蒼天在眼 (そうてんまなこにあり)ーベランダで星を見る

昔、昔、天文少年でした。そして、今は、ベランダから、星を見ています。
いろいろの忘備録

宇宙の窓を透してベランダから銀河を覗く  の巻

2021-11-13 13:12:23 | 天体観測

Balconのベランダから、銀河を撮影できるか探ってみました。銀河といえば、天の川銀河の次は何と言ってもアンドロメダ銀河でしょうが、残念ながら、建物に遮られて見ることができません。ちょうこくしつ座銀河であれば、地平高度は、低いですが、十一月の初旬であれば、見頃でしょう。

「ちょうこくしつ座」って妙に違和感のある名前は、18世紀にニコラ=ルイ・ド・ラカーユというチーズの銘柄のような名前の人が命名した星座名で、このお方、子午線の長さを測定するために、南半球のケープタウンに滞在中に南天の14星座の設定を行いました。子供の頃、けんびきょう座とかに違和感を覚えたのは、古代の命名ではなくて、ヨーロッパ人が、18世紀に命名したからだと妙に納得いたしました。

ラカーユ        wikipedia public domaim

ちなみに、この時代は、地球の形と大きさを決定するために、世界のあちらこちらで、子午線1度の長さを測ることが行われていました。我が国の伊能忠敬の測量の最初の目的も緯度1度の線長を測量することだったようです。

このちょうこくしつ座と、かみのけ座の方向は、銀河座標系(天の川銀河回転面を赤道とする)のそれぞれ南極と北極の方向で、明るい恒星や、光を遮る星間物質が少なく、遠い天体の観測に適していると考えられて、宇宙の窓と言われています。ボワッと写っているのは全て銀河。

かみのけ座銀河団 (アリゾナ大学)

かみのけ座はBalconのベランダからは、見えないので、本日のお題はちょうこくしつ座の銀河です。 ちょうこくしつ座にも、いくつも 銀河が見えますが、その中でも最大のちょうこくしつ座銀河(NGC 253) を狙います。

あるもので済ますことになっているBalconは、今日もミューロン180cに、純正フラットナー・レデューサーを組み合わせ焦点距離1800mmで狙います。地平高度が低いので、地上光の散乱と、シーイング不良に悩まされそうな予感がします。

フィルターは、サイトロンのComet Band Pass フィルターを使用します。メーカーホームページには、「天体の発する主要な4輝線であるHα, Hβ, OIII, SII付近の波長域を透過させ、更に彗星の核や尾のCN, C2, C3付近の輝線も透過し、それ以外の波長域をカットすることで、光害地でも彗星や星雲を浮かび上がらせます。また、短波から長波まで、比較的バランス良く天体の光を透過するため、恒星や星雲のカラーバランスが崩れにくくなっています。」とうたっていますが、連続スペクトルの銀河ではどうでしょうか。

SIGHTRON ホームページより

 

ちょうこくしつ座に向けて星図をたどる場合は、みなみうお座の一等星フォーマルハウトから東へ星をたどるのですが、ベランダからでは、全く見えません。フォーマルハウト周辺で、フォーカスを合わせて、プレートソルビングで、赤道儀の較正をして、自動導入で、視野の中央に導入しました。全くストレスなしに入りました。20世紀天文少年時代にあったらなぁと思うこの頃です。

試写の結果、ASI  294 mc pro の設定は、 Gain 390(最大値) 冷却温度は、0℃、露出は、30秒としました。先に、フラットを取得して、直焦点撮影開始。総露出時間 1時間を目指します。

地平高度が下がるに従って、スタックエラーが頻発して、13分で終了。追尾は、RMS 1.数秒角で推移しているので、主に、シーイングの不良で、恒星位置が動くのではないかと思います。

スタック枚数が少ないのでザラザラですが、バルジ周辺のリボンのような暗黒帯が確認できます。色の感じは、赤味がかっていますが、このフィルターでは、Hαが、勝ってしまい全体の色味が決まってしまうせいかと思います。

今後の課題は、地平高度の高い南中から撮影開始して、枚数を稼ぐこと。(平日は、仕事があるので、難しいのと、温度順応に時間がかかるので、休日に天候の良い日がありますように)。 シーイングの影響が少ないと思われる近赤外線撮影にもトライしてみたいです。

最後に、上の写真を白黒化してみました。ザラついた感じがコダックのトライXで、増感処理したみたいで、20世紀天文少年の頃に戻ったよう気がして、懐かしい写真となりましたとさ。



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