半澤正司オープンバレエスタジオ

20歳の青年がヨーロッパでレストランで皿洗いをしながら、やがて自分はプロのバレエダンサーになりたい…!と夢を追うドラマ。

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第43話

2018-09-09 08:33:05 | webブログ
おはようございます、バレエ教師の半澤です!

http://hanzanov.com/ ホームページ
http://hanzanov.com/official/オフィシャル ウエブサイト)
皆様、2018年12月26日(水)に私の発表会があります。
もし、良かったら出演してみませんか?バリエーションでも良いですし、
グランパドドゥでも良いですよ!もちろんコンテンポラリーでも
良いですし、オペラでも舞台で歌います?
どうぞ、どんどん出演してください。
私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

連絡をお待ちしてますね!!
http://fanblogs.jp/hanzawaballet3939/
朝は11時から初中級レベルのレッスン、夕方5時20分から初級レベルの
レッスン、夜7時から中級レベルのレッスンがあります。
皆さま、お待ちしております!

Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。

スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。

日曜日のバリエーションは「眠れる森の美女」からオーロラのローズの
バリエーションです。
ではクリスタル・ルームでお待ちしておりますね
連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

ハピタス
その買うを、もっとハッピーに。 | ハピタス

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
背水の陣、落ち込んでいる時間はもう無い
第43話
人間というのは、夢が吹っ飛んでしまって生活が
脅かされるその瞬間は、深い絶望感と恐怖から言葉
などなくなり、ただ震えてしまう。ショージは
しばらくの間、学校の地下にある更衣室で誰とも
話さず、ただ独り絶望感に打ちのめされて泣き震えて
いた。

だが今日の食べ物は今日中に探し出さなければなら
ないほどの貧困だった。それがまず一歩を踏み出す
引き金になったのだ。 人間は動物の本能である
「生きる」という事だけに焦点を合わせる事が出来る。
動かざる者生きるにあらず、働かざる者食うべからずと
ショージは教わって来た。頭を抱えて泣いたり時間を
掛けて悲しみを味わっている余裕など今のショージには
無かった。他人に相談してみても何も解決はしない。

リージェントパークの日本レストランへはもう戻れない
と決めていた。例えばもしショージが日本人の責任者
であるシェフに頭を下げて「すみません、バレエ団から
労働許可がおりないから、またこの店で働かせて
ください」と願ったとしても、いずれ労働許可が
おりるチャンスが巡って来た時には、ただちに店を
辞めなければならないのだ。そんな良い加減な男に
仕事をくれるはずもないと分かっているからだ。

ウォンがこっそり作ってくれたおにぎりがどれだけ
助かった事か…それを想うとショージは目が熱くなった。
ウォンの様な温かい人には滅多に出会う事が出来無い。
悲しい事だが、もう店には戻れないと自分で答えを出した。
「そうなると新しい

バイト先を見つけなければいけない…!出来る事なら
コベントガーデンに日本レストランがあれば、時間短縮
になりバレエのレッスンの後直ぐにバイトに行けるん
だけどな…」

くまなく探し歩き、暫くすると「ありゃっ?」実に
灯台元暗しで、意外にコヴェントガーデンから近い
場所に日本レストランを探し当てた。学校から歩いて
行けるとても近い場所であった。
早速、「バイトをさせてください!」と掛け合うと、
接客という形でオーケーが出た。ショージはキッチン
の方の仕事に入れて貰えた方が本当は嬉しかった。
何故ならば、ご飯または客には出せないおかずや
捨ててしまう料理の失敗作などを持ち帰れる事を
望んでいたからだ。しかしこの際どうこう言っている
時ではなかった。何でも良いから早く働いてアパート代
と地下鉄とバスの定期代を稼がないと本当に生きて
行けなくなってしまうからだ。それにしてもラッキー
だった。まさか自分の拠点地の直ぐ近くに日本レスト
ランがあるとは思いもしなかった。ショージはその日
から仕事をさせてもらい、最初の一週間の給料は
その日払いで貰えるよう店の責任者と交渉した。

これから働く日本レストランの中には食事をする
場所と同じ階にカラオケバーがあり、そこのカウンター
の中でショージはバーテンとして働いた。以前、
東京で同じような仕事をしていた経験がありバーテンの
仕事は手慣れていた。

時給は1ポンド。日本円で350円。日本のバイト
なら時給が確実に800円以上は貰えた。イギリスでは
10ペンスが10枚で1ポンド。20ペンスあれば小さな
ポテトチップが買える。30ペンスあればコロッケが
買えた。この国は物価がとても高い。1ポンドは日本円で
500円くらいに相当する。それにしても1ポンドは
低過すぎだった。だがどんなに時給が低かろうと
ショージには文句が言えなかった。他に仕事は無いし、
今のショージには選択権など無いのだ。

アパートの電気は部屋に備え付けてある料金箱の中に
コインを入れれば電気が点くようになっているのだが、
金を入れた試しは全くない。その金額は半日で50ペンス。
ショージのポケットには30ペンスしか入っていない。
コロッケが買える金…それが全財産である。

新しい仕事をこなしながら少しずつ毎日のペースを
戻した。日々の流れはやはりバレエがメインドリームだ。
オープンクラスには休む事なく通っていた。それは
教師のビビアンと旦那のパスィ先生がショージだけに
限り、レッスン料金を免除してくれたお陰だった。
ビビアンもパスィも、ロンドンではトップ人気の
オープンレッスンをしており、この2人の温かい
援助がなかったらショージはバレエを続けていられ
なかったかもしれない。
(つづく)