やまがた好日抄ーⅡ

低く暮らし、高く想ふ! 
山形の魅力を、日々の関心事を、気ままに…。

50年前…

2022-01-12 | 文化的なもの
NHKで再放送されてゐる「新日本紀行」の4K版を録画してよく見てゐます。

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名曲探訪 ・「新日本紀行」 富田勲 / Isao Tomita

「新日本紀行」のテーマ曲。
山紫水明・日本の原風景を呼び覚ます懐かしい音楽。
Theme tune "Shin Nihon Kikou"...

youtube#video

 


冒頭、富田勲作曲の屈指のテーマ曲が流れ、50年前の日本の市井の人々が4Kでリマスターされた姿で蘇る。

画質もさることながら、いつも感動するのは、50年前の日本の、貧しいけれど必死に生きる人々の姿です。

きっと当時は(小生の記憶も含めて)出稼ぎとかはあるにしても、地方と首都圏を頻繁に往来する用事もお金もなく、
それ故に番組に登場してくる人たちの会話は正真正銘の地元の言葉です。
東京弁を聞くこともなく、もちろんそれを覚えて話す必要性もない。

男たちの顔は赤銅色に焼け、女たちは化粧っけもなく一様に割烹着を着て手ぬぐひで姉さんかぶり、子供たちは男の子も女の子もみな赤い頬をしてゐる。
もしかすると、まだ自家用車もままならず、やっとTVがカラーになった頃かもしれない。

けれど、
画面からあふれ出る人々のなんと生き生きとした姿だらう。なんと素敵な笑顔なのだらう。
現在からすれば、東南アジアやアフリカの農村部などで紹介される、まったく屈託のない素敵な笑顔と似てゐる。

表情に乏しいといはれる日本人の、けれども50年前、物も金も乏しい時代、代へがたい笑顔だけはありました。
そして、
日本人は、いつからあの笑顔を失ってしまったのでせうかー。


お願ひですから…

2022-01-06 | 文化的なもの
関東で雪になってゐます。
東京でも、10cmほどの積雪とかー。

お願ひですから、5cmや10cmの雪で大騒ぎしないでください。
お願ひですから、5cmや10cmの雪でワイドショーで取り上げないでください。

以前東京が大雪のとき、ワイドショーにて、雪道の歩き方を委細細かく説明してゐました。靴の選び方を懇切丁寧に説明してゐました。
東京の友人にそのことを話すと、彼も「アホらしい」と笑ってゐました。

構造上、東京の街が雪に弱いのは致し方ありません。
けれど、関東地方では常に雪は降ります。
一人の人間として、雪にも立ち向かへないやうでは、大袈裟ですが、生きても行けません。

山形市は、久しぶりの青空でした。
用事の帰り、周囲の山々が色を染め出してゐました。



山形では、もちろんほかの雪国でも、老婆が誰の助けも得られず、曲がった腰で雪を取り除いてゐます。






クリスト

2021-12-25 | 文化的なもの
年末の掃除で、机の引き出しを整理してゐたら、写真がぽろっとでてきました。



懐かしい! 忘れもしないクリストの「アンブレラ・プロジェクト」の写真でした。

1991年秋ー。
小生はすでに山形に移住してゐましたので、小生のデザインの師匠と駅で待ち合はせ、早朝の常磐の道を走らせました。
プロジェクトの前後に、都内の美術館でクリストに関しての展示会があり、その壮大な、ひと時の夢と幻想のやうな彼のプロジェクトに感銘を深くしてゐました。
たしか、狙ひすましたやうに台風が接近し、プロジェクト自体の開催も危ふいはずでしたが、幸ひかな、会場に近づくとブルーのアンブレラが見へ始めました。
まさにその時の雰囲気の貴重な映像がYoutubeにありました。
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CHRISTO : The Umbrellas - Joint Project for Japan and USA -

クリスト:「アンブレラ・プロジェクト」
1991年10月8日〜10月25日に日本とアメリカで同時開催されたプロジェクト。アメリカ(カルフォル...

youtube#video

 


日本とアメリカでの同時開催のプロジェクトで、双方に、1000本以上の巨大な傘を立てる壮大な企画!
その動画がこちらです。
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Christo's Umbrellas

Excerpt from Maysles's film "Umbrellas", about Christo & Jeanne-Claude...

youtube#video

 


クリストは、巨大な建物を布でくるんだり、小さな島の沿岸を布で縁取りしたり、等々現実と非現実の姿を見せることでその至高なまでの芸術性を世に問ふてきましたが、残念ながら数年前に亡くなりました。

写真は相当撮ったはずなので、ネガフィルムを探し出して、再度プリントしゃうと思ってゐます。
おそらく、二度と見ることができない、そして以降も企てられないプロジェクトでせうからー。

後日、先輩から、プロジェクトの傘に使った布だよ、と送られてきました。

相当知見の広い方でしたので、入手できたのかもしれません。





ふたりの死

2021-12-04 | 文化的なもの
今年は、我が家でも不幸がありましたが、

今年、朝食のパンをかじる手を止めたふたりの死がありました。
ともに、呆然と、新聞を見やりました。

中村吉右衛門、とベルナルト・ハイティンクの死亡記事です。

人間国宝の立ち役として、代役の不可能な方でした。
時に天を衝くやうな大見得を切り、時に市井の世界の洒脱な振る舞ひを見せ、余人代へがたい方でした。
残念ながら、実演を見に行ったことはありませんが、TVやYouTubeでは、かなりの作品を見させていただきました。
小生、歌舞伎は河竹黙阿弥の作品を中心に見てゐるのですが、
豪快な悪党のさまに、まさに、ほれぼれといたします。

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弁天娘女男白浪 「稲瀬川勢揃いの場」2

youtube#video

 

最後の口上の南郷力丸役が中村吉右衛門です。

ちなみに、小生の憧れの”高齢者”は、日本では、中村吉右衛門、
海外の俳優では、ショーン・コネリーとロバート・デ・ニーロ。
見た目の風貌などは些末なことで、TVやスクリーンやYoutubeにて一瞬出てきたときに、
数十年の人生の歓びと悔恨との過去をフラッシュバックさせるやうな、圧倒的な存在感を見せつけられ、
いつも、そんなジジイになりたい―、と思ってゐます。

汗顔ながら、小生の河竹黙阿弥愛は強く、過去のブログにも何度か書いてをりました。

こちら-1 
こちら-2
こちら-3


そして、ベルナルト・ハイティンク。
在京のころ、上野の文化会館で彼の演奏に出逢ひました。
当時の、アムステルダム・コンセルトヘボウのオーケストラを率いてです。
その時は、さして強烈な印象とてなかったのですが、その前後から妙に彼のファンになってゐて、
おそらくは、その愚直な処し方を好いてゐたのでせう。

確か、30歳過ぎでこの名門オーケストラの首席指揮者に就任し、
けれど、屈辱感にも巨匠オイゲン・ヨッフムを後見人付きにした体制でした。
その頃からの録音も多数聴いてゐますが、確かに可もなく不可もなし、といったものが多いです。

音楽にすごみが出てきたのはそんなに昔ではないと小生は思ひます。
BeethovenとBrahmsの、ともに再録音の全集を聞いてからあたりでせうかー。
相変はらず派手さはありませんが、ほかに何が必要ですか?と微笑んでゐるやうな演奏に終始してゐます。

師走ですので、近年彼が演奏した第九の模様を附けました。

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Beethoven: Symphony no. 9 in D minor, op. 125 | Bernard Haitink

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Beethoven: Symphony no. 9 in D minor, op. 125

Symphonieorchester ...

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