社長様、かく語り記

東北のとある社長の名言・行動から、人としてあるべき姿を探していきたいと思います。

決別のため

2012-12-29 17:05:56 | 日記
まずは、この場を利用させて頂いて身体の中から毒を出せましたことに対して、深く御礼を申し上げたいと思います。

わたくし、口先が達者な人間ではございませんので、このような毒を体内に溜め込む傾向があります。

このまま黙っていては身体を壊す懸念を感じておりました。
(王様の耳はロバの耳、的な)

文章に表すことで、頭の中から下らない人間の記憶を忘れても良い状態に出来ましたので、気分がスッキリと晴れ渡った感じでございます。

お読み頂きました方々には、心より感謝申し上げます。

誰かの気休めやお役に立つことに繋がれば幸いなのですが…。

さて、年内で身体から毒を消し去りたいので、社長様の特徴で他に思いつくトコを書いてみます。



・愛車

ふた昔前までは、
「いつかはクラウン」
なんて言葉があり、大きな車が憧れの対象に成りうる時代が存在しました。

社長様のような安い人間ほど、この傾向が顕著に見られ 社長様もご多分に漏れずそんな人間でございます。

以前 勤めていたE社の工場長もそんなお方で、係長時代はシートがタバコで焼け焦げたパルサーセダンに乗っておりましたが、業績が上向き(わたくしの尽力により)工場長へと昇格するや、恥ずかし気にクラウンへ乗り換えられて、その数日後には態度が豹変し横柄な振る舞いが目立ち始めたのでした。
(俺っちってクラウンだろ~

さて、社長様はと言いますと、会社の大儲けが始まると、貧しい時代からずっと懇意にしていた中古車販売店には何やかやと文句を付けて縁を切ってしまい、ディーラーから新古車1台新車2台を購入(初めての新車~)して営業マンにチヤホヤされて超ご機嫌です。
(中古販売店に対する難癖は、関東在住の息子へと車を届ける際の陸送費用が高過ぎるとの理由でしたね。ディーラーから相手にされ始め、これまでの付き合いを反故にすると云う、いかにも安い人間がしでかす態度です。)

そして、お気に入りのミニバンを駆る自分に対して、癪に触るような行為をする小さな車は目の敵にし、小馬鹿になさったりもしています。
「なんで軽自動車に乗ってるヤツって、負けず嫌いなのかな?
高速で抜いたら抜き返してきやがった。
悔しいのかね?」
とかとか…
(昔は中古車を買って、走行20万km越えが自慢だった方なんですがね…)

昔から、大きい車に乗ると自分もビッグな人間だと錯覚し、態度もデカくなる安い人間って良く居たものですが、社長様もズバリそのモノでした。

見る目の無い人間は、目に見えるモノの大きさでしか、物事の価値を判断出来ないのですねぇ…
哀れ…



・社長様の口癖

前回、
「大丈夫でしょっ」
が社長様の決めゼリフであることを書きましたが、他にも口癖があります。

「要は」
が大好きで、本当に良くお使いになります。

わたくしは国語が不得手で言葉の分類は判りませんが、
「要は」
の意味は
「要(かなめ)となるのは…」
や、
「要約するに…」
のような感じでは?
(違いますかねぇ?)

これまでに「要は」が口癖の方を何名か存じておるのですが、明らかに意味を違えて使用します。

会議中、それまでの話の流れにようやく追い付いたつもりで、自分が理解に及んだ段階の話に戻した上で、
「あぁ~要は◯◯って事ね!」
と、話の内容を過去に戻して納得する方。
(他のメンバーは、「今そこかよっ…」的な空気…)

又、打ち合わせ中 詳細説明に入る際の前置きとして、
「要はさぁ」
と、相手が納得しないことに苛立ちつつ(自分の説明が下手なことは棚上げ)、リピートして説明をする方。
(それ…要はじゃなくて、全部だよ…)

社長様、「要は」がチョイと賢く感じているようで、大のお気に入りです。

ちゃんと話を理解していれば「要」でも「要約」でもないことに気付くんですが。
(結局は話が通じなくて、サンプルを作ってもらいますがね。)



・社長様の癖
とにかく、溜め息を漏らします。
タカ&トシのツッコミ風に、
「おまえは働き者かっ!」
と後頭部を叩きたくなる程に、働きながら溜め息を吐きます。

面倒くさがりな社長様、ご自身が作業してると溜め息を吐き
「こんなに俺様が頑張ってるのに…」
的なアピールが始まります。

大したことのない作業でも、かなり「フィー、フィー…」と、アピールしてくるので、こちらが忙しく動いている時はストレスです。
(エア漏れしてるのか?と、コルク栓で漏れてる穴を埋めたくなります)

社長様は不良品を作るのが得意で、働き者アピールしつつ不良品を出すので正直触らないで欲しいのですが。

五月蠅くてかないません、周りの人間の気が散りますので静かにして下さい。



・数字に強い

一度、相棒と共に話をされていて次のような例えで、わたくしにもっと働けっと遠回しな嫌みを申されたことがありました。

給料金額を引き合いに出し…

「わたくしは相棒の倍」
「相棒はパートさんに毛が生えた程度」

なのだから
「お前はもっと働けっ」
とのご指摘でございました。

さて、金額を当てはめてみますと…

10万(パートさん)に毛が生えると17万(相棒)
17万(相棒)の倍は25万(わたくし)

となります。

社長様がお作りになる見積もりで知ってましたが、簡単な計算も出来なさ過ぎです。

それでいて、いつも偉そうに話をして頂けるので間抜けさが倍増します。


では最後、辞めるに至った経緯です。

昨年暮れより従業員総出で派遣に出ました。
(この行為自体、違法ではないのであろうか…)

社長様に派遣従業員管理のようなデリケートな作業は出来ません。

案の定、途中から「打合せと客先でのやり方が違う」と、苛立ち始めその矛先は派遣されている我々従業員に向けられます。

わたくしも槍玉に上げられ、「何で打合せ通りやらない!」と、言われるのですが、聞かされてもいないことを何で?と言われてもねぇ。

更に、

(社長様)
「お前、向こうからいくら貰って稼いでいるか知ってるか?」

と、聞いてきましたので、

(わたくし)
「はい、男(わたくし)が¥1,500で女性(パートさん)は¥1,200です。」
と、第一回目の打合せ直後に聞いた値段を、自信満々で答えました。

すると、

(社長様)
「いやっ違うね、男が¥1,200で女が¥900だね。」
と、言います。

(わたくし)
「すみませんが、その値段は伺っていませんが?」
と、言いますと…

(社長様)
「いやっ言ったね!知ってるはずだ!」
と、いつものように強弁が始まりました。

わたくしもボケ老人の戯言に付き合うのにはウンザリしておりましたが、聞いていないことを『言った!』と言われても認めたくはありません。


言ったことは、「言ってない。」
言ってないことを、「言った。」

と、その時々で自分の都合の良い方に言い張る社長様なので、話を繰り返すだけ時間の無駄となりますので、いい加減愛想が尽きていました。


最終的には、わたくしは口にしていないことを、
「客先で俺と合わないから辞めたいって言ったそうだな。責任取れ。」
と、なりました。

まず、わたくしそのような言葉は口にしておりません。

メールで「社長様から不興を買い…」と、わたくしが社内で社長様から嫌がらせを受けていて、パートさん達へのアシストが満足に出来ず不良品が流れたことを先方の責任者に詫びたのです。

わたくしが社長様を嫌だと言ったのではなく、社長様がわたくしを嫌っているとお伝えしたまでです。
(この派遣先のお客様内でも、社長様の不遜振りと話が解らないところは評判で「何なんだアイツ」と、相手にされておりませんでした。)

社長様、パートさんが製品をコンクリート上に落下させ不良にした場面に立ち会っていて、それを認識した上でそのまま断りも入れずに納品したのでした。

客先から、落としませんでしたか?との確認が入ったところ、知っている事実を隠そうとしていたので、わたくしが詫びを入れたのです。


(わたくし)
「私はそんな話はしていませんので、責任の取りようがありません」

(社長様)
「お前は嘘つきで最悪な人間だなっ。」
と、小学校レベルの嘘つきネタでグイグイと押してきます。
(お前が言う事は全部嘘だと言われたのですが、交渉して半分にして貰いました、ラッキー!)

(わたくし)
「さて、言ってないことに責任を取れと言われてもサッパリ…どうすれば良いですかね?」

(社長様)
「俺だったら辞表を出すねっ。」

(わたくし)
「あぁそうですか、よろしいんですね、判りました。」

で、話は終わりました。

本当は、解雇を狙っていたので満額回答ではありませんでしたが、社長様の口から「辞表を出せ」と言わしめたので、それで良しとしました。

こうせずにわたくしが退社した場合、厚顔無恥なる社長様から再び声が掛かるので、それは避けたかったのです。

つまらない人間のわたくしをお拾い頂いたので、自ら辞めるのは遠慮してまいりましたが、社長様から宣告されて晴れてこの日を迎えられました。
これまでで一番感謝申し上げます。


さて、後は「立つ鳥跡を濁さず」です。

パソコンでの資料保管は社長様より、
「言われてないことはやるな。」
と言われたので削除済みで、パソコンの中はキレイなモノです。

これまでにプリントして配布してきた作業資料も、
「作業手順とか余計なモノは作らなくていいっ」
と言われたのでシュレッダー済みです。

元々低スペックパソコンなので、10GBを超えた資料は保管不可能でした。

全てわたくしの脳内メモリーに移管し、デジタル&アナログなデータは会社には存在していませんでした。
(相棒が困らないように、相棒が関わるであろうモノは全て渡しましたけど)


退社寸前になり、

(社長様)
「今までのパソコンのデータは焼いてあるのか?」
と、訳の判らないことを聞いてきました。
(焼くって何だ?ROMか?そんなの買ってもらいましたっけ?)

(わたくし)
「は?そんなのありませんけど?
最近のは◯◯くん(相棒)に渡してありますけど、古いのはパソコンの空き容量がないからありません。」

と、伝えました。

散々わたくしのやること成すことを否定してきたのですが、いざ自分がパートさん方の面倒をみるとなると必要であることに気が付いたようで、甘えてまいりました。

社長様に引き継ぐような下等な作業などは何もございません。

これまでわたくしに押し付けてきた面倒臭い作業も、頑張って考えて下さいませ。

わたくしが訪れる前の会社に、少しだけ近づけることが出来ていればよろしいのですが。



終わりに…

わたくしは不器用なモノで、うまい立ち回り方を知っていても敢えて逆をやりたくなります。

鹿を馬とは言えない悲しい人間です。

ま、そんな人生も楽しいもんですよ、と云うかそこだけがわたくしの矜恃なのかな?


来年は良い年となりますように…

このブログをお読み頂いた方々に、大日如来様からのお慈悲が届きますように…

と、願いながら完了とさせて頂きます。

短い間ではありましたが、誠にありがとうございました




内職費を追え!(全三話③)

2012-12-28 15:55:21 | 日記
昨日の続きとなります。


さて…何故 存在するはずの内職伝票を堂々とお見せしなかったのか?

パートさんたちの勤務時間のみでは溢れることになるであろう作業を、内職化する提案をしたのは わたくしですので、その場合のシステムは存じておりました。

ですからこそ、何が起きているのか全く想像がつきませんでした。

(わたくし)
「伝票をキチンと残しておけば、全く問題ない話ですよ。
なんで見せなかったんですか?」

と、訪ねますと事務員さんが話してくれました。


まずは…

パート従業員さんの中に、同居している家族全員が働いていて家族名義の内職費の請求を出せない方が居たので、あろうことか他の方の名義を貸して処理していたそうです…

社長ご夫人様から寵愛を受けていた若者が名義の借り主でした。

しかしその方は遠慮する気配など微塵もなく、誰よりもたくさん内職仕事を持ち帰り一番内職費を稼いでいたのです。

一度社長ご夫人様に、あの方だけ持ち帰り過ぎじゃありませんか?と、忠告したらば、逆にたしなめられました。
(まぁ依怙贔屓をしますと、こんな輩が現れますね。)

伝票名義の貸し付けは想定外でしたので、唖然とするしかありませんでした…
ただただ絶句…

恐らく名義の貸し主の伝票合計金額は、かなり厳しい金額に達していたモノと想像されます。
(そういえば、貸し主さんの義母様が事務職経験者で、
「そんな伝票処理してて大丈夫なのか?」
と、ご心配なさっていたそうな…)


このような実態の元で、税務署職員様から「各家庭に電話確認していいですか?」と、言われれば隠しきれないのは明らかですから、これ以上は誤魔化しようはなく全て話すしかなかったことも納得です。

しかしまぁここまでは、いかに稚拙な社長様でも仕方がないか…とも思えますが(論外ですけど)、内職伝票を消し去っていた本当の理由は他にありました。

ここが本丸となるのですが、まぁなんとも呆れる社長様らしい粗末な内容でございます。

内職費の中に社長様個人の『ご趣味』である、オークションの落札代金を計上なされていたのです。

毎日のように金融機関へオークションの落札代金を振り込みに行かされる事務員さんを、気の毒に…とは思っていたのですが、あろうことか個人的『ご趣味』のオークションの支払いまで会社持ちで処理していたのです。

会社のお金で落札した内容
・壊れた液晶テレビ10台以上
(収集の意味不明)
・各種システムオーディオ機器
(30点以上)
・巨大なスピーカー(小型冷蔵庫大)
(数セット)
・クラシックポータブルラジオ
(10台以上)
・安い美術品
(自宅に隠匿数量不明、息子にも送る)
他、実態のわからない物品多数。

(この殆どの品物はゴミ同然の扱いで、後日買取業者に持って行かれました。)


ここまで来ますと、会社と自宅に購入したマッサージチェア(約40万円2台、80万円相当)や、遠く離れた息子殿に送ったミニバン1台(250万円相当)も含まれているであろう事は、想像するには難くない訳です。

いやぁ~やりましたねぇ~社長様!
ご立派!

典型的なるウマシカ社長です。
(まともに儲けたことの無い社長様なので、金の使い方が判らなかったんですね~)


(事務員さん)
「友人のベテラン事務員から、極端に売り上げの成長した会社は税務署入るから気を付けた方が良いよって前から言われてて…
だから社長に何回も税務署入ったら大変じゃないですかって言っても
『大丈夫でしょっ!』
って返事でまるで相手にされなかったんですよ!」

と、たいそうご立腹でした。


社長様の決めゼリフ、

「大丈夫でしょっ」

は、自信満々のご自身がカッコ良くて気に入ってるらしく、度々吐かれるのですが実際は何も考えず希望的観測でのみ判断し喋っているので、たいがい外れます。
(本人が発言を忘れているから痛い…)

訊ねる側としては、明らかに問題があり心配して聞いている訳で、何も考えていない社長様が即
「大丈夫でしょっ」
と、即断出来るような中身じゃないですし、そんな才能を持ち合わせてもおりません。


(わたくし)
「社長の『大丈夫でしょっ』は、アテにならないから気をつけた方が良いですよ」
と、言いましたらば、

(事務員さん)
「そうですよねぇ、良く判りましたよ。」

と、ウンザリした顔で強く納得しておりました。


社長様に、「お前は一発屋のお笑い芸人かっ!」

とでもツッコミたくなるほど粗末な金の使い方を聞いて、事務員さんのこれまでの苦悩の日々が気の毒でなりませんでした。


事の顛末

社長様は税務署より使途不明な内職費用について、説明を求められたそうです。

全額追徴課税に応じるならば、パートさん達の件は不問に処します。
とのご温情も頂いたそうです。
(ま、すでに手口がばれていた訳ですね。)


ことによっては…
と、パートさん達も気が気ではない日々がしばらく続いたある朝。
(この日わたくしは不在でした、わたくしに聞かれたくないウソ話は、わたくしが居ないタイミングを選んで皆に話します。)

(社長様)
「税務署の件は心配しないで下さい、安心していいです。」
「すべて私が引き受けますから、皆さんには何も影響ないようにしますので大丈夫です。」

と、
ここまで散々心配させてきた日々は省みず、
自分がコトを大きくした責任を詫びもせず、
己れの使い込みを隠すために従業員を隠れ蓑としたことを恥もせず、
ただ皆さんの苦悩は私が引き受けますから、
と格好をつけるウマシカ社長…
もとい社長様。


わたくしが居ましたら…

「アンタ~もしかしてバカなのか?」

とでも言いたくなり、血液が沸き立ったことでしょうね…
(実際には言いませんけど…)

この騒動から遠くなくリーマンショックが訪れ、再び栄華を極めることもなく、社長様のプチゴールドラッシュは終焉を迎えるのです…

分不相応な繁栄とケチケチ根性により身を滅ぼした社長様でございました。

儲かった時位、税金はキチンと納めましょうね。
それが国民や企業に課せられました義務であります。
(ちなみに、普段は赤字だから納税なんてしてませんよ~。
金が余れば、屋根のペンキ塗ってますから~残念っ!
役人になんざ、ビタ一文やらねぇぜ!ケッ


税務調査(全三話②)

2012-12-27 16:14:03 | 日記
プチゴールドラッシュも落ち着き最盛期となった1年が終わり、新たな年に入って早々に…

「今度…税務調査が入る事になりました…」

と、コッソリ…事務員さんに教えてもらいました。

事務員さんはとうとう来るか…と云う感じで、とても気分が重そうにございます。

前々から懸念されていた事が現実となり、改めて社長様の先見の明の高さに呆れていたのです。

税務署様からは3日間の予定でおいでになるとの通告があったそうです。


正直…わたくしは問題ないでしょ?とタカを括っていたのですが、事務員さんはかな~り心配そうにしています。

無責任で小人たる社長様は、当然の如くお役人様からはお逃げになる事でしょう。
従って確実に矢面に立たさせる事を、事務員さんはご心痛になられているんだろうなぁ…と、気の毒になってしまいました。

内実…好景気に沸いた社内ではわたくしの予想通りに残業時間が大幅に増え、パートさん達の年間所得は扶養を外される金額に軽々と達しておりました。

そこで、はみ出してしまう分は内職費に加えて処理していたのです。

更に、内職として持ち帰っていた分をパートさん方の給与に含めるとなると…
まぁ大変…パートさん達の生活設計に狂いが生じる事は間違いなしなのです。
(恐らく…年間200万円近い報酬を得ていたかも…わたくしの想像ですが…)

しかし…それでも内職伝票(ご家族名義)もある事だし、会計士さんのチェックも入っているので大丈夫だろうと、わたくしは考えていたのです。
(更なる事実は、わたくしには全く想定出来ませんでした…)


1日目

調査の初日です。

会社の始業直後から、税務署職員の方々はお越しになりました。
会社の建屋は判りにくい場所にあり、お越しになる方は必ず迷って電話を寄越してから到着…が普通なのですが、さすがに調査済みで迷わずにお越しになりました。

まずは事務所内で何やらしているようですが、工場にはなかなかおいでになりません。

午前中は何事も無く過ぎ、事務員さんは疲れた顔をなさってはいるものの大事には至っていないようです。

当然の如く、社長様は外出してしまい不在です。(卑怯者な鼠はすぐ逃げる)


事態に動きが出たのは、そろそろ終わりかな?と油断していた3時過ぎになり、パートさんの1名が少々焦りつつ近寄って来ました。

「◯◯さん(わたくし)税務署の方が作業日報を探しているそうです!STさん(事務員さん)からメールがきました!」
(税務署職員様の目を盗み、メールを送信してきたようです。)

との事。


わたくしは即座に事態を察しましたので、裏口から外へ出て社長様に電話を…

(わたくし)
「税務署の方が作業日報を見たがっているそうですが、どおしますか?」
(秘策はあるのかと訪ねてみます…)

(社長様)
「はっ?大丈夫でしょっ!」
(何言ってんのお前?的な気楽さ…やはりタダの馬鹿です…)

(わたくし)
馬鹿を相手にしてる暇はないので、
「判りました。」
と、とっとと電話を切って工場に戻り、作業日報を回収して装置のメンテナンスハッチ内へ隠匿致しました。
(畳の裏から現金を見つけ出すマルサを想定しましたが、過ぎたる妄想ですかね?)


作業日報には、残業時間までキッチリと内訳が書かれてあります。
(社長様のご指示により)

一方、タイムカードは事務員さんが年間所得のオーバーが生じないように記録を管理していましたので、タイムカードの二重管理が確実にバレます。

バレるとパートさん達は扶養から外れ、所得税の課税に始まり健康保険や国民年金の加入等々、かなりの支出増になるのでは?
(スミマセン…この手は疎いモノで、テキト~な想像です…)


結局、作業日報は無いと云う事で話は済んだようでした。

しかし、わたくしからの電話がなければ社長様はあっさり、
「ありますよっ」
と、気軽に差し出した事でしよう…。

想像するだけで、寒くなる社長様です。



2日目

この日は、わたくしが作りました棚卸表を元にして、わたくし自身が工場内をご案内する事となりました。
(当然、社長様が逃げて不在だからです。)

(税務署職員様)
「あの…この棚卸表、一昨年のですが…」

(わたくし)
(エヘッとペコちゃんスマイルをかましつつ)
「あれっそっすね~まぁ大差ないですよ!」
と、案内を続けます。

途中、社長様の真空管コレクションを訝しげに眺めておりましたが、大した価値は無いと見極めされ、特段 質問はありません。
(哀れなり社長様…)

結局、工場内に隠匿されている資産はないと判断されたようで、2日目は午前中のみでお帰りになられました。

しかし…どうも腑に落ちません…
3日間の予定で来ていて午前中で終わりという事は、調査は完了して後はどのように落とすか?の打ち合わせが始まるのでしょうか?…


3日目

今日も朝から社長様はご不在です。
(朝から逃げました、流石は頼れる男です。)

3日目の詳細な様子は、しばらく後になり事務員さんから伺いました。

結論から言いますと、結局 事務員さんが落とされました。

税務署職員様は、直球勝負で事務員さんを落としにきたそうです。

(税務署職員様)
「この内職費の伝票見せて貰えますか?」
(内職費がいくらまで膨らんでいたのかは、聞いておりませんでした、失敗…)


(事務員さん)
「ありません…」

(税務署職員様)
「じゃあ、パートの皆さんのご自宅に電話して確認しますけど、よろしいですね?」

(事務員さん)
泣きながら…
「申し訳ありません…」

と、この段に至りようやく逃れようがないと観念して全てお話になったそうです。


手練れの税務署職員様には、見え見えバレバレのやり方だったようです。

恐らく、わたくしが税務署職員だったとしても、すぐに見つけ出した事でしょうけど…。

明日へ続く…

儲け過ぎにはご用心!(全三話①)

2012-12-26 15:33:59 | 日記
わたくしが入社したての頃、社長様からこう言われておりました。

「ウチの会社は月の売り上げが200万円をクリア出来れば回るから、そこを目安に頑張ってくれ。」

との事でありました。


ザッと見ますと、作業内容は購入品が少なくて消耗品のみの購入で可能となるので、売上金額のほとんどが利益となる仕組みでした。
(しかも、消耗品の多くは倒産した会社からガメてきた物なので、実質毎月購入するような物はありませんでしたね。)

当時わたくし以外はパート従業員さん(4名程度)でしたので、利益のほとんどが人件費として消えても問題の無い構造であります。
(そのウチの60万円程度が社長様の給与となります。)


さて、そのような会社が最盛期には月の売上1,000万円を越えてしまったのでございます。

そこまでいった時は、さすがに売上金額の5割超が部品購入代金となる作業もありましたが、利益自体は桁違いでしたので社長様の懐(正確には会社です!)に想像を絶するお金が入り込んだのは想像に固くありません。

当時の社長様、ご機嫌麗しきこと正にこの世の栄華を極めたりといった趣にございました。

春は花見、秋には社員旅行、冬には忘年会と、従業員にも大盤振る舞いでございました。
(陰でなさっていた事を思えば、罪滅ぼしの思いもあったかな?そこまで純情な人間ではありませんね。)

しかし…そのような状況下にあり、一人密やかに危機意識を持つ方がいらっしゃいました。

事務員さんです。

事務員さんのご友人に、ベテランの事務員さんがいらっしゃり…

「急成長した会社には税務署が入るから、キチンとしておいた方がいいよ。」

とのご忠告を、再三に渡り頂いていたそうです。


当然、事務員さんはお金の流れを全て存じている訳ですから、懸念される材料もあったのでしょう。


売上の急成長にかなり貢献した作業が本格的に動き始めた頃、社内のみでこなすには明らかに無理なボリュームでしたので、わたくしは社長様へ一部作業の外注化を提案致しました。
(単純作業のみです)

その作業に適任であろうと思い、わたくしが以前にお世話になった方へと声を掛けてわざわざ会社までお越し頂いたのですが、事もあろうに社長様に愚弄され憮然として帰られてしまいました。


社長様はこの期に及んでケチケチ根性を発揮し、旨みの多い仕事を他の会社に びた一文分ける事はせずに全て社内でこなす事に決めたのでした。
(結果、報いを受けるのですから、因果応報なのでしょうね。)

しかし…社内でこなすには作業時間的に無理がありますし、恒常的に流れる作業で社内の労働力が支配されてしまうのはとても危うい事態です。
(パートさんの増員は固定費を増やしてしまうので、避けるべきとの前提でのはなしになります。)

かといって、社長様がその事態にも何ら対策をなさらず、パートさん達の負担だけが増えるのは明らかです。
(「時間外労働の増加」基本 単純な足し算も苦手な社長様なので、作業増加への対応なぞ己れの言葉一つで解消すると思っています。「早く作業を終わらせるように」)

そこでわたくしの次の策ですが、パートさん達のご家族の中で働いていなくて手が空いている方に小遣い稼ぎ程度で内職として依頼する方法です。
(品質管理の観点からいきますと、安心して外に出せますので。)


この場合に大前提となるのが、同居するご家族に所得が無い もしくは所得が少なくパートさんの旦那様の扶養に入られている事が必要となります。
(年間所得の絡みで他意はありません、子供は駄目です。)

社長様は我が意を得たりとばかりに、ご自身のお考えとして内職を募集して破格の金額で内職作業を始めたのでした。
(金額を聞いてバカだな~と思いました。「利益還元」と称して、事実上 日中の時給を大幅に上回る金額で内職に出しましたので、プチゴールドラッシュが訪れてしまいました…)

結果的にこの行為が、今後の悲劇を招くキッカケとなっていくのですが計算高い社長様には関係ございません。

わたくしは、社長様の行為の危うさに気付いておりましたので、近寄らず関わらずで社長様のご采配のみを眺めておりました…

有頂天におわします人間に諫言苦言を申し上げても、小馬鹿にされて損するのみです。


しかし、この様な事態となりますと人間の本性が表れるモノで、図々しく大量に内職を持ち帰る人間が出てきて、社内に微妙なるギクシャク感も生じます。

流石は社長様です、良かれと思って余計な事をなさるのが得意です。

真っ当に働く事が馬鹿くさい状態がしばらくは続きましたが、その翌年には大不況が訪れる事など誰も考えずに時間は流れてゆくのでした…

品質管理体制

2012-12-25 14:37:08 | 日記
社長様、新たな取り引き先が決まった際、大いに張りきりまして これまでの人生において考えたこともないクセに、ありもしない「品質管理」に対する自身のご主張を工場内 各所へと掲示になられました。

よぉ~し!仕事取ったるでぇ~!と、ばかりに、鼻息荒く作文したものを読み返すこともなくプリントし、わたくしに工場内への掲示を命ぜられましたポスターの紹介でございます。
(原文に近い形での紹介ですが、誤字脱字を修正して掲載致します。
あまりにひどく、個人の特定が可能なレベルなんすよね~)


『品質管理体制』

1、品質管理体制

高度な製品作りは当然、
「品質」
「コスト」
「納期」
への対応に尽力します。


社員各々が、
「創意工夫」
「改善」
を行ない、お客様の満足度を上げる為に品質システムを向上していきます。


2、品質の方針

1.当社の品質システムを有効活用し、品質を確実に確保する。

2.お客様の満足度を上げる為、お客様のニーズに合った「満足」を生み出す。

3.「開拓精神」
 「技術研鑽」
 「創意工夫」
によってグローバルな会社へと変貌を遂げる。

4.定めた品質方針の達成に向けて努力する。


とでもなりましょうか。


以下は、わたくしが社長様の上司であった場合の勝手なる論評となります。
(まずは読み直しをさせて、原文にある誤字脱字の修正及び意味不明な文面の書き直しを命じますけどね…)


1、品質管理体制

タイトル及び項目において2度に渡って
『品質管理体制』
と謳いました割りには、

「高度な製品作り」に始まり、

「品質」「コスト」「納期」
(ただのQCDですね…)

社員各々の「相違工夫」「改善」

更には「品質システムの向上」

の記述で終わります。


さて、元々ありもしない品質管理体制は、この文章の何処に隠されているのでしょうか?


強いて上げるとすれば…

社員各々が
「創意工夫」「改善」
を行なうところを以ってして、

社長様の会社の『品質システム』である!と、したいのでしょうか?

工場内で従業員が行っていた品質に関わる作業というと、間違わないようにしましょう。
って話だけですかねぇ~、常識的に判るだろ!みたいな~

(ちなみに、品質システムと云う言葉は、品質に関わるシステムの総称のようですから、この言葉のみでは品質をどうするシステムなのかは、判然としない訳ですね。)

この社員各々に間違うなよ!と、任せてしまうだけの体制を「システム」と呼んでいいのかどうかの判定は別として、改めて従業員任せと云う丸投げ体質を曝け出し、管理する体制は全く存在しないことを明らかにしつつ…
会社としては一貫性のない「品質システム」にすべてを委ねたまま、第1項の「品質管理体制」は終わりとなります。



2、品質方針

1.再び「品質システム」が登場しますが、品質を「確実に確保」とはありもしないシステムを確かにしたいと云う願望の現れに過ぎないようです…

個人任せと定義している時点で、確実に確保は出来ない事だけは明らかで、何百年前の品質手法を学ばれて今に至ったのか想像がつきません…
(そんな昔にシステムはねぇよ…


2.社長様はご存知ありませんが、正直なところ…頭が弱い社長様がお客様から求められていたのは安いコストのみです。

いつも見積りがテキト~で、作業を後からいくら追加しても金額が変わりませんので、そこを見越して仕事を依頼してまいります。

「高度な製品作り」を求められたことなど一度もありませんが?…
そこんとこを気付いてますかねぇ…


3.さて「グローバル」の意味を県外とでも、ご理解なさっていらっしゃるのでしょうか…

昨今 流行りの言葉をウッカリ使ってしまったようですが、ここまでくると品質方針とはドンドンかけ離れていき 社長様の欲望を公にしているだけとなり、書けば書くほど恥晒しな結果となってまいります。


4.定められてもいない「品質方針」、これをどのようにして達成するつもりなのか?
到達点の無いモノは、達成することは不可能です。


結局のところ、従業員たちに
「創意工夫」「改善」
する気遣いを強要し、会社には迷惑をかけないように…との、内容となってしまっているように感じます。
(まぁ~ある意味 社長様の真骨頂でございますね。そのように見れば違和感は全くございません。)

何か不具合が発生した場合の朝礼では、

「我が社の品質体制は、壁に掲示してある通りです。品質体制に沿って作業して、不良品を作らないようにして下さい。」

となり、格別問題点の指摘もないままに終わりとなりますので、再び同じ不具合を繰り返す 力強い組織となっていくのです。

それと、やたら「創意工夫」が登場するなぁと思いましたらば…
何の事は無い、ターゲット企業のホームページの社訓に載ってましたわ…
ダッセ~


プチ脱線
社長様が、工場内の作業が立て込んできた場合に発する、朝礼での決まり文句は、

手離れを良くして、回転率を上げて下さい。」

で、ございます。
(と、ふんぞり返りながら話すのみ

さて…?「手離れを良くしろ」とは?どおやるの?…

これまた具体策の無い、無理に読めば普段の手抜きを止めて懸命に働けってこと?と、なりますか。

ん~馬鹿のひとつ覚え?って、これのことかしらん

とかく何事も深慮なさらず、他人任せに終始する社長様なのでございます。
(まぁ閃き人間なので、考えることができないのかな~?)

脱線復旧


この品質管理体制下においては、誰も何も管理をしていない事だけは明白であります。
(管理の定義を書き出すと長くなるので省きます…)

わたくしのこれまでの経験では、品質を管理する責任者が居ない状態では、一貫性のある安定した品質を継続して生産することは、不可能であると感じています。

出来ていた場合、宝くじ並みの奇跡です!長続きは致しません。

品質に安定性のない会社は信頼を得ることは適いません。


しかし幸いなことに、社内に意気揚々と貼り出されましたる このポスターは、さして お客様の興味を引かず…
目に触れることも無く…
ただただ社員からの嘲笑を受けるだけ…
安いコピー用紙にプリントしたもんで早々に黄ばんでしまい、ただの薄汚れた壁紙と化したのでありました。

残念…


さて…グダグダと書き連ねて参りましたが、明日からは社長様の経営者人生におきましては最大の出来事であった、税務署との闘いを書かせて頂きます。
(逃げてばかりいたのだから闘いじゃないかもね…

社長様の栄枯盛衰の様子をもちまして、本ブログも終焉を迎えたいと思います。