蓬 窓 閑 話

「休みのない海」を改題。初心に帰れで、
10年ほど前、gooブログを始めたときのタイトル。
蓬屋をもじったもの。

女の一代記 瀬戸内寂聴

2021年02月07日 | ドラマ

  海外ドラマを観るようになってから、和物ドラマから何年も離れていた。
 これは、吸い込まれるように観た。
 
 夫も子どももありながら年下の男にのめりこんで家庭を捨てる。が、その男は受け入れなかった。
 自立するかたわら、小説家になりたくて丹羽文雄の門下生になる。
 そこで知り合った妻子ある作家との遭遇。
 家族の家と主人公の家をきっちり往復する男。
 
 8年もそんな生活を続けるうち、昔の年下の男が現れる。奇妙な四角関係に耐えられず、年上の作家との関係を断つ。
 このあたりが『夏の終わり』に書かれているそうだ。昔、リアルタイムで読んだが、私小説が苦手、おまけに若く未熟だった私は、少しもわからなかった。

 宮沢りえは美しいうえに、上手い人で見応えがあった。
 若い男役の勘太郎(現勘三郎?)が絶品で、胸を打つ演技だった。
 作家役の阿部寛も好演はしていたが、ハンサム過ぎて損をしている。
 もう少し渋い大人の雰囲気のある俳優が演じればいいのに。
 監督だか演出家も配役を聞かされ唖然としたことだろう。

 晴美さんのころは、そこそこ読んだが、寂聴さんになってからは、ほとんど読んでいない。出家したのにテレビに出たりすることに違和感があった。
 
 「夏の終わり」のあと、年下の男と暮らすことになるが、別の女と結婚するにおよんで、主人公は狂乱する。
 二度も自殺未遂をはかったうえでの出家であった。
 年上の作家が言うように「生命力にあふれ過ぎ」て破綻しかねない自分を抑えるために出家を選んだのだと。やっと納得。

 原作『場所』は読んでいないが、読みたくなった。
 激しい恋をするにも素質というものがあると聞いたことがある。

 

旧蓬窓閑話より再掲、2012.11

 



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