の香(飯田橋萬年堂)
ばたばたではあったが、今年も無事にあけたことを社中の皆さんとお祝いできてよかった。
ま、その夜はまた熱がでてしまったんだが…これはおそらく知恵熱でしょう。