空と無と仮と

沖縄タイムスの第三者委員会報告書について④

前回の続きです。

 不正受給と同時に内部告発を「しなかった」あるいは「できなかった」「させなかった」ということがあり、第三者委員会の報告書を読む限り、それが現在も継続しているのではないかという疑念が、今回の問題の本質であると確信しております。
 それでは、そもそも内部告発を「しなかった」あるいは「できなかった」「させなかった」状況というのは、いったいどのようなものでしょうか。

 ハッキリいってわかりません。
 内部告発を「しなかった」あるいは「できなかった」「させなかった」状況というのは、別の言い方をすれば内部告発ができない「雰囲気」が沖縄タイムス社内にあり、その雰囲気は内部に入り込まないと感じることができないシロモノだと思うからです。そこが内部告発の難しさであるともいえるかもしれません。
 また、穿った見解を述べさせていただけるのなら、もしかして不正に気付いていた社員がいたかもしれませんし、不正を告発しようという努力があったのかもしれません。しかし、結果としてそういうことはなかったように思われます。

 このような何かしらの雰囲気というのは様々な組織団体グループに存在しており、自分を含め当ブログを読んでくださっている皆様も何かしらの雰囲気というものを、善悪は別としてそこで感じ取った経験があるのではないかと思います。そしてその雰囲気に違和感を持ちながらも、従うことを余儀なくされた経験もあるかと思われます。

 典型的な例をあげるのなら、沖縄タイムスは常に「基地反対」「米軍反対」を前面に主張しておりますが、それは記者をはじめとして社員一丸となって同じような考え方であると思います。
 しかし、「基地反対」「米軍反対」というような「雰囲気」が社内に漂っていた場合、万が一にも「米軍容認」「基地賛成」という考え方を持つ社員がいたらどうなることでしょう。
 沖縄タイムスの社是ともいうべき「基地反対」「米軍反対」といった考え方、あるいは主張に対し真逆の考え方を持つ社員の処遇は、これは特に考察するまでもなくその「雰囲気」によって早々に排除されるでしょう。また、その「雰囲気」によって仕事の間柄以外の人間関係をも微妙にさせてしまうことになるかもしれません。「基地反対」「米軍反対」という厚くて堅固な「雰囲気」は、新聞紙面からも常に感受することが可能でありますゆえに、そもそも入社希望すら思わないかもしれません。

 何かしらの雰囲気が良い方向へ流れることに関しては全く問題はなく、むしろ奨励すべきものではありますが、今回のケースは悪弊というべきであり、繰り返しになりますが「内部告発」ができないような「雰囲気」が沖縄タイムス社内にも厳然と存在すると確信します。
 しかしそれにもかかわらず、報告書にはそのことがほとんど言及されていないということは、内部の者だからこそ気づいていないのか、気づいていても些末な問題として無視しているのか、そのどちらかではないかと思うのです。本来なら内部告発を積極的に啓発しなければならないマスメディアなのに、残念ながら自浄作用の期待はできないということにもなります。

 このような状態を継続している限り、不正をした社員の解雇はただの「トカゲの尻尾切り」でしかありません。問題の本質が何も変わっていないのなら、同じようなケースが頻発とは言わないまでも、今後も起こりえる可能性が非常に高いと思われます。


最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

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