インターホンに出たのは カイさんだった。
「オミくん、 麻里華ちゃんが来た 」
オミさんは慌てて電話を切ると、玄関で麻里華さんを迎えた。
「どうしたの? 麻里華ちゃん 、急に…」
オミさんの彼女だという麻里華さんは本当に綺麗な人だった。
長く美しい黒髪で…
涼やかな切れ長の目元 が少しカイさんに似ているような…
突撃の理由はわかるような気がするが、ヒステリック でもメンヘラでもない感じだ。
きちんとした彼女が当然のこととして、オミさんの浮気の噂を聞いて、確認しにきた、ということだ。
「オミさん、彼氏と一緒に暮らし始めたって本当!? 」
「ううん、俺、男の人とはそうならないよ。何でそんな話が…」
「フクちゃんの店で、隣りに座った女の子たちが話してた 」
「いや、新入社員は札幌から来たよ。この人 」
いきなり言われたが、俺はきちんと自己紹介した。
オミさんとそういう関係だと、間違っても思われないように。
華島さんと再会したい俺は、今、オミさんを破滅させるわけにはいかんのだ。
しかし、麻里華さんはよっぽど言いたいことがたまっていたのか、オミさんに向かって、
「でも、男の人のウワサが消えないんだもの! 華島さんとはどうなってるの? 」
華島さん…?
血の気がひいていくのがわかる。
俺は倒れそうになった。
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