『風の影』上・下 カルロス・ルイ・サフォン(木村裕美訳)
ミステリーかと思ったが、壮大なラブ・ストーリーだった。
まず「風の影」という小説を書いた作家の恋、その本を「忘れられた本の墓場」で見つけた古本屋の息子の恋のふたつが織り合わされて、物語が進んでいく。
すばらしい文章と直喩・隠喩の上手さにもかかわらず、物語にのめりこめなかったのは、登場人物の多さと、脇役の脇役の人生までが延々と語られるせいだろう。
面白くなり始めると、別の話が入ってくるので前の話を忘れてしまう。
しかしそれを克服してこそ、この小説が理解されてくる。
もうひとつ読みにくかった点は、登場人物のキャラクターが濃いのである。主人公はほとんどナイーブなのだが、脇役のキャラも人生も、かなり強烈である。
以前読んだ『グノーシスの薔薇』ほどではないが、雰囲気がよく似ている。
現ヨーロッパ風の時代小説は、こうなのか。
ミステリーも、イギリスとアメリカでも雰囲気は違っていて、私はイギリス派である。英米のそれともまた違うのである。
名文はいっぱいあるが、たとえば、
──大雨は、日暮れを待たずに歯をむきだした。
──小説に逃げ場をもとめる者にとって、自分の愛したいと思っている人たちは、知らない人間の魂に住む影でしかないからだ。
──戦争は、忘れることをえさにして大きくなっていくのですよ。
──ベアは、本を読む行為がすこしずつ、だが確実に消滅しつつあるんじゃないかと言う。読書は個人的な儀式だ、鏡を見るのとおなじで、ぼくらが本のなかに見つけるのは、すでにぼくらの内部にあるものでしかない、本を読むとき、人は自己の精神と魂を全開にする、そんな読書という宝が、日に日に稀少になっているのではないかと。
他ブログの再掲。2013年03月17日
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面白い小説に出会うと
主人公に自分を照らし合わせますよね
私は恋愛小説が好きです。
これは、読みにくくて、
あまり恋を感じられませんでした。
こんにちは。
長いこと本を読んでいませんでした。
夏の終わりに、司馬遼太郎記念館に行きました。と言っても家から自転車で10分ほど。
すぐ刺激を受ける方で、城塞を買い、今読んでいます。上中下の三巻、分厚いです。まだ、中の半分。読み終わるのにどれだけかかることやら?!(笑)
これは、何年も前のもので、
そのころは、感想も書けましたが。
司馬遼太郎が好きな人は多いですね。
上中下3巻もあるのですか。
本が読めなくなるなんて
想像もしませんでした
読後感をこうして書けるのも素敵です
最近 根性無しで小説を読むことが殆ど無くなりました
好きなサスペンス 歴史ものなんかも気力が失せています(笑)
本が読めなくなることが入ってるとは、
ほんとに想像もしませんでした。
一日、一日をなんとか過ごすだけで。
のびたさんは、人を楽しくさせ、
歌を歌わせ、笑わせて、
人の役に立つことができるのですから、
ご立派なことだと思います。