半澤正司オープンバレエスタジオ

20歳の青年がヨーロッパでレストランで皿洗いをしながら、やがて自分はプロのバレエダンサーになりたい…!と夢を追うドラマ。

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第121話

2023-07-25 09:12:25 | webブログ

バレエ教師の半澤です。

平日は朝は11時から初中級レベルのレッスン、水曜日、金曜日の
夕方5時20分は子供の初級、夜7時から中級レベルのレッスンです。
土曜日は朝11時からのレッスン、夕方6時です。ポアントもあります。
日曜日と祭日も朝11時から初級のレッスン、ポアントもあります。

皆さま、お待ちしております!

ホームページ半澤正司オープンバレエスタジオHP http://hanzanov.com/index.html
(オフィシャル ウエブサイト)

私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp
http://fanblogs.jp/hanzawaballet3939/

連絡をお待ちしてますね!

2023年12月24日(日曜日)枚方(ひらかた)芸術文化センターにて
半澤正司オープンバレエスタジオの発表会があります。

Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。

スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。

バリエーションは「ライモンダ」より、ピチカートのヴァリエーションです。
男子は「ラ・シルフィード」のヴァリエーションです。
さ、やりましょう!!

連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第121話
ショージは口をあんぐりと開きながら、「は、はい…、聞いて
おります…」老紳士は続けた。「顎の上げ方も角度が大事だし、
目線も大事なのだ…ま、いいか。それで私に何の用だと
言ったかね?」「げ、ぎょえ~っ!もう忘れてしまったの
ですか!?」ショージの方こそ何でここにいるのか分から
なくなりそうになった。

「僕はこのボリショイ劇場でバレエ団のダンサーたちと
一緒にレッスンしたいのですが、何とか許可は得られま
せんか?」すると老紳士はあっさり「それは無理だ。
レッスンは団員しかする事が出来ない」ショージはその
返答に項垂れた。が、直ぐに「分かりました。レッスンの
事は諦めます。が、僕はどうしてもロシアでバレエの
勉強がしたいのです!けれども僕は日本人なのでロシアで
勉学するための学生ビザをソ連の大使館に申請しても
却下されてしまうのです。僕はどのようにしたらこの
ロシアで勉強する事が出来るのでしょう?」

老紳士を上目づかいで見ながら、その答えが頂けるか先生を
見たが、「あっ!」と思い出して、ショージの踊っている
写真2枚をバッグから取り出して先生に見せた。一つは
アントルラッセでジャンプ(空中で足を180度開く技術)
しているもので、もう一つはピケアラベスク(片足を身体の
真後ろに上げてバランスを取るポーズ)で静止している写真だ。
それを老紳士に手渡した。老紳士は黒い眼鏡を片手で押え
ながらその写真じっと見つめた。

写真を見た感想…

「これ、君?ふ~ん…手の位置が良くないね…」そうボソッと
呟くと、「ふ~っ…じゃ、ここでは通る人の邪魔になるから
こっちに来なさい…」通路から離れたスペースで老紳士は
止まった。「ここなら通行人の邪魔にならない…」ショージは
この老紳士がバレエ団、またはバレエ学校できっと先生を
しているのだろうと思った。先生は眼鏡を片手で上に上げると、
着ていたジャケットを脱いで置いた。

普段着のまま、靴を履いたまま先生が突然バレエの動きの
説明を始めたのだ。「え、ここで?このままの恰好で!?」
「じゃあ、始めるとしよう…プリエ(両足の膝を曲げて
踊りの練習に必ずする屈伸運動)はこうで、ポールドブラ
(腕の動かし方)はここ…注意点は顔の向き…つまり鼻先の
方向だ。指先を追いかけるように…分かるかね?」

ショージは意外に長い先生の手先や動きに見入りながら「あ、
あ、はい…」そして「次に、タンドュ(足のつま先を床の上に
這わせて延ばす運動)はこうで、この動きにも注意点はこうだ。
足をこんな風にしては駄目だよ、分かるかね?」「あ、はい…」
ジュッテ(つま先を床から離して、勢い良く前に出す運動)や
ロンデ・ジャン・パールテール(足先を床の上から離さず、
半円を描く様な運動)、フォンデュ(両膝を曲げてから片足を
上に上げる運動)やフラッペ(片足を曲げて前、横、後ろに
勢い良く蹴り出す運動)、ロンデ・ジャン・アンレール
(片足を宙に浮かせて回す運動)とアダージオ(ゆっくりな
音楽に乗せて片足を動かす運動)

この問答はおよそ、30分以上は続いた。先生は必ず、注意点を
言うのだが、ショージは先生からの「分かるかね?」の質問に
対して日本語の返事のように「あ、はい…」を繰り返したのだ。
先生はじっとショージの顔を見て言った。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第120話

2023-07-23 08:47:03 | webブログ

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
老紳士の手作り
第120話
老紳士が静かに「君は今、日本人だと言ったんだね?む~…
ちょっと何処にも行かずにそこで待っていなさい…あ、
君たち、」爺さんたちにショージをその場で待たせるように…
と言い残すと、来た廊下をまた静かにスタスタと後戻りし、
廊下の彼方に行ってしまわれた。

「え、どうしよう?何処に行ってしまわれたのだろう?」
暫くすると、老紳士は大きな本を両腕に抱えて戻って来た。
そして「そうか、こんな時に日本人に会えるなんてこれも
何かの縁だろう…丁度良かった。これを見てくれ給え。
そして日本人の目で見てこれが正しいかどうかを答えて
欲しいのだ!」

ショージは「は?」とその大きな本を老紳士から受け
渡され、その本の表紙をめくり、ゆっくりとページも
捲っていくと、そこにはロシア語のキリル文字がビッチリと
書かれてあり、訳の分からない記号やら絵が描かれてある。

ショージはどんどんページを捲って行くが、あまりの
膨大な筆跡と、本の重さに腕が疲れて来た。そしてようやく
その本が日本の「四柱推命」の事について書かれてある事に
気が付いた時、老紳士の顔を「えっ!?」と見ると子供の
様にはしゃいだ顔つきになっており、「どうだ?これで
いいのか?私は長年掛けて日本の占いを自分なりに解釈して、
この本を丁度書き終わったところなのだ。だが、問題は
私の理解が正しいのかどうなのか、そこが知りたかったのだ。
それでどうなのだ、合っているのか?存分に意見を聞かせて
欲しいのだ」

ショージは目を点にしてキョトンと見ながら、何から
答えていいのかちっとも分からなかった。ショージは
「四柱推命」なんか、これっぽっちも知らないのだ。
存分に聞かせてくれって言われても「あ、あの~、これって
占いですよね?何じゃこりゃ?一体全体どうなってんの
これ!?」

今度は歌舞伎?

「すみませんが確かに私は日本人なのですが、こういう
占いについてはとんと知識もないし、はっきり言って見た
事も無いのです。だからこれが正しいとかどうかと聞かれ
ても全然答えられません。本当にすみません」すると
それまで活き活きとして、まるで嬉しさ一杯の子供の
様な顔つきが愕然と変わり、「な、何!?知らない、
見た事がない?お、お~…」顔が見る見る曇って行った。

その表情がそれほど一変してしまうとはなんと可哀そうな
老紳士。「あれ…僕の事は?あ、あの~、僕はどうしたら
良いのですかね?」老紳士は呪文のようにブツブツ…と
宙を見ながら何か言っていたが、本をバタンと閉じて、
「そうか…残念だ。が、仕方ないか…。私は歌舞伎の
事も興味があるのだが、そっちの方の話でもしようかの…ん?」
「か、歌舞伎??た、たは…たはは…」ショージに構わず
話を始めた。

「ここボリショイのバレエでも歌舞伎の技法を取り入れたり
もしているのだ…例えば、歌舞伎の中に見得を切る…という
表現法があるだろ、ここでもその言葉通りにミエという
言葉で踊りの節目にポーズを作るのだ…聞いているのかね
君は人の話を?」
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第119話

2023-07-22 08:43:29 | webブログ

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第119話
兎に角、知っている限りのロシア語を使ってその老紳士に
「イズビニーチェ!パマギーチェパジャールスタ!!ヤ、
トージェバリェット アルチースト!ヤ ハチュー ウチッツァ 
バリェット、ズジェーシ ヴ ラシヤ!パジャールイスタ!
「すみません!どうぞ助けて下さい!私もバレエアーティストの
一人です!私はこのロシアでバレエを勉強したいのです!
どうぞ話を聞いてください、お願いです!」と声を出したのだ。
いわゆる直訴であった。

ショージは爺ぃたちの揺ぎ無い攻撃に会いながらも、兎に角、
必死で声の続く限りその紳士の目を見ながら何度も懇願した。
ところが、爺ぃたちの力は半端じゃない。ショージはそのままの
態勢で引きずられた。身体中の服が脱げそうになって滅茶苦茶
であった。

ショージのたった一回のチャンスなのだ。全身全霊ただただ
命掛けての懇願だった。そして「もう駄目か…」と思った時、
その老紳士が爺ぃたちに向かって物静かに手を上げた。
「良い良い…ちょっと手を離してあげなさい…」老紳士が静かに
手を上げると、目を吊り上げて怒り顔になっている爺ぃ2人は
「えっ!?」と驚きながらパッと手を離したものだから、
ショージはそのままドッカーンと床に反動で転がってしまった。

「こ、この爺ぃ~っ!手を離すんだったら、離し方があるだろ!」
と言ってやりたいところだが、この状況下ではそれどころではない。
関係者入口は大騒動に発展してしまい、床の上に転げてしまった
ショージが態勢を整えようとした時には、入口付近は黒山の人だかり
になっていた。皆、オーケストラの奏者たちやらダンサーたちが
「な、何が起こってるの!?」と不審な目で見つめた。

しかし今のショージにはこの大事な一瞬を怯むわけには
行かなかった。ショージの目の前に立っている黒ぶちの
分厚い眼鏡の老紳士、この老紳士の前頭葉はとても発達
している上、その丸く頑丈そうで実がたっぷり入って
そうな頭部が実に独特で、一見怖そうなのだがその静かな
動作や目で、その人柄が表れていた。が、この時のショージは
それどころではない。

老紳士は「ちょっとこちらに…」とショージに言って、
黒山になってる人々に通路を与えて皆を行かせた。ショージの
顔をじっと静かに見ながら「私に用なのかね?」と静かな声で
話し掛け、「良いかい、ゆっくりと喋りなさい…ロシア語
出来るかね?」

ショージは「トーリカ チュチュ…」(少しだけですが…)と
答えて、老紳士があまりにじっと見るので涙が零れて出て来た。
「あの…バレエの関係者ですか?」老紳士は「そうだが…」
「ああやっぱり!良かった!僕はロシアでバレエの勉強がしたい
のです…ですが、僕は日本人なので私個人ではこの国に来るのが
難しいのです。あの…僕を助けて下さい、お願いです…」

泣きながら懇願するショージを静かに見ながら、老紳士は
ショージを大きな瞳で瞬きもせず、じっと見つめた。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第118話

2023-07-21 08:58:25 | webブログ

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第118話
それが一体どれだけ大切で重要な人なのか瞬時に爺ぃは
思い出したようで「ん…終わるのは2時過ぎだっ!
でもここで待つな、邪魔だからなっ!出なおして
来いっ!邪魔だ邪魔だっ!」ショージもここは潔く
「あっそう…じゃ、2時前にはまた来るわな。今、
2時過ぎって言ったんだよな?」

もうそれには爺ぃは答えなかった。あっち向いてホイッ!
である。劇場の中は関係者入口であっても本当に温かい。
ここに留まっていたいし、中に入ってワシリエフ氏の
新作を見たいのだが、あまり事を大きな問題にまで
発展させるとその内、警察沙汰になっても大変で
ある事からショージは言う事だけを言ったら外に出た。

「うう~寒過ぎ、何処に行こうか?」行く宛てはなかった。
目線を宙に向け、ショージがもし本当にワシリエフ氏に
会えたとしたら何を言いたいのかを考えた。

人間の脳

時間をようやく潰し、またもや関係者入口へと近づいて
行った。ショージはこう!と決めたら蛇の様にしつこい。
もう入る前にどういう風になるのか目に見えて分って
いたが、血の雨が降ろうとショージは行かなければ
ならない。雨にも負けず風にも負けず…である。
そしてショージがボリショイ劇場の二重の門の関係者
入口に来ると、「お?」まだ時間も早めだと言うのに、
何故かオーケストラの奏者が少しずつ向こうから出て
来た。「ん?もしかしたら早めに終わったのかな?」

爺さんはショージを見るなり、決まり悪そうに「チッ!」
と舌打ちしたが、ショージは爺さんにさっき釘を刺して
おいたから悪態はつかなかった。そして1人、2人…と
オーケストラの奏者たちが門から消えて行く時、向こう
から一人の黒い眼鏡を掛けたやはり老年の紳士が歩いて
こちらの方に向かって来るのが見えた。

10メートルくらい近づいて来た時にショージはその
老年の80歳は超えているだろう紳士に目線が集中した。
「もしかしたらバレエ関係者か…」もう既に犬の直感
とでもいうのであろうか、ショージはその人の姿を見た
瞬間から他の者が全く見えなくなった。

人間は信じられない脳の素晴らしさを持っており、ここ
一番と言う大事な時には全ての物がスローになり、最後の
瞬間はまるで時空が全て止まったかのようになる。

謎の紳士

ショージは関係者入口に向かって3メートルほどの近さ
までやって来た老紳士を見て確信した。バレエをしている
かどうかは歩き姿だけで判断が付くのだ。「この人はバレエ
ダンサーだった人に間違いない!」ショージの方から
近づいて行った。

その瞬間、4人の内の2人の爺ぃが飛び上るようにしながら
「あっ!?こ、この馬鹿が何を晒すっ!こいつ!」そう言い
ながらショージの後ろ首と両腕、ジャケットの背後を
鷲掴みにしたのだ。ショージは絶対に動きたくなかった。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第117話

2023-07-20 08:47:42 | webブログ

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
小道具を手に持って
第117話
バッグがあるのだからバレエシューズをわざわざ手に
持つのもどう見てもおかしい。しかし2秒であの人を
こっちのペースに巻き込むのだから、小道具は絶対必要
不可欠とショージは寸劇に出たのだ。そしてショージの
期待通りに男は応えたのだ。「あー、今日は直ぐに舞台で
リハーサルだ。明日がバレエ『アニョータ』のプルミ
エール(初日公演)だからな!今からドレス・リハーサル
をやって今晩にはゼネラル・リハーサルだ、んじゃな!」
と言って立ち去ろうとした。

「はは~ん、やはり僕のバレエシューズを見て仲間と
思ってくれたんだな!遠目で僕のプリエをきっと見て
いたんだろうな…でも行かれちゃうと困る」 ショージは
男を呼び止めた。「あ、ちょっと!あ、アニョータって、
モダン?それともクラッシックなの?」すると男はまた
立ち止まって「アニョータを知らないのか?ウラディーミル・
ワシリエフの振付だ…クラッシックと言えばクラッシックだし、
モダンかと言えばモダンだ…そんな事は自分で見て判断
すればいいだろ…んじゃな」そう言うと、4人の爺ぃたちの
座っている筈の関係者入口の中に消えて行ってしまった。

「アニョータ…?ドレス・リハーサルだって?み、見たい、
う~絶対に見たいっ!こうなったら怒られてもいいから
関係者入口に入って見よう!そしてショージは再び二重の
門を開き、中に入って行くと直ぐに爺ぃ4人の内の1人と
目が合ってしまった。

「お、お前は今度は何の用で入って来たんだーっ!」爺ぃは、
いきなり喧嘩腰だ。ショージも咄嗟に言い返した。「えー?
何って、今日はバレエ・アニョータのドレス・リハーサル
(衣装を装着してのリハーサル)なんだし、今夜はゼネラル・
リハーサル(メーク、衣装全てを着けての本番さながらの
リハーサル)じゃないか!」と如何にも知っていたかのように
答えた。

「どうだ爺ぃ、こっちが知っているって思わなかっただろう、
えー?どうだ、すんげーか…?お前ら爺ぃ4人はどうせ
寄ってたかって井戸端会議ってもんだろうが!こっちの
知恵袋はあんたらとは、ちと大きさが違うんでね!」

ドレスリハーサル

「だ、だから何なのだ!?お前が何で関係があるんだ!
お前はこの劇場のダンサーでも無いのに、一体何しに
来た~っ!」「おいおいおい爺さんよ、そんなに怒らなく
たっていいじゃん全く。」齢を取ると人間は怒りっぽく
なるのだろうか?「関係あるさ!僕はバレエダンサー
だからな!それでドレス・リハーサルは何時に終わるん
だい?」すると頭部の横のこめかみに血管を浮かばせて
爺ぃはワナワナと震えながら「時間をお前に教えて
どうなる?お前には関係が無いっ!」

ショージは落ち着き払って爺ぃの目を見た。「あのね、
僕はここで会わなきゃいけない人がいるんだよ…」すると
言葉も終わらない内に「またか!言っただろ~が!
マエストロ・グリゴ―ローヴィチはここからは出入りを
しないって!向こうに廻れって言っただろうがっ!
こいつは~っ」

ショージは首を横に振り「違うよ違うよ!昨日ちゃんと
向こう側に廻ったよ!今日はミスター・ウラディーミル・
ワシリエフ(ボリショイの最高トップダンサー)に用があるから、
ここで待たなきゃいけないんだって!」すると「な、何~っ!
誰だ?誰だ~っ?ウラディーミル・ワシ…あん!?」
(つづく)