海外ドラマを観るようになってから、和物ドラマから何年も離れていた。
これは、吸い込まれるように観た。
夫も子どももありながら年下の男にのめりこんで家庭を捨てる。が、その男は受け入れなかった。
自立するかたわら、小説家になりたくて丹羽文雄の門下生になる。
そこで知り合った妻子ある作家との遭遇。
家族の家と主人公の家をきっちり往復する男。
8年もそんな生活を続けるうち、昔の年下の男が現れる。奇妙な四角関係に耐えられず、年上の作家との関係を断つ。
このあたりが『夏の終わり』に書かれているそうだ。昔、リアルタイムで読んだが、私小説が苦手、おまけに若く未熟だった私は、少しもわからなかった。
宮沢りえは美しいうえに、上手い人で見応えがあった。
若い男役の勘太郎(現勘三郎?)が絶品で、胸を打つ演技だった。
作家役の阿部寛も好演はしていたが、ハンサム過ぎて損をしている。
もう少し渋い大人の雰囲気のある俳優が演じればいいのに。
監督だか演出家も配役を聞かされ唖然としたことだろう。
晴美さんのころは、そこそこ読んだが、寂聴さんになってからは、ほとんど読んでいない。出家したのにテレビに出たりすることに違和感があった。
「夏の終わり」のあと、年下の男と暮らすことになるが、別の女と結婚するにおよんで、主人公は狂乱する。
二度も自殺未遂をはかったうえでの出家であった。
年上の作家が言うように「生命力にあふれ過ぎ」て破綻しかねない自分を抑えるために出家を選んだのだと。やっと納得。
原作『場所』は読んでいないが、読みたくなった。
激しい恋をするにも素質というものがあると聞いたことがある。
旧蓬窓閑話より再掲、2012.11