社長様、かく語り記

東北のとある社長の名言・行動から、人としてあるべき姿を探していきたいと思います。

出張 後篇(全二話②)

2013-05-10 12:44:34 | 日記
前回の続きでございます。

一概にビジネスホテルといいましても、装備が一律ではありませんし、結構個性がありまして度々楽しい思いをさせて頂きました。
(かたやコンビニは、どこに行っても品揃えがほとんど一緒なのでツマラナイ…)

わたくしの中で「やられたなぁ~」感が一番強く残っているのは、愛知県の県庁所在都市の近郊にありましたビジネスホテルでございました。
(若かりし信長さんのお城がありました町と記憶しております。)

そこのホテルは駅から15分程歩けば到着する場所にありましたので、申し訳なくてタクシーに乗るのが憚られる距離でした。
(わたくし小心者なのでタクシーの運ちゃんのガッカリ顔がとても苦痛でございます…)

朝イチで客先への出社となっておりましたので、現地に前日入りしてホテルに向かったのですが、道が入り組んでいてホテルの場所が判りにくかった為にタクシーを利用しました。

タクシーで走ってみると、地図で見たよりも距離があるなぁと思いましたら、何の事はありません路地をグルグル回られて料金を釣り上げられておりました。
(確か…乗って行き先を告げた際に、「歩いて行けるよ!」と、言われたかもしれません。遠まわしに「歩いて行け」と、言われていたのかな…)

そこのホテルは、駅との中程にコンビニが一件あるのみの立地条件で、食事には難儀する事を予感させる物件でございました。


作業初日、早く帰りたがる客先担当者(T系列自動車部品メーカー)&商社営業マン(某ガス関連企業)には耳を貸さず目もくれずに夜の10時過ぎまで黙々と残業しました。
(途中明らかなる設計ミスを発見し、会社に電話するも皆帰宅していてイライラ…)

ようやくお客様達を解放して差し上げ、電車を降りて駅を出たのは夜の11時過ぎでございました。

想像以上に暗い町並み…

この時間ですでに開いている食堂もなかったので、途中のコンビニで夕飯を仕入れてホテルへと戻りました。
(夜になって判りましたが、コンビニの向かい側にはネオンがコウコウと煌めくウサギさんがお勤めのお店がございました…)

部屋に入り…疲れた身体で一番最初にやりましたのは、先程買ってまいりました豚キムチスーパーカップに、備え付けのポットの湯を注ぐ事でした。

こうしておけば服を着替えている間に出来上がる算段でございます。

さて着替えが終わり身体を締め付けから解放して、ようやく晩ごはん…

と思いきや!

フタを開けたカップラーメンから湯気が立ち上がりません…

中のお湯に指を入れて確認します

「エェッ…冷たい…」

先程お湯を注いだポットを振ってみますと…

「カランカラ~ンと音がする…」

氷水が入っておいでにございます…


言い訳…

それまでに宿泊したホテルでは、小さなテーブルにはたいてい、

「茶碗&ティーバッグ」

その隣には、

「お茶用の小さな湯沸かし器 or お湯の入った小さなポット」

が置いてありました。


くだんのホテルの場合も「ティーバッグ&茶碗」の脇に小さなポットが置いてありました…

どう見てもお湯だろコリャ?と自己弁護…水出しのお茶かい?

ふぅ………疲れきった身体では、お湯と氷水の見分けすらつかなかったか…

溶けずに粉末のまま残っているスープを流さぬように…なんとか氷水を捨てて、浴室のシャワーから出てくるMAX熱いお湯(それでも40℃ぐらいでした…)を注ぎ入れました。

空腹のまま…10分以上待ちました…

しかし…それでも麺は柔らかくならず、スープの味も薄くなってしまいましたが、夕食なしで残業して ようやくありついた晩ごはんでしたので、バリバリと言わせながらおにぎりと共に食べました…
(胃袋に入りゃ一緒です。)

お腹も落ち着いたので、ホテルの冊子でお湯の件を探します。

ありました…

「お湯がご入り用の方はフロントまでお申し出下さい。」

だそうです。

後にも先にもそのようなホテルは、そこ一件だけでした。

いゃあ~ポットに「氷水」って書いておいてもらえますかぁ~。


下らなくて長い脱線より復旧致します。


結局、一度も座る事が無いまま東京駅に到着し、足早に乗り換えの東北新幹線のホームへと向かいます。

既に長くなっている自由席待ちの行列に並んで ようやくしゃがむ事が出来ました。

新幹線がホームに入り、ギリギリで座席に座れる事を期待しましたがやはり全然無理でした。

再び、混んでいるデッキの床にデカくて邪魔なカバンを置き壁に寄りかかるのが精一杯の混み具合いでした。

ようやく座席に座れましたのは、仙台駅に着き大半の乗客が降りられた後でしたが、とにかく脚の痛みが気になってそれまでの途中の記憶が無い位でございました。


さて、下半身がクタクタになりながらようやく会社に到着し、会社のメンバーから頂いたお言葉なのですが…

これはわたくしの社会人経験の中で頂いた言葉の中でも、かなり秀逸で明言であるなぁと思っています。


発言されたお方は、以前の話(社員登用制度)に登場しましたベテランパートのONさんとなりますが、

「○○さん、何やってたの!みんな大変だったんだよ!」

と、工場内に入ったわたくしを見つけるなり両目を吊り上げながら、かなり切れている正義の味方のONさんに怒鳴りつけられたのでした。

は?ナンジャそりゃ?ちんぷんかんぷん…

身体が疲れきっておりましたので、意味不明な言動の理由を考える気力も時間もありません。

「ハハハ…」
(何言ってるか訳わからん…)

と、愛想笑いだけしまして、すぐにお客様の待つ事務所へと向かいました。

後から気付きましたが、ONさんは わたくしが愛知県へ観光で遊びに行っていたとお考えのご様子でした。
(従業員の皆さんに、キチンと説明しておいて下さいね社長様…)


それから数日経ってONさんより…

「○○さんすみません、出張だって知らなかったので…」

と言われましたが、それまで続いていた不快感そして理不尽感が消える訳もなく、更には従業員の中で唯一大変な思いをしていないONさんから難癖をつけられた気持ちが晴れる訳はありません。
(思いますに、KYな方と云うのは自分が何も知らぬ事に気付きもせずに正義感を斧のように振り回してくるので困りものです。)


さて、作業で疲れきった下半身に更に半日以上立ちっぱなしの苦痛を受ける拷問を味わいつつ…ようやくたどり着いてお会いしましたお客様との打ち合わせの首尾はと言いますと、あっという間の10分もかからずに終わりました。

あの~
あの~
わたくしが居る必要ありました?


お客様
「じゃあ詳細は、今度ウチの方に見えられた時に!」

初対面の挨拶をした後の、この言葉で本日の打ち合わせは完了です。


判ってはいましたが、社長様お得意の難しい事には一切関わりたくないが為に、奈良から呼び付けられた訳でありました。
(いやぁ~判っちゃいたけど心に漂う疲労感…)


さて、出張かぁ~いいなぁ~と思う方もいらっしゃるでしょうが、会社には良くともわたくしは赤字で散々です。

出張手当ては1日当たり¥3,000位頂戴したのですが、朝昼晩の食費は自分持ちになるのです。

3食が外食となりますから、¥3,000なんてほとんど残りませんね。
(客先の社員食堂を使わせて貰えれば、少し残るかな?)

更には、自分の会社にまで お土産を買って帰る必要がありますので、完全に赤字となります。

きっと怒りん坊で威張りん坊のONさんの口にも入った事でしょう。



「○○さん(奈良まで行って)何やってたの?」(怒怒怒)

「はい、ワタクシッずっと立ち仕事で下半身クタクタなところに、朝早くから移動させて頂きましたので 新幹線は愛知県から仙台市までの間はずっと立ったまま帰って来ました。時給¥4,000のお仕事でしたので会社は儲かってますが、わたくしが頂いている手当ては食費で消えてしまい更には会社にまでお土産買って来たので赤字なんでありますっ」

と、言いたいところではありましたが、まぁ会社が儲かっていればそれで良いのです。

しかし、出張から戻り あんな言葉を喰らうなんて想像しておりませんでしたので、とてもガッカリ感が強かったなぁ~…と、いまだに思い出すと怒りよりも無念な気持ちで一杯になる出来事でございました。

今回は 社長様がカワイク思えてしまうほど、パートのONさんが主役となってしまいました。
(工場内でお局様になり損ねたので、わたくしを恨んでいたと云う事実もありますけれどね…)

仕事が出来る人間に指摘されるならばまだしも、判らなくなるとすぐに他人を呼び付けて仕事を押し付けるようなONさんから、自分頑張ったなぁ~と思っていたわたくしが罵倒に等しいお言葉を浴びせられる無念さよ…。

世の中、こんな理不尽な仕打ちもあるんだなぁ…と、大変良い勉強となったのは確かでありました。

さて、ゴールデンウイークが終わり、皆様が五月病になど罹患なさらぬようにお役に立てば幸いにございます。

特に、新社会人の皆様には 頑張り過ぎぬように、世の中の理不尽さの一つの参考として、うまく息抜きに繋がれば良いなぁと思っております。